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看護記録のSOAP(ソープ)とは?例文付きで書き方の基本とコツを徹底解説

看護記録のSOAP(ソープ)とは?例文付きで書き方の基本とコツを徹底解説

新人看護師や看護学生の多くが、最初に壁として感じるのが「看護記録」ではないでしょうか。中でも、多くの医療現場で採用されている「SOAP(ソープ)」形式の記録は、慣れるまでどう書けばいいのか迷ってしまうことが多いものです。

「S情報とO情報の区別がつかない」「アセスメント(A)に何を書けばいいのかわからない」「先輩から『客観性が足りない』と指導されてしまう」といった悩みを抱えている方は少なくありません。

しかし、SOAPは一度基本のルールをマスターしてしまえば、患者さんの状態を論理的かつ的確に伝えることができる非常に便利なツールです。

この記事では、SOAPの基本的な意味から、それぞれの項目の役割、そして明日からすぐに使える具体的な例文や上達のコツまでを徹底的に解説します。この記事を読めば、自信を持って質の高い看護記録を書けるようになるはずです。

1. 看護記録におけるSOAP(ソープ)とは?

SOAP(ソープ)とは、患者さんの抱える問題に対して、どのようなアプローチを行い、その結果どうなったのかを論理的に記録するための手法です。元々はPOMR(Problem Oriented Medical Record:問題志向型医療記録)というシステムの一部として提唱されました。

医療現場では、医師、看護師、薬剤師、理学療法士など、多職種が連携して患者さんのケアにあたります。そのため、誰が読んでも患者さんの状態やケアの方向性が正確に伝わる記録が不可欠です。

SOAP形式で記録を残すことで、患者さんの発言(主観的情報)、検査データや観察結果(客観的情報)、それらに基づく評価(アセスメント)、そして今後の計画(プラン)が明確に整理されます。これにより、情報の抜け漏れを防ぎ、チーム全体で一貫した医療・看護を提供することが可能になります。また、過去の記録を振り返る際にも、なぜそのケアを行ったのかという根拠がすぐに把握できるという大きなメリットがあります。

2. SOAPの4つの構成要素(S・O・A・P)を解説

SOAPは、Subjective data、Objective data、Assessment、Planの4つの英単語の頭文字をとったものです。それぞれの要素がどのような意味を持ち、何を記載すべきなのかを正しく理解することが、上達への第一歩です。

以下の表に、SOAPの4つの構成要素の概要をまとめました。

項目英語表記意味記録する内容の例
SSubjective data主観的情報患者さんやご家族の発言、訴え、思いなど
OObjective data客観的情報バイタルサイン、検査データ、看護師の観察結果など
AAssessment評価・分析SとOの情報を基にした看護師の専門的な判断、予測
PPlan計画Aに基づいた今後の看護計画、追加の観察項目など

S(Subjective data):主観的情報

S情報は、患者さん本人やそのご家族が直接話した言葉や、訴えをそのまま記録する項目です。痛み、吐き気、不安、希望など、患者さん自身がどのように感じているかという「主観」を表します。

記録する際は、患者さんの言葉のニュアンスを変えずに、できるだけそのままカギカッコ(「」)を用いて記載するのが基本です。これにより、患者さんのリアルな状態や精神的な背景をチームメンバーと共有することができます。

O(Objective data):客観的情報

O情報は、医療従事者が五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚)を使って観察した事実や、数値として測定されたデータを記録する項目です。バイタルサイン(血圧、脈拍、体温、呼吸数)、血液検査の結果、画像診断の結果、食事の摂取量、排泄物の状態、表情や動作の様子などが該当します。

ここには、看護師の推測や感情を含めてはいけません。誰が見ても同じように認識できる、事実のみを正確に記載することが求められます。

A(Assessment):アセスメント(評価・分析)

Aは、SOAPの中で最も難しく、かつ最も重要な項目です。ここでは、S情報とO情報を統合し、看護師としての専門的な知識に基づいて「現在患者さんに何が起きているのか」「今後どのようなリスクがあるのか」「現在のケアは適切か」を分析・評価します。

