ジョブジョブ 転職ノウハウ

【完全版】医師の診療科別仕事内容ガイド!合格率・研修制度・年収まで徹底解説

【完全版】医師の診療科別仕事内容ガイド!合格率・研修制度・年収まで徹底解説

医師を目指す方や、将来の専門科選びに悩む医学生・研修医に向けて、医師の診療科ごとの仕事内容、医師国家試験の合格率、卒後初期研修制度の仕組みまでを徹底解説します。

「医師は診療科によってどれくらい仕事内容や生活リズムが違うのか」「国家試験の難易度や研修カリキュラムはどうなっているのか」といった疑問を解決できるよう、最新のデータや表・グラフを用いて分かりやすくまとめました。自分に合った診療科選びや、医師へのロードマップを描くための決定版としてご活用ください。

1. 医師になるための第一関門「医師国家試験」の難易度・合格率

医師として診療を行うためには、大学の医学部(6年間)を卒業し、厚生労働省が実施する「医師国家試験」に合格する必要があります。

近年の合格率推移と難易度データ

医師国家試験は、毎年2月上旬に実施されます。合格率は例年90%前後で高水準を維持していますが、これは「医学部という超難関を突破した学生たちが、数か月間死力を尽くして勉強した結果の数値」であり、試験自体の難易度が低いわけではありません。

以下は、近年の医師国家試験における出願者数・受験者数・合格者数・合格率の推移をまとめたデータです。

実施回(年度)受験者数(人)合格者数(人)全体合格率新卒合格率既卒合格率
第118回(2024年)10,3369,24489.4%94.3%52.8%
第117回(2023年)10,2939,43291.6%95.4%56.4%
第116回(2022年)10,0619,22291.7%95.0%57.2%
第115回(2021年)9,9109,05891.4%94.4%58.7%
第114回(2020年)10,1408,94088.1%93.1%48.9%

※厚生労働省「医師国家試験の合格発表」データより作成

データを詳しく分析すると、新卒者の合格率が94〜95%と非常に高い一方で、既卒者(不合格となり翌年以降に再受験する層)の合格率は50%前後にまで低下することがわかります。このデータから、いかに「現役(新卒)で一発合格すること」が重要かが理解できます。

試験内容と合格基準

医師国家試験は、3日間にわたって計400問程度のマークシート方式で行われます(※近年は2日間に短縮)。

試験は大きく分けて「必修問題」「一般問題」「臨床問題」の3カテゴリーで構成されており、特に「必修問題」は絶対評価で80%以上の正答率を得なければ、他の問題がどれだけ高得点であっても不合格となる厳しい基準が設けられています。

【合格ラインのイメージ】
・必修問題:80%以上(絶対評価/1問のミスが命取りに)
・一般・臨床問題:年度ごとの相対評価(概ね65〜70%前後がライン)
・禁忌肢:規定数以上の選択で即不合格

また、選択すると即不合格につながる「禁忌肢(選択してはならない選択肢)」が数問含まれており、倫理観や患者の生命に関わる致命的な判断ミスを犯さない適性も試されます。

2. 医師の「卒後初期研修制度」とキャリアの仕組み

国家試験に合格して医師免許を取得しても、すぐに一人前の医師として自由に診療を行えるわけではありません。医師法により、2年間の「初期臨床研修」を受けとることが義務付けられています。

