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作業療法士の人数と将来性【最新データ】推移から読み解く飽和の真実と今後の需要

作業療法士の人数と将来性【最新データ】推移から読み解く飽和の真実と今後の需要

これから作業療法士を目指す方や、現在現場で働いている方にとって、「作業療法士の人数は現在どれくらいなのか」「将来的に仕事はなくなるのではないか」という疑問は非常に重要です。

インターネット上では「作業療法士は増えすぎている」「将来は飽和して就職できなくなる」といった不安を煽る声も散見されます。しかし、実際のところはどうなのでしょうか。

本記事では、厚生労働省や日本作業療法士協会の最新データをもとに、作業療法士の現在の人数や推移、そして気になる「2040年問題」とも言える需給推計について詳しく解説します。さらに、データから読み解く作業療法士の今後の需要と、生き残るための将来性についても深掘りしていきます。この記事を読むことで、客観的な事実に基づいたキャリア形成のヒントが得られるはずです。

1. 【最新データ】作業療法士の現在の人数と推移

まずは、作業療法士が現在日本にどれくらいいるのか、具体的な数字から現状を把握していきましょう。作業療法士の人数は、この20数年間で劇的な変化を遂げています。

資格保有者数と会員数の劇的な増加

作業療法士の人数は年々右肩上がりで増加しています。1999年頃には全国で約1万2,000人程度だった有資格者数は、2019年には約6万2,000人、そして近年では約8万人弱から10万人に迫る勢いで増加していると言われています。

日本作業療法士協会の統計(2021年時点)を見ても、対象会員数は6万4,230人にのぼっています。毎年およそ6,000人が国家試験を受験し、約4,500人から5,000人の新たな作業療法士が誕生し続けているのが現状です。

年代作業療法士の有資格者・会員数の目安備考
1999年頃約12,000人リハビリ専門職がまだ希少だった時代
2019年頃約62,000人(日本作業療法士協会会員統計より)
2021年64,230人(日本作業療法士協会会員数)
2025年以降約80,000〜100,000人毎年数千人規模で増加中

男女比と年齢層の特徴

作業療法士という職業の特徴として、女性の割合が高いことが挙げられます。日本作業療法士協会の2021年のデータによれば、男性が約38.8%(24,905人)であるのに対し、女性は約61.2%(39,314人)となっており、全体の約6割を女性が占めています。

また、会員の平均年齢は約35.9歳と比較的若い年代が中心です。これは、近年になって養成校が急増し、短期間で資格取得者が大量に市場に輩出された結果、20代から30代の若手層が業界全体の大半を占める人員構成になっているためです。

活躍する主な就業場所

働く場所については、全体の約70%が病院やクリニックといった医療機関に勤務しています。しかし近年では、介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム、デイサービスなどの介護福祉分野、さらには訪問リハビリテーションでの就業も増えており、働くフィールドは徐々に広がりを見せています。

2. 作業療法士の人数が急激に増加した背景

なぜこれほどまでに短期間で作業療法士の人数が増加したのでしょうか。その背景には、日本の社会構造の変化と、それに伴う政策が深く関わっています。

高齢化社会に伴うリハビリ需要の急増

最大の理由は、日本が世界でも類を見ないスピードで超高齢社会に突入したことです。内閣府のデータによると、日本の総人口に対する高齢者の割合(高齢化率)は年々上昇し続けています。2020年代には約29%に達しており、今後2040年には約34.8%、2070年には約38.7%に達すると見込まれています。

高齢者が増えれば、脳卒中の後遺症や骨折、認知症などにより、日常生活動作(ADL)の維持・回復を目的としたリハビリテーションを必要とする人が急増します。この需要の爆発的な高まりに対応するため、国全体でリハビリ専門職を増やす必要に迫られました。

