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【最新データ】言語聴覚士は人手不足?需給状況から読み解く将来性と就職・転職事情

【最新データ】言語聴覚士は人手不足?需給状況から読み解く将来性と就職・転職事情

「言語聴覚士を目指しているけれど、将来性はあるのだろうか?」 「現場は人手不足だと聞くけれど、実際の需給状況はどうなっているの?」

医療や介護の現場において、リハビリテーションの専門職として活躍する言語聴覚士(ST:Speech-Language-Hearing Therapist)。国家資格として制定されてから比較的新しい資格であるため、その実態が世間的にあまり知られていないと感じている方も多いのではないでしょうか。しかし実際の医療・福祉業界において、言語聴覚士の存在感は年々大きくなっています。

本記事では、各種統計データや現在の需給状況をもとに、言語聴覚士が現在直面している「人手不足」の真実について徹底解説します。理学療法士(PT)や作業療法士(OT)といった他のリハビリ職種との人数の比較から、将来の需要予測、そして現場での働きやすさに至るまで、幅広く網羅しました。これから言語聴覚士を目指す学生の方や、転職を検討している現役の言語聴覚士の方にとって、キャリア選択の確かな指針となる内容をお届けします。

1. 結論から言うと、言語聴覚士(ST)は圧倒的な「人手不足」

リハビリテーション業界の現状を俯瞰すると、言語聴覚士は明らかに人手が足りていない状況にあります。全国の病院や介護施設では言語聴覚士の確保が急務となっていますが、求人を出してもなかなか採用に至らないという声が後を絶ちません。ここでは、他のリハビリ職種との比較や、具体的な需要データから人手不足の実態を明らかにします。

理学療法士(PT)・作業療法士(OT)との有資格者数の比較

リハビリテーションの専門職には、主に「理学療法士(PT)」「作業療法士(OT)」「言語聴覚士(ST)」の3つが存在します。理学療法士が「立つ・歩く」などの基本動作を、作業療法士が「食事をする・服を着る」などの応用動作を支援するのに対し、言語聴覚士は「話す・聞く・食べる」といったコミュニケーションや栄養摂取に関する領域を専門としています。

この3職種における有資格者数を比較すると、言語聴覚士の少なさが際立ちます。

職種累計有資格者数の目安(2023〜2024年時点)
理学療法士(PT)約20万人以上(※急増傾向)
作業療法士(OT)約10万人以上
言語聴覚士(ST)約4.1万人

このように、理学療法士や作業療法士が順調に有資格者数を伸ばしている一方で、言語聴覚士は全体の数がいまだに少ないのが現状です。同じ病院内でも、「PTは10人いるのに、STは1〜2人しかいない」といった人員配置になることが珍しくありません。

言語聴覚療法を必要とする対象者と求人倍率の実態

言語聴覚士の数が少ない一方で、言語聴覚療法を必要としている患者の数は非常に多いという現実があります。ある養成機関の推計データによれば、国内で言語障害や嚥下(えんげ)障害などのリハビリ対象となる方は約650万人にものぼるとされています。単純計算でも、言語聴覚士1人に対して150人以上の患者様が存在することになり、供給が全く追いついていません。

この需給バランスの崩れは、求人倍率にも顕著に表れています。例として、大阪府にある保健医療系大学の2023年度の言語聴覚専攻科における求人倍率は、なんと74.4倍を記録しています。1人の学生に対して70件以上の求人が寄せられるという驚異的な「売り手市場」であり、いかに社会から言語聴覚士が渇望されているかがわかります。

2. なぜ言語聴覚士は人手不足と言われるのか?4つの大きな理由

言語聴覚士が圧倒的な人手不足に陥っている背景には、複数の社会的な要因と資格そのものの歴史が深く関わっています。主な4つの理由を紐解いていきましょう。

高齢化社会における「嚥下(えんげ)障害」リハビリ需要の急増

日本は超高齢社会に突入しており、高齢者の増加に伴って脳卒中の後遺症や認知機能の低下を抱える方が増えています。中でも特に深刻なのが「嚥下(飲み込み)障害」です。食べ物をうまく飲み込めず気管に入ってしまうことで引き起こされる「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」は、高齢者の主要な死因の一つとなっています。