卒後初期研修制度(2年間)のカリキュラム構造

初期研修制度の目的は、専門分野に偏らず、頻度の高い負傷や疾病に対応できる「基本的な診療能力(プライマリ・ケア)」を身につけることです。

研修医は大学病院や厚生労働省が指定する臨床研修病院に所属し、スーパーローテーション方式と呼ばれる仕組みで、多様な診療科を数か月単位で回ります。

初期研修2年間のローテーション例

年次診療科・研修分野期間主な目的・研修内容
1年目内科24週(約6ヶ月)一般内科疾患の診断・管理、基本的な診療能力の修得
救急12週(約3ヶ月)救急プライマリ・ケア、急変時対応・一次/二次救急
外科8週(約2ヶ月)術前・術後管理、基本的な外科的手技の習得
小児科4週(約1ヶ月)小児疾患の診察、小児特有の発達・救急対応
2年目産婦人科4週(約1ヶ月)周産期管理、女性特有疾患の基礎知識習得
精神科4週(約1ヶ月)メンタルヘルスケア、問診・面接技法の習得
地域医療4週(約1ヶ月)診療所・地域病院でのプライマリ・ケアおよび在宅医療
選択科目24週(約6ヶ月)将来進む専門科やさらに深く学びたい診療科の自由履修

必須選択科目として「内科」「救急」「地域医療」などが定められており、それに加えて小児科、産婦人科、精神科、外科などを履修します。2年目の後半には自由度の高い「選択期間」が設けられており、将来進みたい専門科を中心に研修を積むことが一般的です。

新専門医制度と専攻医(後期研修)へのステップアップ

初期研修の2年間を修了すると、次は「新専門医制度」に基づいた専門研修(後期研修)へ進みます。ここで初めて自分の専門とする診療科を決定し、3〜5年間のプログラムに参加します。

専門研修を受ける医師は「専攻医」と呼ばれ、基本領域(19学会)の専門医取得を目指して、より実践的・専門的な症例経験を重ねていきます。

【医師のキャリアステップ】

ステップ段階期間主な内容・立場
ステップ1医学部6年間医学教育の履修・臨床実習
ステップ2医師国家試験 合格医師免許の取得
ステップ3初期臨床研修2年間研修医(主要な診療科をローテーションし基本診療能力を修得)
ステップ4専門研修3〜5年間専攻医(選択した基本領域の専門的研修を受ける)
ステップ5専門医取得・サブスペシャリティ研修各科専門医の取得、さらに高度・細分化された領域の研修へ

19の基本領域には、内科、外科、小児科、皮膚科、精神科、麻酔科などが含まれ、基本領域の専門医を取得した後に、さらに細分化された「サブスペシャリティ領域(例:消化器内科、呼吸器外科など)」の専門医を目指すのが現代の一般的な医師のキャリアパスです。

3. 【主要・診療科別】医師の具体的な仕事内容と特徴

医師の仕事は、選択する診療科によって「対象とする患者」「治療手段(薬物療法か手術か)」「オンコールや緊急呼出の頻度」が大きく異なります。ここでは、主要な診療科の具体的な仕事内容と特徴を解説します。

内科系(内科・循環器内科・消化器内科など)

内科は、主に薬物療法を用いて全身の病気を診断・治療する診療科です。問診、聴診、血液検査、画像検査などを駆使して病気の原因を突き止めます。

  • 主な仕事内容: 慢性疾患(高血圧、糖尿病など)の継続管理、急性疾患の薬物治療、内視鏡検査・カテーテル治療(循環器・消化器などの専門内科)。
  • 特徴とやりがい: 患者と長期間にわたり付き合い、全身を総合的に診る診断力とコミュニケーション能力が求められます。近年は消化器内科のESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)や循環器内科のPCI(心臓カテーテル治療)など、低侵襲な手術手技を行う内科医も増えています。

外科系(消化器外科・心臓血管外科・整形外科など)

外科は、主に手術によって病変を切除・修復し、病気を根治させる診療科です。

  • 主な仕事内容: 術前の病状評価、手術の執刀・助手、術後の集中治療・周術期管理。
  • 特徴とやりがい: 自身の技術によって病気を直接取り除き、患者の命を救うダイナミズムがあります。長時間に及ぶ手術に耐えうる体力や集中力、瞬時の判断力が必須です。緊急手術が入ることも多く、オンコール対応などハードな一面があります。