単なる状況の説明ではなく、「なぜその状態になっているのか」「その状態が続くとどうなるのか」という考察を深めることが求められます。的確なアセスメントがあって初めて、有効な看護計画を立案することができます。

P(Plan):計画

Pは、アセスメント(A)で導き出された結論に基づいて、今後具体的にどのようなケアを実施していくのかを記録する項目です。看護計画の立案、変更、あるいは継続を記載します。

Pは主に「O-P(観察計画)」「T-P(ケア・治療計画)」「E-P(教育・指導計画)」の3つに分類して記載することが多く、誰が読んでも次に何をすべきかが明確にわかるように具体的に書くことが大切です。

3. 【状況別】SOAPの具体的な書き方・例文集

構成要素の基本を理解したところで、実際の臨床現場でよく遭遇するシチュエーション別の例文を見ていきましょう。例文を参考にすることで、イメージが湧きやすくなります。

例文1:疼痛を訴える患者さんの場合(術後2日目)

術後の患者さんにおいて、痛みのコントロールは非常に重要な看護ケアの一つです。痛みの程度と、それが及ぼす影響を論理的に記録します。

S(主観的情報):

「傷口がズキズキ痛くて、昨日の夜はあまり眠れませんでした。起き上がるのも辛いです」

O(客観的情報):

・バイタルサイン:体温37.2℃、脈拍92回/分、血圧138/85mmHg

・表情:眉間にしわを寄せ、苦痛表情あり。

・動作:寝返りを打つ際、創部を押さえて動きが緩慢になる。

・創部の状態:発赤・腫脹なし、浸出液なし。

・睡眠状況:夜間巡視時(2時、4時)、覚醒しているのを確認。

A(アセスメント):

術後2日目であり、創部周囲の炎症反応による急性疼痛が生じている。創部の感染徴候はみられない。しかし、疼痛により十分な睡眠がとれておらず、また離床への意欲や動作の妨げになっている。痛みを我慢することで交感神経が優位になり、血圧・脈拍の上昇もみられる。早期離床と体力回復を促すためにも、鎮痛薬を適切に使用し、苦痛の緩和を図る必要がある。

P(プラン):

・O-P:痛みの部位、程度(NRS)、持続時間、バイタルサインの変動、睡眠状況の観察。

・T-P:医師の指示に基づき、頓用の鎮痛薬(ロキソプロフェン)を投与する。安楽な体位の工夫と、体位変換時の介助を行う。

・E-P:痛みを我慢せず、辛い時は早めにスタッフに伝えるよう指導する。

例文2:発熱がある患者さんの場合(肺炎治療中)

感染症の治療中など、発熱が見られる場合は、それに伴う全身状態の観察と分析が求められます。

S(主観的情報):

「少し体がだるくて、寒気がします。喉も渇きました」

O(客観的情報):

・バイタルサイン:体温38.5℃、脈拍105回/分、血圧110/70mmHg、SpO2 96%(room air)

・皮膚状態:皮膚は熱感あり、発汗著明。

・呼吸器症状:時折、湿性の咳嗽あり。黄色痰の喀出少量。

・水分摂取量:朝食後から現在(14時)までで約200ml。

A(アセスメント):

肺炎の治療中であり、感染の増悪または炎症の遷延により発熱していると考えられる。悪寒戦慄はみられないが、発熱と著明な発汗により不感蒸泄が亢進しており、水分摂取量も不足気味であることから、脱水のリスクが高い状態にある。また、咳嗽と喀痰が続いており、体力の消耗も懸念される。解熱を促すとともに、積極的な水分補給と安楽な療養環境の提供が必要である。

P(プラン):

・O-P:バイタルサインの測定(2時間ごと)、悪寒・熱感の有無、発汗量、尿量、水分摂取量、呼吸状態および喀痰の性状の観察。

・T-P:寝衣交換を行い、清潔と安楽を保つ。クーリング(腋窩・鼠径部)を実施する。飲水を促し、手の届く位置に水差しを配置する。

・E-P:こまめな水分補給の重要性を説明し、飲水を促す。

4. わかりやすいSOAPを書くための3つのコツ

質の高い看護記録を効率的に書くためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。ここでは、明日から実践できる3つのコツを紹介します。

