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【実態調査】保育士の残業時間は多すぎる?平均時間・持ち帰りの原因と解消法

【実態調査】保育士の残業時間は多すぎる?平均時間・持ち帰りの原因と解消法

保育士として働いている方や、これから保育士を目指す方にとって、「残業時間」は最も気になる労働条件の一つです。「毎日定時で帰れない」「持ち帰り残業が当たり前になっている」といった悩みを抱える保育士は少なくありません。

この記事では、厚生労働省の公的な調査データと現場の保育士へのアンケート結果を比較しながら、保育士の残業やサービス残業、持ち帰り仕事のリアルな実態をデータと表を用いて詳しく解説します。さらに、毎日の負担を減らすための具体的な業務改善策や、根本的な解消方法も紹介しますので、現在の働き方に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

1. 保育士の平均残業時間は?公的データと現場のギャップ

保育士の残業時間を把握するためには、国が発表している公式なデータと、実際に現場で働く保育士のリアルな声(アンケートデータ)の両方を見比べる必要があります。この二つのデータには、驚くほどの大きな乖離(ギャップ)が存在しています。

厚生労働省データが示す公式な残業時間

厚生労働省が定期的に発表している「毎月勤労統計調査」や「賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均残業時間は非常に少ない数値として記録されています。最新の傾向を見ても、公式データ上では保育士は「ほとんど残業がない職業」という見え方になっています。

調査・データ項目厚生労働省調査による公式な数値備考(実態との違い)
1ヶ月の平均残業時間約3〜4.5時間全職種の平均(約13.7時間)を大きく下回る
1日あたりの残業時間約9〜15分未満タイムカード上で「残業」として申請された時間のみ

この数字だけを見ると、保育士は毎日定時で帰宅できているように感じられます。しかし、この公的データには「タイムカードを切った後の居残り業務」や「自宅での作業」が含まれていません。残業として申請・処理された時間だけを集計しているため、現場の保育士が体感している疲労感や労働時間とは大きく異なっているのが実情です。

民間データが浮き彫りにする「サービス残業」の実態

一方で、民間の人材サービス会社などが実施した保育士向けの実態調査アンケートを見ると、全く異なる状況が浮かび上がってきます。多くの保育士が、毎日のように所定労働時間を超えて働いています。

項目民間調査による実態データ背景・詳細
月間の平均残業時間約20時間以上(半数以上の保育士が該当)厚生労働省の公式データ(月3〜4時間)とは大きく異なり、1日あたり約1時間の残業が常態化している。
役職者・中堅層の残業時間1日約1.5〜2時間程度経験年数が増え、クラスリーダーや主任などを任されると、後輩指導や管理業務が加わりさらに増加する傾向にある。
サービス残業の発生状況残業の多くが未申請(無給)タイムカードを定時で切った後の「居残り作業」として行われることが多く、労働時間として正当に評価・還元されていないケースが目立つ。
主な残業内容行事の準備、事務作業(日誌・月案など)、会議子どもが帰った後や午睡(お昼寝)の短い時間では終わらない業務量が、終業後のサービス残業に直結している。

民間のアンケート調査等によると、保育士の半数以上が月に約20時間(1日あたり約1時間)以上の残業を行っているという結果が出ています。さらに、経験年数が増えてクラスリーダーや主任などの役職に就くと、後輩の指導や管理業務が加わるため、1日1.5時間から2時間近い残業が常態化しているケースも珍しくありません。これらの多くは残業代が支払われない「サービス残業」となっており、保育士の労働環境において大きな問題となっています。

持ち帰り残業のリアルな現状

さらに深刻なのが「持ち帰り仕事」の問題です。勤務時間内や園に残って終わらせることができなかった業務を、自宅に持ち帰って処理する保育士は非常に多く存在します。

マイナビ保育士などのアンケート調査では、全体の約67%以上の保育士が「持ち帰り業務を経験している」と回答しています。また、「ほぼ毎日持ち帰り残業をしている」という保育士も約3割にのぼります。

持ち帰り仕事の頻度・時間現場の実態データ
持ち帰り業務の経験率約67%〜70%以上
毎日の持ち帰り作業時間1時間〜2時間程度が最多層
持ち帰りが多い業務内容壁面製作、行事の小道具作り、指導案の作成

自宅での作業時間はもちろんタイムカードには記録されないため、厚生労働省の公式データには一切反映されません。統計に表れないこの「隠れた労働時間」こそが、保育士の心身を疲弊させる最大の要因と言えます。