小児科

出生直後の新生児から15歳前後の思春期までの子どもを対象に、全身のあらゆる疾患を診る「子供の内科医」です。

  • 主な仕事内容: 成長発達の評価、予防接種、感染症治療、小児慢性疾患の管理。
  • 特徴とやりがい: 症状を言葉でうまく表現できない乳幼児を診るため、観察力や保護者への配慮が不可欠です。子どもの健やかな成長を長期間見守ることができる大きなやりがいがある一方、夜間救急や発熱外来の対応など、忙しさに波がある科でもあります。

産婦人科

女性の生涯にわたる健康をサポートする科で、お産を扱う「産科」と、女性特有の疾患を扱う「婦人科」に分かれます。

  • 主な仕事内容: 妊婦健診、分娩・帝王切開の対応、子宮筋腫や婦人科がんの手術、不妊治療、更年期障害の治療。
  • 特徴とやりがい: 新しい生命の誕生という感動的な場面に立ち会える唯一の診療科です。一方で、お産は24時間いつ始まるか分からず、母児ともに急変のリスクを伴うため、精神的・体力的プレッシャーは非常に高いと言えます。

精神科

認知症、鬱病、統合失調症、発達障害など、心や脳の働きに関する不調を専門に診る診療科です。

  • 主な仕事内容: 精神療法(カウンセリング的な問診)、薬物療法、修正型電気刺激療法など。
  • 特徴とやりがい: 身体的な処置よりも、患者の生い立ちや心理状態を深く掘り下げる「対話」が治療の基本となります。他の診療科に比べて緊急手術などが少ないため、比較的ワークライフバランスを保ちやすい特徴があります。

麻酔科

主に手術室において、患者が痛みを全く感じず、安全に手術を受けられるように全身管理を行うスペシャリストです。

  • 主な仕事内容: 術前の全身状態の評価、麻酔管理(全身麻酔・硬膜外麻酔など)、術後の痛み管理(ペインクリニック)。
  • 特徴とやりがい: 手術中の心脈拍・呼吸・血圧を刻一刻とモニタリングし、バイタルの変動に対応する生命の守護神です。基本的に担当する手術が終われば勤務に区切りがつきやすいため、オンオフのメリハリがつけやすい環境があります。

4. 診療科ごとにみる勤務スタイル・平均年収データの比較

診療科を選ぶ際、仕事内容だけでなく「平均年収」や「当直・緊急呼出の多さ(勤務スタイル)」も重要な比較要素となります。

診療科別の平均年収と勤務特性一覧

労働条件や勤務病院の規模、地域によって大きく変動しますが、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」や各種医療医師人材バンクのアンケート結果などを基に作成した、診療科別の平均年収および勤務スタイルの傾向は以下の通りです。

診療科平均年収(目安)救急・当直の頻度ワークライフバランス特徴・傾向
脳神経外科1,300〜1,600万円非常に多い△(非常に多忙)脳卒中など緊急手術が多く高収入傾向だがハード
産婦人科1,300〜1,500万円非常に多い△(オンコール多)分娩対応による夜間呼出が多く、手当も手厚い
整形外科1,200〜1,400万円やや多い◯(コントロール可)スポーツ外傷から高齢者の手術まで需要が極めて高い
消化器外科1,200〜1,400万円多い△(手術時間が長い)長時間手術や術後管理が多く体力が必要
内科全般1,100〜1,300万円普通◯(施設による)カテーテル等を扱う循環器系は多忙、一般内科は安定
小児科1,000〜1,200万円多い△〜◯(夜間外来対応)当直や小児救急対応の負担が比較的高い
眼科・皮膚科1,000〜1,200万円少ない◎(非常に高い)入院患者が少なく、命に関わる急変が少ないため安定
精神科1,000〜1,200万円少ない◎(非常につきやすい)定時退勤しやすく、アルバイト(非常勤)需要も豊富