養成校の規制緩和と新設ラッシュ

需要に応えるため、1990年代後半から理学療法士・作業療法士の養成校に対する設置基準の規制緩和が行われました。これにより、全国各地で専門学校や大学のリハビリテーション学科が次々と新設されました。

かつては狭き門だった養成校ですが、定員枠が大幅に拡大したことで、志望者が学びやすい環境が整いました。その結果、毎年数千人単位で新たな作業療法士が国家試験に合格し、市場に供給されるようになったのです。これが現在の「急激な人数増加」の根本的な要因です。

3. 厚生労働省のデータが示す「需要と供給の推計」

人数が増加し続けている一方で、業界内に大きな波紋を呼んでいるのが、厚生労働省による「需給推計」のデータです。このデータが「作業療法士は飽和する」と言われる最大の根拠となっています。

2040年頃には供給が需要の約1.5倍に

厚生労働省が開催した「理学療法士・作業療法士需給分科会」において、衝撃的な推計が発表されました。それは、理学療法士と作業療法士の供給数が、2040年頃には需要数の「約1.5倍」に達するというものです。

需給推計のポイント厚生労働省の発表データ概要
現在の状況すでに2018年時点で供給が需要を上回り始めているとの見解あり
2040年の推計供給数(有資格者の増加)が需要数(リハビリを必要とする数)の約1.5倍に達する
発生のメカニズム高齢者人口のピークアウトと、毎年誕生し続ける新規取得者の蓄積による乖離

このデータは、医療・介護・その他の分野に分けて緻密に計算された需要予測と、今後の国家試験合格者数の推移を掛け合わせたものです。結果として、「このままのペースで増え続ければ、仕事の数よりも作業療法士の数の方が多くなってしまう」という結論が示されました。

なぜ供給過多に陥るのか

高齢化が進むのになぜ需要が不足するのかと疑問に思うかもしれません。実は、日本の高齢者人口(65歳以上)は2042年頃にピークを迎え、その後は減少に転じると予測されています。つまり、リハビリを必要とする人たちの絶対数は無限に増え続けるわけではないのです。

一方で、作業療法士は毎年4,500人以上が新たに誕生し、蓄積されていきます。若い年代が多いため引退する人数も少なく、市場に滞留する人材が年々増え続ける構造になっています。需要が頭打ちになるタイミングと、供給が右肩上がりに増え続ける軌道が交差することで、このような供給過多の推計が成り立っています。

4. 供給過多(飽和)時代がもたらす影響と課題

では、実際に供給が需要を上回る「飽和時代」が到来すると、作業療法士を取り巻く環境にはどのような影響が出るのでしょうか。悲観しすぎる必要はありませんが、現実的な課題を認識しておくことは重要です。

就職・転職市場の競争激化

これまでのように「資格さえ持っていればどこでも好条件で就職できる」という売り手市場の時代は終わりを迎えつつあります。特に都市部の人気の高い急性期病院や総合病院では、すでに1つの求人に対して多数の応募が殺到する状況が起きています。

また、供給過多が続くことで、給与水準が上がりにくくなるという懸念も存在します。病院や施設の経営者目線で見れば、人材を確保しやすくなるため、あえて高い給与を提示して引き抜く必要性が薄れるからです。

「資格の価値」から「個人の質」が問われる時代へ

これからの時代は、「ただ作業療法士の免許を持っている」だけでは生き残るのが難しくなります。他のセラピストと差別化できる強みや、高い専門性がよりシビアに求められるようになります。

厚生労働省の分科会でも、「養成の質低下」を懸念する声が上がっており、今後の養成施設には教育の質の向上が求められています。現場に出た後も、認定作業療法士や専門作業療法士といった上位資格の取得、あるいは特定の疾患に対する深い知見など、自己研鑽を続ける姿勢がこれまで以上に重要になるでしょう。