言語聴覚士は、安全に口から食事をとるための嚥下リハビリテーションのプロフェッショナルです。「最期まで口から美味しく食べたい」という患者様やご家族の願いを叶えるため、医療現場や介護現場においてSTの介入が強く求められるようになりました。この高齢化による嚥下需要の爆発的な増加が、人手不足の最大の要因です。

発達障害など「小児領域」でのニーズ拡大と人材の偏在

言語聴覚士の役割は高齢者に対するものだけではありません。言葉の遅れや発音の不明瞭さ、発達障害を抱える子どもに対する「小児リハビリ」も重要な専門領域です。近年、発達障害の早期発見・早期療育の重要性が広く認知されるようになり、教育現場や療育施設からのSTの需要が急増しています。

しかし日本言語聴覚士協会などの見解によれば、小児言語・認知分野に従事している言語聴覚士は全体の約10%程度に留まっていると言われています。多くの言語聴覚士が高齢者の多い医療機関に就職するため、小児領域ではさらに深刻な人材不足が起きており、療育を受けたくても数ヶ月待ちというご家族も少なくありません。

国家資格化の遅れと資格保有者数の圧倒的な少なさ

言語聴覚士が国家資格として制定されたのは1997年(平成9年)のことであり、理学療法士や作業療法士(1965年制定)と比較すると、30年以上も歴史が遅れています。資格としての歴史が浅いため、そもそも養成校の数も少なく、社会に出ている有資格者の絶対数が圧倒的に足りていません。この歴史的な遅れが、前述した有資格者数の大きな差を生み出しているのです。

養成校の定員割れによる新規参入の伸び悩み

さらに近年懸念されているのが、言語聴覚士を育成する養成校(大学や専門学校など)の定員割れ問題です。医療系資格全体の受験者数が伸び悩む中、あるデータでは言語聴覚士の養成施設区分における充足率(定員に対する入学者数の割合)が75.5%から63.1%に減少しているという報告もあります。国家試験の受験者数自体もリハビリ3職種の中で最も少なく、今後も急激に資格者が増える見込みは立っていないのが実情です。

3. 【データで見る】言語聴覚士の有資格者数の推移

ここで、言語聴覚士の有資格者数がどのように推移しているのか、実際のデータを用いて確認してみましょう。

STの国家試験合格者と累計登録者数

以下の表は、直近5年間(2020年〜2024年)における言語聴覚士国家試験の合格者数と、累計の資格保有者数の推移をまとめたものです。

実施年(回数)合格者数(名)累計有資格者数(名)
2024年(第26回)1,76141,657
2023年(第25回)1,69639,896
2022年(第24回)1,94538,200
2021年(第23回)1,76636,255
2020年(第22回)1,62634,489

データから読み解く今後の見通し

データから分かる通り、言語聴覚士の国家試験では毎年1,600名〜1,900名程度が新たに合格し、社会へと羽ばたいています。2024年の段階で累計の資格保有者数は4万人を突破しました。しかし、毎年数万人が増え続けている理学療法士などと比較すると、増加のペースは非常に緩やかです。

一方で、高齢化社会の進展により医療・介護を必要とする人口は2040年頃までピークに向かって増え続けると予想されています。新規参入の人数が爆発的に増えない以上、言語聴覚士の需給バランスは今後も「需要超過(人手不足)」のまま推移することが確実視されています。

4. 言語聴覚士が不足している主な現場(働く場所)

言語聴覚士の活躍の場は多岐にわたりますが、あらゆる現場でSTの存在が求められています。ここでは、特に言語聴覚士が不足しており、採用ニーズが高い代表的な3つの現場をご紹介します。

病院・クリニック(急性期・回復期・維持期)

言語聴覚士の最も一般的な就職先が医療機関です。脳卒中や頭部外傷の直後からリハビリを開始する「急性期病院」、集中的なリハビリを行って自宅復帰を目指す「回復期リハビリテーション病棟」、そして慢性的な症状と向き合う「維持期(療養型)病院」などがあります。