※上記数値は、病院勤務医・開業医を含めた総合的な目安です。

勤務スタイルの二極化:QOL(生活の質)重視科 vs 救急・手術中心科

データから分かる通り、医師の働き方は診療科によって明確に二極化しています。

【ワークライフバランス・QOL重視(マイナー科・マイペース科)】
・眼科、皮膚科、精神科、放射線科、麻酔科
→ 緊急呼出が少なく、定時に帰りやすい。プライベートや育児との両立が比較的容易。

【臨床・手術・救急重視(メジャー科・アクティブ科)】
・心臓血管外科、脳神経外科、産婦人科、救急科、循環器内科
→ 生命の危機に直接立ち向かう場面が多く、やりがいは絶大。しかし、当直・夜間呼出が日常的。

年収に関しても、緊急対応の手当が多い科や、開業した際のアタッチメント(自由診療や特定の手術)が多い科ほど高くなる傾向にあります。

5. 失敗しない「専門科(診療科)」の選び方

初期研修を終える段階で、どの診療科に進むべきか迷う医師は少なくありません。生涯のキャリアを見据えた失敗しない診療科選びのポイントを3つ解説します。

① 自分の「ライフプラン」と照らし合わせる

将来、結婚や子育て、介護などのライフイベントが発生した際、どのように働きたいかを想定しておくことが大切です。「出産後も無理なく臨床を続けたいから皮膚科や眼科を選ぶ」「若いうちはハードでも症例数を稼ぎたいから消化器外科に進む」といった、中長期的な視点が欠かせません。

② 「手技(手を動かすこと)」が好きか「思考・診断」が好きか

医学の面白さは、大きく分けて「自分の手を動かして直す技術(手術や処置)」と「様々な症状から原因を診断・推論する思考プロセス」に分かれます。

  • 手技が好き・技術を磨きたい: 外科系、整形外科、眼科、皮膚科(形成外科領域)
  • じっくり患者に向き合い診断したい: 内科系、精神科、総合診療科

自分が臨床のどのようなプロセスに魅力を感じるかを振り返ることが、満足度の高い専門科選びにつながります。

③ 「開院(開業)」を目指すか「勤務医」を貫くか

将来的にクリニックを開業したいと考えている場合、開業しやすい診療科(内科、皮膚科、眼科、整形外科、精神科など)を選択しておく方が無難です。一方、心臓血管外科や放射線治療科などは、大規模な医療設備が必要となるため、基本的に大病院での勤務医としてのキャリアが中心となります。将来の働き方のスタイルも考慮しておきましょう。

6. この記事のポイント

最後に、本記事の要点をまとめます。

  • 国家試験の難易度: 全体合格率は約90%だが、新卒合格率(約95%)に対し既卒合格率は約50%に低下するため一発合格が極めて重要。
  • 卒後初期研修制度: 医師免許取得後、2年間のスーパーローテーションで主要科を巡り、基本診療能力を習得することが法律で義務付けられている。
  • 新専門医制度: 初期研修修了後、19の基本領域から専門科(専攻医)を選択し、3〜5年かけて専門医を取得する。
  • 診療科による違い: 外科や産婦人科、脳外科などは緊急対応が多く多忙だが高収入傾向。皮膚科、眼科、精神科などはQOL(生活の質)を保ちやすい。
  • 科の選び方: 「ライフプラン」「手技適性 vs 診断適性」「将来の開業志向」の3軸で自分に合う科を見極めることが成功のカギ。

医師としてのキャリアは長く、専門科の選択は人生を左右する大きな決断です。仕事内容やデータに基づいた働き方の特徴を把握し、自分が最も情熱を傾けられる診療科を見つけてください。

なるほど!と思ったらシェアしよう!

この記事の著者

転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部

「転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部」は、医療、介護、保育の求人サイト「ジョブジョブ」の運営メンバーによる記事編集部門です。医療・介護・保育・福祉・美容・ヘルスケアの仕事に関わる方に向けた、今後のキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

あわせて読みたい記事