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休職中の給与はどうなる?手当・ボーナス・社会保険料までFPが分かりやすく解説

休職中の給与はどうなる?手当・ボーナス・社会保険料までFPが分かりやすく解説

「病気やケガで休職することになったけれど、その間の給与はどうなるのだろう」「生活費やボーナス、社会保険料の支払いはどうすればいい?」と不安を抱えていませんか?

突然の休職は、体調面だけでなく金銭面でも大きなストレスや不安を伴うものです。お金の見通しが立たないと、安心して休養に専念することも難しくなってしまいます。

結論から言うと、休職中の給与は原則支給されませんが、公的制度である「傷病手当金」を利用することで、従来の給与の約3分の2を受け取ることが可能です。

この記事では、休職中のお金に関する疑問(給与・手当・ボーナス・税金・社会保険料)をどこよりも分かりやすく解説します。受給条件や具体的な計算例、手続きの流れもまとめていますので、金銭的な不安を解消し、安心して療養に入るためのガイドとしてご活用ください。

休職中の給与は原則「無給」!労働基準法のルール

休職に入った際、多くの方が最初に直面するのが「休職中に会社から給与が出るのか」という問題です。

結論からお伝えすると、法律上、休職期間中の給与支払いは義務付けられておらず、原則「無給」となります。

「ノーワーク・ノーペイの原則」とは?

労働基準法には「ノーワーク・ノーペイの原則」という考え方があります。これは、「労働を提供していない時間に対して、会社は給与を支払う義務がない」という原則です。休職は労働者側の事情(病気、ケガ、メンタルヘルスの不調など)によって労働を提供できない状態であるため、会社は給与を支払わなくても違法ではありません。

企業の休職中給与の支給状況データ

厚生労働省の「就労条件総合調査」などのデータによると、私傷病(業務外の病気やケガ)による休職期間中に「給与の全額または一部を支給する」と定めている企業の割合は全体の一部にとどまります。

企業規模休職中の給与支給制度あり(全額・一部)原則無給(制度なし含む)
1,000人以上約 35%約 65%
300〜999人約 25%約 75%
30〜299人約 15%約 85%

※各種労働条件調査を基にした傾向値

上記のように、特に中小企業においては、休職期間中を「全額無給」とする就業規則を設けているケースが半数以上を占めます。まずはご自身の勤め先の「就業規則」や「休職規定」を確認することが最も重要です。

給与の代わりに受け取れる「傷病手当金」とは?

会社からの給与がゼロになるからといって、無収入で生活が破綻するわけではありません。加入している公的医療保険(健康保険)から「傷病手当金(しょうびょうてあてきん)」という給付金を受け取ることができます。

傷病手当金の支給条件(4つの要件)

傷病手当金を受給するためには、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。

  1. 業務外の病気やケガの療養のための休業であること(自費診療・保険診療を問わない。うつ病などのメンタルヘルス不調も対象)
  2. 仕事に就くことができない状態(労務不能)であること(医師の証明が必要)
  3. 連続する3日間を含み、4日以上仕事に就けなかったこと(業務不能となった最初の3日間を「待期期間」と呼ぶ)
  4. 休職期間中に給与の支払いがないこと(給与が一部支払われている場合でも、傷病手当金の額より少なければ差額が支給される)

傷病手当金はいくらもらえる?計算方法と具体例

傷病手当金で支給される1日あたりの金額は、直近の給与をベースに計算されます。大まかな目安としては「支給開始前1年間の平均月収の約3分の2」です。

正確な計算式は以下の通りです。

【1日あたりの支給額の計算式】

「直近1年間の平均月収(標準報酬月額)」÷ 30日 × 2/3

  1. 平均月収を算出:直近12ヶ月間の平均月収(標準報酬月額)を出します。
  2. 日額に換算:その金額を「30日」で割ります。
  3. 2/3を掛ける:出た金額に「3分の2」を掛けた額が、1日あたりの支給額になります。

※「標準報酬月額」とは、基本給や各種手当(残業代、通勤手当など)を含めた総支給額を区切りよい等級に当てはめた額です。

【具体例】直近1年間の平均標準報酬月額が30万円の人の場合

  • 1日あたりの支給額:300,000円 ÷ 30日 × 2/3 = 6,667円
  • 1ヶ月(30日換算)の支給額:6,667円 × 30日 = 200,010円

月額30万円の額面給与だった場合、月々約20万円の傷病手当金が支給される計算になります。なお、傷病手当金は非課税であるため、所得税や住民税がかかりません(手取りに近い感覚で利用できます)。