5. 作業療法士の今後の需要と将来性が高い分野

供給過多の推計を聞くと不安になるかもしれませんが、作業療法士の将来性が失われたわけでは決してありません。理学療法士(PT)が「歩く」「立つ」などの基本的動作の回復に重きを置くのに対し、作業療法士(OT)は「生活行為」や「精神的アプローチ」を得意としています。このOTならではの強みが活きる分野は、今後さらに需要が拡大していくと予測されています。

精神科・認知症・発達(小児)分野への需要

作業療法士の大きな武器は、身体障害だけでなく、精神障害や発達障害にもアプローチできる点です。現代社会では、ストレスによる精神疾患の増加や、発達障害の早期療育の重要性が広く認知されるようになりました。

また、高齢化に伴う認知症患者の増加は深刻な社会問題です。認知症の方の生活の質(QOL)を維持し、BPSD(行動・心理症状)を緩和するための非薬物療法として、作業療法の重要性はますます高まっています。これらの領域は、機械やAIには決して代替できない「心と生活に寄り添う」作業療法士の独壇場と言えます。

訪問リハビリと地域包括ケアシステムでの役割

国は現在、高齢者が住み慣れた地域で最後まで自分らしく暮らせるよう「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。これに伴い、病院の中ではなく、患者の自宅でのリハビリ(訪問リハビリ)の需要が急増しています。

実際の生活環境である「自宅」において、家事や入浴、排泄といった具体的な生活動作をどう安全に行うかを指導し、福祉用具の選定や住宅改修のアドバイスを行うことは、作業療法士の最も得意とする領域です。地域社会に飛び出し、生活のリアルな課題を解決する人材は、今後も引く手あまたとなるでしょう。

将来性が高い分野作業療法士が求められる理由と役割
精神科・心療内科ストレス社会における精神疾患の増加。社会復帰に向けた生活リズムの構築支援。
認知症ケア・老年期認知症の進行予防、QOL向上、家族への介護指導など、生活全般のサポート。
小児・発達分野発達障害児に対する療育、学校生活への適応支援、遊びを通じた機能発達。
訪問・地域リハビリ実際の住環境に合わせた生活動作の指導、住宅改修提案、地域コミュニティ参加支援。

AI時代における代替不可能性

AI(人工知能)やロボット技術の進化により、多くの職業が代替されると言われています。しかし、作業療法士の仕事は極めて属人的であり、AIに奪われにくい職業の代表格です。

なぜなら、作業療法は「その人がどんな人生を歩んできて、これから何をしたいのか」という価値観を引き出し、個別の目標を設定するプロセスが不可欠だからです。患者の微妙な表情の変化を読み取り、共感し、その日の体調に合わせてプログラムを柔軟に調整する人間的なコミュニケーション能力は、テクノロジーがどれだけ進化しても完全に代替することは不可能です。

6. まとめ:飽和時代に生き残る作業療法士になるために

作業療法士の人数は現在も増加傾向にあり、最新のデータでは有資格者が約10万人に迫る勢いとなっています。厚生労働省の推計が示す通り、2040年頃には供給が需要の1.5倍になるという厳しい予測があるのも事実です。

しかし、これは「作業療法士という職業が不要になる」という意味ではありません。「ただ指示通りにリハビリを行うだけのセラピスト」が余剰になる一方で、「患者の生活と心に寄り添い、多職種と連携して地域社会で活躍できるセラピスト」の需要は、今後も絶えることなく存在し続けます。

これから求められるのは、以下のような姿勢を持つ作業療法士です。

  • 得意分野(専門性)を確立する(精神科、認知症、小児など)
  • 働く場所の視野を広げる(病院だけでなく、訪問、地域、就労支援など)
  • コミュニケーション能力と人間力を磨く

データが示す「人数の増加」という現実を正しく理解し、過度に悲観することなく、自分自身の専門性と価値を高め続けること。それが、これからの時代において「選ばれ続ける作業療法士」になるための唯一かつ確実な道と言えるでしょう。

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この記事の著者

転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部

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