2. 保育士の残業時間・持ち帰り仕事が多くなる主な理由

なぜ保育士の仕事は、これほどまでにサービス残業や持ち帰り仕事が発生しやすいのでしょうか。その背景には、保育業界特有の構造的な問題や業務内容の多さが関係しています。

慢性的な人手不足とギリギリの人員配置

残業が発生する最も大きな理由は「慢性的な人手不足」です。保育士の有効求人倍率は全産業の平均と比べても常に高く、常に人材が不足している状態が続いています。

項目状況・数値の目安影響
有効求人倍率約3.5倍前後(時期による)全産業平均(約1.3倍)と比較して圧倒的な売り手市場であり、園側は採用が困難。
人員の配置基準法定基準ギリギリでの運営1人が休むだけで現場が回らなくなり、休憩時間の確保や事務作業の時間が消滅する。

児童福祉法では子どもの年齢に応じて「保育士1人あたりが担当する子どもの数(配置基準)」が定められています。しかし、多くの保育園ではこの最低基準ギリギリの人数で運営しているため、少しでもイレギュラーな事態(子どもの怪我や対応、職員の体調不良など)が起きると、本来事務作業に充てるはずだった時間が削られ、結果として終業後の残業に直結してしまいます。

多岐にわたる事務作業と根強い手書き文化

保育士の仕事は「子どもと遊ぶこと・お世話をすること」だけではありません。子どもたちが降園した後や、お昼寝(午睡)の時間に行う事務作業の量が非常に多いことも残業の原因です。

主な事務作業・書類内容と負担感
指導案(月案・週案・日案)クラス運営の目標や活動内容を計画する書類。作成にまとまった思考時間が必要。
保育日誌・児童票子ども一人ひとりの日々の成長やトラブルを記録する書類。詳細な観察が必要。
連絡帳の記入保護者とコミュニケーションをとるための重要なノート。手書きの園もまだ多い。
園だより・クラスだより保護者向けのおたより作成。文章作成やイラストの配置などに時間がかかる。

これだけの書類を抱えているにもかかわらず、子どもが起きている間は絶対に目を離せないため、物理的にペンを握る時間がありません。さらに、保育業界では現在でも「手書き=心がこもっている」という古い価値観が残っている園も少なくなく、パソコンやタブレットを使えばすぐに終わる作業に多大な時間を奪われているケースが散見されます。

季節ごとの行事・イベント準備

保育園では1年を通してさまざまな行事が行われます。入園式や卒園式はもちろん、運動会、お遊戯会、夏祭り、クリスマス会、さらには毎月のお誕生日会など、イベントが途切れることはありません。

行事の直前になると、衣装作り、会場の装飾(壁面製作)、プログラムの作成、進行の打ち合わせなど、通常業務にプラスして膨大な裏方作業が発生します。これらの製作物はハサミやのりを使って手作業で作るものが多く、保育時間内には到底終わらないため、やむを得ず自宅に大量の画用紙を持ち帰って深夜まで作業をする「持ち帰り残業」の温床となっています。

3. 保育士の残業・持ち帰り仕事を解消する具体的な方法

過酷な残業状況を少しでも改善し、プライベートな時間を確保するためには、どのような対策を取ればよいのでしょうか。ここでは、保育士個人の努力や工夫で実践できる解消方法を解説します。

業務の可視化と優先順位の整理

まずは、自分が日々どのような業務にどれだけの時間を奪われているのかを「可視化」することが重要です。漠然と仕事に取り組むのではなく、今日やるべきタスクをリストアップし、優先順位をつけてから取り掛かる癖をつけましょう。

優先順位の分類具体例対応方法
最優先(今日中・必須)明日の保育準備、当日の連絡帳、怪我の報告書定時までに必ず終わらせるよう時間をブロックする。
中優先(数日以内)週末提出の週案、来週の壁面製作の一部毎日少しずつ進める。スキマ時間を活用する。
低優先(急ぎではない)翌月のおたよりの構成案、備品の整理後回しにするか、他の職員と分担できないか相談する。

優先度の低い業務に完璧を求めすぎず、「60〜70%の完成度でも業務を前に進める」という意識を持つだけでも、作業時間は大幅に短縮されます。

記録や書類のテンプレート化

日々の事務作業にかかる時間を劇的に減らす有効な手段が「テンプレート(雛形)の作成」です。

例えば、毎日の保育日誌や毎月のクラスだよりで「よく使う言い回し」や「決まったフォーマット」をあらかじめ用意しておきます。

  • フォーマット化の例
    • 日誌:「天候」「活動内容」「子どもの様子」「考察」と項目を分け、箇条書きで埋めるだけのルールを自分の中で作る。
    • おたより:レイアウトを毎月固定し、挨拶文や季節の定型文を数パターン用意して使い回す。
    • 製作物:毎年イチからデザインを考えるのではなく、過去の先輩が作った型紙を再利用・アレンジする。