特に回復期病棟では、厚生労働省の診療報酬改定によりリハビリの充実が求められており、言語聴覚士の配置人数が病院の収益や評価に直結するため、非常に高い採用熱が維持されています。

介護施設・訪問リハビリテーション

特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、デイサービスなどの介護福祉施設でも、言語聴覚士の需要は急速に高まっています。施設内での食事中のむせ込みや誤嚥を防ぎ、安全な食生活を提供することは、施設のサービス品質そのものを左右します。また、利用者の自宅に直接出向いてリハビリを行う「訪問リハビリテーション」の分野では、生活環境に即した嚥下訓練やコミュニケーション支援が行えるため、STの求人が年々増加しています。

小児療育施設・教育機関

前述の通り、全体の中で従事する割合が非常に少ないのが小児分野です。児童発達支援センターや放課後等デイサービス、特別支援学校などにおいて、言葉の発達に課題を抱える子どもたちをサポートする役割が期待されています。子ども一人ひとりの特性に合わせたアプローチが必要となるため専門性が高く、この分野に精通した言語聴覚士は全国の施設から引っ張りだことなっています。

5. 言語聴覚士の将来性は?今後も需要は拡大し続けるのか

結論として、言語聴覚士の将来性は非常に明るく、今後も需要は拡大し続けると言えます。その根拠となるポイントをいくつか解説します。

在宅医療・訪問リハビリでのSTの重要性

国は現在、高齢者が住み慣れた地域で最期まで暮らせるようにする「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。これに伴い、医療の提供の場は病院から「在宅」へとシフトしています。自宅での生活を支えるためには、コミュニケーション能力の維持や、安全に食事をとる機能の維持が必要不可欠です。在宅という限られた環境下で専門的な評価と訓練を行える言語聴覚士は、今後の地域医療においてキーパーソンとなる存在です。

多職種連携(チーム医療)における専門性の高さ

現代の医療・介護現場では、医師、看護師、理学療法士、管理栄養士、介護職などがチームを組んで患者様を支える「チーム医療(多職種連携)」が基本となっています。言語聴覚士が持つ「嚥下(飲み込み)」や「高次脳機能障害」「失語症」に関する深い知識は、他の職種では代替できません。チームの中で確固たる専門性を発揮できるため、AI(人工知能)が発達する未来においても、人間にしかできない個別性の高い対人支援職として重宝され続けるでしょう。

就職・転職において有利な「売り手市場」が継続

需要に対して供給が追いついていない状況は、働く側から見れば「キャリアの選択肢が豊富にある」という大きなメリットになります。待遇の良い病院への転職、スキルアップを目的とした小児領域への挑戦、あるいはライフスタイルに合わせた時短勤務の選択など、自分の希望にマッチした職場を見つけやすい環境が整っています。経験を積み、専門的な資格(認定言語聴覚士など)を取得することで、更なる給与アップやキャリアアップを狙うことも十分に可能です。

6. まとめ

本記事では、言語聴覚士(ST)の需給状況と人手不足の背景、そして将来性について詳しく解説しました。

  • 理学療法士や作業療法士に比べて、言語聴覚士の有資格者数は約4.1万人とまだまだ少ない状況です。
  • 一方で、高齢者の嚥下障害リハビリや、発達障害などの小児リハビリのニーズは年々急増しており、需給バランスは圧倒的な「需要超過」となっています。
  • 養成校の定員割れなども影響し、今後急激に有資格者が増える見込みは薄いため、言語聴覚士に対する強い採用ニーズは今後も継続していくと考えられます。

言語聴覚士は、「話すこと」「食べること」という人間の尊厳や生活の楽しみに直結する部分を支援する、非常にやりがいの大きな仕事です。人手不足であるということは、それだけ社会から強く求められ、必要とされている証拠でもあります。

今後、言語聴覚士を目指して養成校への進学を考えている方や、新たな職場でのステップアップを考えている現役STの方にとって、今はまさに自分らしく活躍できる絶好のチャンスの時期と言えるでしょう。ぜひ、データに基づく現状を正しく理解し、ご自身のキャリア形成に役立ててください。

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この記事の著者

転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部

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