いつからいつまで?支給期間と「待期3日間」の注意点

傷病手当金が支給される期間は、支給開始された日から通算して最長1年6ヶ月です。

支給開始日を決めるうえで重要なのが「待期3日間(たいきみっかかん)」のルールです。

  • 1日目〜3日目(連続する3日間):休業【待期期間(無給)】
  • 4日目〜:休業【傷病手当金の支給対象

連続して3日間休んだ(待期3日間が完成した)後の「4日目」から傷病手当金が支給されます。

病気やケガで休み始めた最初の「連続した3日間」は待期期間となり、傷病手当金は支給されません。4日目以降の休業から支給対象となります。この3日間には有給休暇や土日祝日(公休)を含めることができますが、途中で1日でも出勤してしまうと待期期間がリセットされるため注意が必要です。

また、令和4年(2022年)1月の法改正により、支給期間が「通算」で1年6ヶ月に変わりました。復職して一度給与が出た後に再度同じ病気で休職した場合でも、残りの期間を通算して受け取ることが可能となり、より柔軟な療養が可能になっています。

休職中のボーナス(賞与)や退職金はどうなる?

給料だけでなく、年間収入の大きな割合を占める「ボーナス(賞与)」や将来の「退職金」への影響についても理解しておきましょう。

ボーナスの支給有無と評価への影響

休職中のボーナスの取り扱いは、会社の「就業規則」や「賃金規程」によって完全に委ねられています。

一般的な企業におけるボーナス算定の仕組みは以下の通りです。

条件・算定期間の状況ボーナスの支給可能性理由・影響
算定期間中にフルで休職支給なし(ゼロ)査定対象となる勤務実績がないため
算定期間の一部を休職減額して支給出勤日数の割合に応じた日割り計算
算定期間後に休職通常(または微減)支給算定期間中の実績に基づいて計算されるため

ボーナスは「算定期間(評価期間)」の勤務実績に対して支払われます。例えば、冬のボーナスの算定期間が4月〜9月の場合、この期間に休職していた日数分が「日割り計算」で減額されるのが一般的です。

退職金の勤続年数カウント

退職金の金額は「勤続年数」に基づいて計算されることが多くあります。休職期間が勤続年数にどうカウントされるかは、会社によって対応が分かれます。

  • 勤続年数に加算する(一部または全額): 療養休職などの場合、一定期間までは勤続年数として含める企業。
  • 勤続年数から除外する: 休職していた月数をそのまま勤続年数から控除する企業。

退職金の算出テーブルに影響するため、長期休職となる場合は人事や総務へ事前に確認しておきましょう。

給料が出なくても発生する?休職中の社会保険料と税金

休職中で給与がゼロ、または傷病手当金のみを受給している状態であっても、社会保険料や一部の税金の支払い義務は免除されません。ここを見落とすと、復職時や休職中に思いがけない請求に困惑することになります。

健康保険料・厚生年金保険料の支払い方法

会社員が加入する「健康保険」と「厚生年金」は、休職中も継続して加入することになります。休職中であっても免除制度はなく、毎月支払わなければなりません。

通常は給与から天引き(控除)されていますが、給与が「無給」の場合、天引きができません。そのため、以下のいずれかの方法で会社に支払うことになります。

  1. 毎月指定の口座へ振込: 会社が提示する金額を、毎月指定日までに自身で振り込む。
  2. 会社が一時立て替え: 会社が保険料を立て替え、復職後の給与や賞与から順次天引き・精算する。
  3. 傷病手当金からの相殺: 会社と合意のうえ、受給する傷病手当金から保険料相当額を差し引いてもらう。

自己負担額は「標準報酬月額」を基に計算されるため、休職前と同額の負担が続きます。

住民税と所得税の取り扱い

税金面(所得税・住民税)については、給与の支払状況によって対応が異なります。

1. 住民税(前年の所得に対して課税)

住民税は「前年の所得」に対して課税されるため、休職して無収入になっても支払いは発生します。通常は毎月の給与から天引き(特別徴収)されていますが、無給期間中は以下の対応をとります。

  • 普通徴収へ切り替え: 自宅に届く納付書を使って、コンビニや銀行で自ら納付する。
  • 会社口座への振込: 会社が代わりに納付し、その分の金額を会社へ振り込む。

2. 所得税(当月の所得に対して課税)

所得税は「その月の給与額」に応じて課税されます。そのため、休職して給与がゼロ(無給)であれば、所得税も0円となります。また、前述の通り傷病手当金は非課税ですので、傷病手当金に所得税がかかることもありません。