毎回ゼロから頭を悩ませる時間を省くことで、事務作業のスピードは格段に上がります。

タイムマネジメントとスキマ時間の活用

子どもたちのお昼寝(午睡)時間は、保育士にとって唯一のまとまった事務作業時間です。しかし、この時間に連絡事項の共有や雑談が長引いてしまうと、あっという間に時間が過ぎてしまいます。

「13時から14時までの1時間は絶対に日誌に集中する」と自分の中でタイムリミットを設け、時間を意識して作業を行うことが大切です。また、子どもが安全に遊んでいる最中に、頭の中だけで「明日の活動の流れ」や「おたよりの構成」を考えておくなど、見えないスキマ時間を有効活用することで、机に向かった瞬間にすぐ書き出せるようになります。

4. どうしても残業が減らない場合の根本的な選択肢

個人の業務効率化やタイムマネジメントには限界があります。「園全体の業務量が多すぎる」「園長が残業を美徳としている」など、職場環境そのものに問題がある場合は、働き方を変えるための根本的なアクションが必要です。

ICTシステムを積極的に導入している園へ転職する

近年、保育士の負担軽減のために「保育ICTシステム」を導入する保育園が増えています。ICTを導入している園では、残業時間が大幅に削減されている傾向があります。

ICT化されている主な業務従来のやり方(手書き)との違い負担軽減のメリット
保護者との連絡帳ノートに手書きで記入し、朝夕に受け渡しスマホアプリで入力・送信。一斉送信やコピペが可能。
登降園の管理タイムカードや手書きの出欠簿ICカードやアプリで自動記録。延長保育料の計算も自動。
指導案・日誌作成手書きの書類をファイルに保管PCやタブレットで入力。過去のデータの引用が簡単。

手書き文化から脱却し、デジタル化に前向きな保育園へ転職することは、サービス残業や持ち帰り仕事を劇的に減らす最も確実な方法の一つです。

配置基準以上の人員にゆとりがある園を選ぶ

求人を探す際、施設の「保育士の配置状況」をチェックすることも重要です。国が定める配置基準ギリギリではなく、自治体独自の厳しい基準を満たしている園や、独自にゆとりを持った人員配置(プラス1〜2名のフリー保育士など)を行っている園を選びましょう。

人員に余裕があれば、保育時間中に交代で事務作業の時間(ノンコンタクトタイム)を確保することができ、結果として残業が発生しにくくなります。

雇用形態(派遣・パートなど)を見直す

正規職員(正社員)としての責任や業務量がどうしても負担になる場合は、雇用形態を変更するのも一つの選択肢です。

派遣保育士やパートタイマー・アルバイトの場合、契約で労働時間が厳密に定められているため、原則として残業や持ち帰り仕事が発生しません。

雇用形態残業の有無メリットとデメリット
正規職員(正社員)残業・持ち帰りあり給与や待遇は安定しているが、業務量と責任が重い。
派遣保育士原則なし時給が高めで残業がないが、契約期間に定めがある。
パート・アルバイトほとんどなし働く時間や日数を自由に選べるが、収入は正社員より下がる。

自分のライフスタイルや心身の健康を最優先に考え、正社員以外の働き方や、より労働環境の整備された園への転職を検討してみてください。

5. この記事のポイント

  • 公的データと現場実態の大きなギャップ厚生労働省のデータでは保育士の平均残業時間は「月3〜4時間程度」とされていますが、現場のアンケート調査では「月20時間以上」のサービス残業や、日常的な「持ち帰り仕事」が蔓延していることが明らかになっています。
  • 残業が発生する3大要因「慢性的な人手不足によるギリギリの運営」「手書き中心の膨大な事務書類」「季節の行事やイベントに向けた製作準備」が、保育士の労働時間を圧迫する主な原因です。
  • 個人でできる改善策は「可視化」と「効率化」業務の優先順位をつけて時間を区切ることや、日誌やおたよりなどの書類をテンプレート化・フォーマット化することで、毎日の事務作業時間を短縮できます。
  • 根本解決には職場環境を変えることも視野に個人の努力で改善できない場合は、「ICTシステムを導入している保育園」「人員配置にゆとりがある保育園」への転職や、残業のない派遣保育士などの新しい働き方を選択することが、自分自身を守る有効な解決策となります。

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この記事の著者

転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部

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