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【2026年最新】変形労働時間制とは?1ヶ月・1年単位の違いや残業代の計算方法をわかりやすく解説

変形労働時間制とは?1ヶ月・1年単位の違いや残業代の計算方法をわかりやすく解説

働き方の多様化が進む現代において、企業と労働者の双方にとってメリットのある労働時間制度の導入が求められています。その中でも代表的な制度が「変形労働時間制」です。

しかし、「変形労働時間制という言葉は聞いたことがあるけれど、普通の労働時間と何が違うのかわからない」「1ヶ月単位や1年単位など種類があって複雑」「残業代の計算方法が不明確でトラブルになりそう」と悩む人事担当者や経営者、あるいは労働者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、変形労働時間制の基本的な仕組みから、単位別の種類(1ヶ月、1年、1週間、フレックスタイム制)の違い、最もつまづきやすい残業代(時間外労働)の取り扱い、そして導入手順までを網羅的にわかりやすく解説します。図表や実際の調査データも交えながら解説しますので、自社への導入検討や制度の正しい理解にぜひお役立てください。

1. 変形労働時間制とは?基本概念をわかりやすく解説

日本の労働基準法では、労働時間の上限が「1日8時間、1週40時間」と定められています。これを「法定労働時間」と呼びます。原則として、この法定労働時間を1分でも超えて働かせた場合には、企業は労働者に対して割増賃金(残業代)を支払わなければなりません。

しかし、業務の繁閑(忙しい時期と暇な時期)には波があるのが通常です。例えば「月末の5日間だけ極端に忙しい」「夏は閑散期だが冬は繁忙期になる」といった企業の場合、原則通りの労働時間制度では非効率が生じます。

そこで活用されるのが「変形労働時間制」です。

変形労働時間制とは、一定の期間(1ヶ月以内、あるいは1年以内など)を平均して、1週間あたりの労働時間が法定労働時間(原則40時間)に収まっていれば、特定の日や週に法定労働時間を超えて働かせても、時間外労働(残業)として扱わないことができる制度です。

簡単に言えば、「忙しい日は1日10時間働く代わりに、暇な日は1日6時間に減らし、期間全体のトータルで労働時間の帳尻を合わせる」という柔軟な働き方を合法的に実現する仕組みです。

2. データで見る!変形労働時間制の導入割合

実際に日本の企業はどの程度この変形労働時間制を導入しているのでしょうか。厚生労働省が発表している「令和5年就労条件総合調査」のデータから、企業の導入状況を確認してみましょう。

【表1:企業規模別の変形労働時間制の導入割合】

企業規模(従業員数)何らかの変形労働時間制を採用している割合1年単位を採用1ヶ月単位を採用フレックスタイム制を採用
全体平均59.5%31.3%25.2%7.0%
1,000人以上76.4%22.8%34.6%32.7%
300〜999人70.8%28.7%32.6%14.7%
100〜299人66.8%33.5%29.8%8.0%
30〜99人56.6%30.7%22.9%4.3%

※出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」より数値を抜粋・構成

※複数の制度を導入している企業があるため、各種類の合計は全体割合と一致しません。

上記のデータが示す通り、日本の全企業の約6割(59.5%)が何らかの変形労働時間制を導入しています。特に「1年単位」の採用が約3割と最も多く、次いで「1ヶ月単位」が約2.5割となっています。フレックスタイム制は大企業になるほど導入率が高まる傾向が顕著に表れています。

このように、変形労働時間制は決して特殊な制度ではなく、日本の過半数の企業で活用されているスタンダードな労働時間管理の手法であることがわかります。

3. 変形労働時間制の4つの種類と特徴(比較表あり)

一口に変形労働時間制と言っても、対象となる期間や職種によって4つの種類に分けられます。まずはそれぞれの特徴を全体像として把握できるよう、比較表で整理しました。

【表2:変形労働時間制の4つの種類と全体像】

種類対象期間主な対象業種・職種例特徴・向いているケース
1ヶ月単位1ヶ月以内医療、介護、小売、飲食、警備月内の特定週・特定日に業務の波がある。シフト制勤務と相性が良い。
1年単位1ヶ月超〜1年以内製造業、建設業、観光業、百貨店季節によって大きな繁閑の差がある。年間カレンダーで休日を調整したい。
1週間単位1週間小規模な小売、飲食、旅館日々の繁閑が激しく、週末などに集中する。従業員30人未満の特定業種のみ。
フレックスタイム制3ヶ月以内ITエンジニア、企画、デザイン、事務労働者自身が日々の始業・終業時刻を自由に決定できる。個人の裁量が大きい。