業務上の傷病なら「労災保険」から補償される

病気やケガの原因が「仕事中」や「通勤途中」にある場合は、私傷病を対象とする傷病手当金ではなく、「労災保険(労働災害補償保険)」の対象となります。

項目傷病手当金(健康保険)労災保険(休業補償給付)
対象となる原因業務外の病気・ケガ(私傷病)業務上または通勤途中の病気・ケガ
支給割合給与の約67%(3分の2)給与の80%(給付基礎日額の60%+特別支給金20%)
治療費の負担3割負担(通常の健康保険)自己負担0円(労災指定病院等)
待期期間3日間(無給)3日間(業務災害の場合は会社が休業手当を支払う義務あり)
非課税か非課税非課税

長時間労働によるメンタル不調や、業務中の事故が原因で休職する場合は労災申請を検討します。労災と認められた場合は、給与の8割相当が補償されるだけでなく、治療費自体も自己負担なしとなるため、より手厚い補償が受けられます。

休職から傷病手当金受給までの具体的な4ステップ

休職に入り、金銭的な支えとなる傷病手当金を受け取るまでの手続きの流れを整理しました。

ステップ1:医師による診断書の取得

主治医に受診し、休業(労務不能)が必要である旨の「診断書」を発行してもらいます。

ステップ2:会社へ休職の申請と手続確認

診断書を添えて人事・総務部門へ休職を申請します。この際、就業規則で「休職期間中の給与」「社会保険料の支払い方法」「ボーナス算定基準」を必ず確認してください。

ステップ3:傷病手当金支給申請書の記入

傷病手当金の申請書は「本人記入欄」「医師記入欄」「事業主(会社)記入欄」の3パートに分かれています。

  • ご自身で必要事項を記入後、主治医に療養担当者記入欄(意見書)を書いてもらいます。
  • 勤務実績や給与支払いの有無を証明してもらうため、会社へ提出します。

ステップ4:申請書の提出と振り込み

会社経由(または自身)で加入している健康保険組合や協会けんぽへ書類を提出します。申請から実際に口座へ振り込まれるまでは、約1〜2ヶ月ほどかかります。最初の振り込みまでの生活費を考慮し、早めに手続きを進めることがポイントです。

休職中のお金に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 有給休暇を使い切ってから休職したほうがいいですか?

A. 基本的には有給休暇を消化してから休職に入ることをおすすめします。

有給休暇中は給与が100%支給されますが、傷病手当金は約67%です。金銭的メリットを優先するのであれば、有給休暇を使い切った後に傷病手当金へ切り替える方が有利です。ただし、復職直後の体調不良に備えて数日分の有給を残しておく選択肢もあります。

Q2. 傷病手当金をもらっている間、副業で収入を得てもいいですか?

A. 原則として副業は禁止、または支給額減額・返還の対象となります。

傷病手当金は「労務不能(仕事ができない状態)」であることを条件に支給されます。副業で収入を得ていることが発覚すると、「働ける状態である」と判定され、手当の支給が停止したり、過去に受け取った手当金の返還を求められたりするリスクがあります。

Q3. 休職のまま退職した場合、傷病手当金は引き続きもらえますか?

A. 一定の条件を満たしていれば、退職後も継続して受給(資格喪失後の継続給付)が可能です。

退職日までに「被保険者期間が継続して1年以上あること」かつ「退職時に傷病手当金を受けている(または受ける条件を満たしている)こと」などの要件を満たしていれば、退職後も通算1年6ヶ月の範囲内で受給し続けることができます。

まとめ:正しい知識で金銭的負担を減らし、療養に専念しよう

休職中の給与やお金に関するポイントをまとめます。

  • 休職中の給料は原則「無給」(会社の就業規則により異なる)。
  • 「傷病手当金」を利用することで、過去1年間の平均給与の約3分の2が最長1年6ヶ月間支給される。
  • 休職中も「健康保険料」「厚生年金保険料」「住民税」の支払いは発生する。
  • ボーナスは休職期間に応じて減額または支給なしになるケースが多い。
  • 業務・通勤が原因の病気やケガは「労災保険」から約8割が補償される。

休職中の生活費に不安を感じるかもしれませんが、公的制度を正しく理解し、早めに申請手続きを行うことで金銭的なリスクを大きく軽減できます。

まずは勤務先の人事・総務担当者へ相談し、ご自身の就業規則と社会保険料の支払い方法を確認しましょう。お金の不安を整えたうえで、焦らずしっかりと体を休め、回復に専念してください。

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この記事の著者

転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部

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