1. S情報とO情報を明確に区別する

SOAPの基本中の基本ですが、主観的な事実(S)と客観的な事実(O)が混ざってしまう記録は少なくありません。例えば「患者さんは痛がっている」という記載は、患者の言葉(S)なのか、看護師の観察(O)なのか曖昧です。

「お腹が痛い」と発言した(S)、顔をしかめている(O)というように、情報は出どころによって明確に分けて記載しましょう。この整理ができているだけで、記録の説得力は格段に上がります。

2. アセスメント(A)には根拠を持たせる

アセスメントは「なんとなくこう思う」という感想を記述する場所ではありません。必ずS情報とO情報に基づいた「根拠」が必要です。

「脱水のリスクがある」と記載するなら、その前に「O情報で発汗が多く、尿量が減少し、S情報で口渇を訴えているため」という理由を明記します。情報(S・O)→ 分析・根拠 → 結論(A)という論理的な流れを意識して文章を組み立てることで、説得力のあるプロフェッショナルな記録になります。

3. 誰が読んでも理解できる客観的な表現を使う

看護記録は、自分以外の多職種も目にする公的な文書です。「少し」「たくさん」「ひどい」といった抽象的な表現は人によって解釈が分かれるため、避けるべきです。

例えば、「尿量が少し減った」ではなく「本日の尿量は400mlであり、昨日より300ml減少している」と具体的な数値を用います。「痛みがひどい」ではなく「NRS(痛みのスケール)で8/10と評価」など、客観的な指標を用いることで、情報の正確性が飛躍的に向上します。

5. SOAPを書く際のよくあるNG例と改善策

最後に、初心者が陥りがちなNG例と、それをどう改善すれば良いのかを表形式で解説します。自身の記録と照らし合わせて確認してみてください。

項目よくあるNG例NGの理由改善策(OK例)
O情報患者さんは悲しそうだった。看護師の「主観」や「推測」が入っている。涙ぐみながらうつむいており、質問に対して小声で返答した。
A情報熱があるため、氷枕でクーリングをする。A(評価)ではなく、P(計画)の内容になっている。感染に伴う発熱があり、著明な発汗による体液喪失のリスクがある。解熱と安楽の促進が必要である。
全体S:痛いと言う。
O:熱37.5℃。
A:痛みがある。
P:様子を見る。
情報が少なすぎ、アセスメントが行われていない。(例文1のように)痛みの部位・程度、随伴症状を記載し、なぜ痛むのかを分析し、具体的な計画を立てる。

O情報に自分の推測を混ぜてしまうミスは非常に多いため注意が必要です。また、アセスメント(A)が単なる状況説明や、「プラン(P)の先取り」になってしまっているケースも散見されます。Aでは「現状の分析と課題の抽出」に留め、具体的な行動はPに書くという役割分担を徹底しましょう。

6. まとめ:SOAPをマスターして的確な看護記録を作成しよう

看護記録のSOAP(ソープ)は、患者さんの情報を整理し、論理的な思考プロセスをチーム全体で共有するための重要なスキルです。

  • S(主観的情報):患者さんの言葉
  • O(客観的情報):事実やデータ
  • A(アセスメント):専門的な分析と評価
  • P(プラン):今後の具体的な計画

最初は情報をどのように振り分ければいいか迷ったり、アセスメントの文章構成に悩んだりするかもしれません。しかし、今回紹介した例文やコツを参考にしながら、毎日少しずつ意識して書くことで、必ず上達していきます。

客観的なデータを集め、根拠のあるアセスメントを行うことは、記録の質を向上させるだけでなく、あなた自身の看護師としての観察力や思考力を高めることにも直結します。ぜひ、日々の業務の中でSOAPを積極的に活用し、質の高い看護ケアの提供に繋げていってください。

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この記事の著者

転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部

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