以下で、それぞれの種類について詳しく解説します。

1ヶ月単位の変形労働時間制

1ヶ月以内の一定期間を平均し、週の労働時間が40時間(一部の特例事業場は44時間)以内に収まるように労働時間を調整する制度です。

例えば、「月末の1週間だけ極端に忙しい経理部門」や、「日によって夜勤や長時間労働が発生する医療・介護などのシフト制職場」で多く採用されています。事前に1ヶ月分のシフト(労働日と労働時間)を決定しておく必要があります。

1年単位の変形労働時間制

1ヶ月を超え、1年以内の期間を対象とする制度です。「夏は冷暖房器具の製造で忙しいが、冬は暇になる」といった季節的な業務の波がある製造業や、「お盆や年末年始のみ極端に忙しい」観光業・宿泊業などで重宝されます。

期間が長い分、労働者への負担が大きくなる可能性があるため、「1日の労働時間上限は10時間」「1週間の労働時間上限は52時間」「連続勤務は最大6日まで」といった厳しい制限が法律で設けられています。

1週間単位の非定型的変形労働時間制

1週間の労働時間を40時間以内に収めることを条件に、1日の労働時間を最大10時間まで延長できる制度です。

この制度は適用条件が非常に厳しく、「従業員数が30人未満」かつ「小売業、旅館、料理・飲食店」のいずれかに該当する事業所しか導入できません。日々の天候や予約状況によって急激に客数が変動する小規模店舗向けの特例的な制度です。

フレックスタイム制

フレックスタイム制も、広い意味では変形労働時間制の一種です。最大3ヶ月以内の「清算期間」における総労働時間だけを企業が定め、その枠内で労働者が毎日の始業時刻と終業時刻を自由に決定できる制度です。

他の変形労働時間制が「会社が労働時間を事前に割り振る」のに対し、フレックスタイム制は「労働者自身が時間をコントロールする」という点で大きく性質が異なります。

4. 【種類別】変形労働時間制を導入するメリット・デメリット

変形労働時間制は魔法の制度ではありません。企業側にも労働者側にも、それぞれメリットとデメリットが存在します。ここでは最も導入件数が多い「1ヶ月単位」と「1年単位」に焦点を当てて解説します。

企業側のメリット・デメリット

企業にとって最大のメリットは「人件費(残業代)の適正化」と「生産性の向上」です。

業務量が少ない日の労働時間を短く設定し、その分の時間を忙しい日に割り振ることで、無駄な待機時間を減らし、これまで発生していた残業代を大幅に削減できる可能性があります。

一方でデメリットは、「労働時間管理や給与計算が非常に複雑になること」です。日によって所定労働時間が変わるため、単純に「17時以降は残業」というような画一的な計算ができなくなります。また、事前にシフトやカレンダーを作成して労働者に周知する手間もかかります。

労働者側のメリット・デメリット

労働者にとってのメリットは、「メリハリのある働き方ができ、休日が増える可能性があること」です。例えば、繁忙期は少し帰りが遅くなっても、閑散期には午後早めに退社できたり、まとまった連休を取得しやすくなったりします。仕事とプライベートのバランス(ワークライフバランス)を中長期的な視点で調整しやすくなります。

デメリットとしては、「長時間労働による疲労」と「残業代の減少」が挙げられます。あらかじめ1日10時間労働と設定された日は、10時間働いても残業代が出ません。また、シフトが確定するまで予定が立てづらいと感じる労働者もいます。

5. 複雑な「残業(時間外労働)」の取り扱いと計算方法

変形労働時間制を導入した企業で最もトラブルになりやすいのが、残業代(時間外割増賃金)の計算です。「所定労働時間を超えればすべて残業」という単純なルールではなくなるため、正しいステップを踏んで計算する必要があります。

残業に該当するかどうかは、以下の「日」「週」「期間全体(月や年)」の3つのステップを順番に判定していきます。

  1. 【日ごとの判定】あらかじめ会社が定めた「所定労働時間」を超えて働いた時間が残業となります。ただし、所定労働時間が8時間未満の日(例:7時間)は、8時間を超えるまで残業扱いになりません。あらかじめ9時間と設定されていた日は、9時間を超えた分からが残業です。
  2. 【週ごとの判定】「日ごとの判定」で残業とした時間を除き、あらかじめ定めた「週の所定労働時間」を超えた時間が残業となります。これも、所定が40時間未満の週は40時間を超えた分から、所定が42時間など40時間を超えている週は、その時間を超えた分からが残業です。
  3. 【対象期間全体での判定】最後に、対象期間全体(1ヶ月や1年)の「法定労働時間の総枠」を超えた時間が残業となります(日・週の判定で既にカウントした残業時間は除外します)。

期間全体の法定労働時間の総枠は、以下の計算式で算出されます。

対象期間の暦日数 ÷ 7日 × 40時間

【表3:1ヶ月単位の変形労働時間制における法定労働時間の総枠】

対象期間(1ヶ月の暦日数)法定労働時間の総枠(上限)
28日の月(平年の2月)160.0時間
29日の月(うるう年の2月)165.7時間
30日の月(4,6,9,11月)171.4時間
31日の月(1,3,5,7,8,10,12月)177.1時間

※特例措置対象事業場(常時10人未満の商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業)の場合、週の基準が44時間となるため計算結果が異なります。

このように、変形労働時間制における残業代の計算はパズルを解くような複雑な手順を要します。エクセル等での手計算ではミスが起きやすいため、変形労働時間制に対応した勤怠管理システムの導入を強く推奨します。

6. 変形労働時間制を企業が導入するための3つの手順

変形労働時間制を合法的に運用するためには、労働基準法に則った厳密な手続きが必要です。勝手に社内ルールとして運用すると法律違反となり、未払い残業代の請求リスクを抱えることになります。ここでは一般的な導入手順を3つのステップで解説します。

ステップ1:労使協定の締結または就業規則の作成

1ヶ月単位の変形労働時間制を導入する場合は、「就業規則への記載」または「労使協定の締結」のいずれかが必要です。常時10人以上の労働者がいる事業所では就業規則の作成・変更が義務付けられているため、就業規則にルールを記載するのが一般的です。

一方、1年単位や1週間単位の変形労働時間制、フレックスタイム制を導入する場合は、就業規則への記載に加えて、必ず労働者の過半数代表者(または過半数労働組合)との間で「労使協定の締結」が必須となります。

ステップ2:労働基準監督署への届出

労使協定を締結した、あるいは就業規則を変更した場合、管轄の労働基準監督署へ届出を行う必要があります。

1年単位の変形労働時間制では、「1年単位の変形労働時間制に関する労使協定届」を所定の様式(様式第4号)で作成し、労働日や労働時間を定めた年間カレンダーを添付して提出します。この届出を怠ると、制度が無効になる恐れがあるため注意が必要です。

ステップ3:従業員への周知と運用開始

制度を導入する際は、対象となる期間が始まる前に、具体的な労働日と労働時間を従業員に周知しなければなりません。1ヶ月単位であれば前月までにシフト表を提示し、1年単位であれば1年分の労働カレンダーを提示します。

従業員の生活リズムに直結するため、丁寧な説明会を開くなど、理解を得ながら進めることが成功の鍵となります。

7. 変形労働時間制に関するよくある質問(FAQ)

変形労働時間制の運用において、実務上よく寄せられる疑問にお答えします。

Q. アルバイトやパートタイム労働者にも変形労働時間制は適用できますか?

適用可能です。ただし、もともと労働時間が短いパートタイマーの場合、変形労働時間制を適用するメリット(残業代削減など)が薄いケースが多く、正社員のみを対象とする企業が一般的です。適用対象者は就業規則等で明確に定めておく必要があります。

Q. 期間の途中で退職・入社した従業員の労働時間はどう計算しますか?

対象期間の途中で採用されたり、退職したりした労働者については、実際に在籍していた期間をベースに労働時間を再計算する「中途入退社等の特例」が適用されます。在籍期間を平均して週40時間を超えて労働させていた場合は、その超過分について割増賃金の支払いが必要になります。

Q. 一度決めたシフトや勤務カレンダーは、業務の都合で後から変更できますか?

原則として、事後の変更は認められません。変形労働時間制は「事前に労働日と労働時間が特定されていること」が適法の条件だからです。台風などの不可抗力による特別な事情がない限り、会社都合での急なシフト変更は制度の趣旨に反するため、通常の残業扱いなどで対処する必要があります。

8. まとめ:自社に合った制度で柔軟な働き方を実現しよう

変形労働時間制は、業務の繁閑に合わせて労働時間を柔軟に配分することで、企業の残業代コストの適正化と、労働者のワークライフバランスの向上を同時に実現できる強力な制度です。

  • 1ヶ月単位: シフト制や月内の業務波に対応
  • 1年単位: 季節ごとの大きな繁閑差に対応
  • フレックスタイム制: 労働者個人の裁量を重視

全体の約6割の企業が導入していることからもわかるように、現代の経営において労務管理の工夫は必須です。しかし、導入の手続きや毎月の残業代計算は複雑であるため、見切り発車での運用はトラブルの元となります。

自社の業務サイクルにはどの制度が最も適しているのかを分析し、就業規則の整備や勤怠管理システムの導入を進めながら、労使双方が納得できるクリーンな労働環境を構築していきましょう。

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この記事の著者

転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部

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