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就労定着支援とは?対象者・利用期間・人員配置の基準をわかりやすく網羅

就労定着支援とは?対象者・利用期間・人員配置の基準をわかりやすく網羅

障害のある方が企業へ就職を果たした後、長く働き続けるためのサポートを行う「就労定着支援」という障害福祉サービスをご存知でしょうか。近年、企業の障害者法定雇用率の段階的な引き上げなどにより、障害のある方の就職者数は増加傾向にあります。しかし、就職が決まることがゴールではなく、その後の「長く働き続けること(職場定着)」が新たな課題として浮き彫りになってきました。せっかく就職しても、環境の変化による体調不良や人間関係の悩みから、早期に離職してしまうケースが少なくなかったのです。

こうした課題を解決し、障害のある方が安心して長く働き続けられる環境を整えるために、2018年(平成30年)に創設された新しいサービスが「就労定着支援」です。本記事では、就労定着支援の基本的な概要から、利用できる対象者と要件、利用期間、具体的なサービス内容、さらには事業所を運営する上で必須となる人員配置基準に至るまで、網羅的にわかりやすく解説します。これからサービスの利用を検討している障害のある方やそのご家族はもちろん、事業所の立ち上げや福祉業界での勤務を考えている方にとっても必見の内容となっています。ぜひ最後までお読みいただき、就労定着支援への理解を深めてください。

1. 就労定着支援とは?制度の目的と背景

就労定着支援とは、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつです。一般企業などに就労した障害のある方が、就労に伴って生じる日常生活や社会生活上の様々な課題を解決し、長く職場に定着できるようにサポートすることを目的としています。

この制度が作られた背景には、障害者の職場定着率の低さという深刻な課題がありました。厚生労働省などの調査によると、就職から1年後の定着率は、障害の種別によって差はあるものの、特に精神障害のある方などで離職率が高い傾向が見られました。離職の理由としては、仕事内容そのもののミスマッチだけでなく、「職場の人間関係の構築がうまくいかない」「生活リズムが崩れてしまい遅刻や欠勤が増えた」「給与の管理など生活面での不安が大きい」といった、仕事以外の日常生活における課題が大きく影響していることが分かってきました。

就労定着支援は、職場への直接的なアプローチだけでなく、利用者の自宅を訪問したり、月に数回の面談を行ったりすることで、生活基盤を安定させるための支援を行います。生活面が安定することで仕事にも集中できるようになり、結果として長期的な職場定着に繋がるという好循環を生み出すための重要なサービスなのです。

2. 就労定着支援の対象者と利用要件

就労定着支援を利用するためには、対象となる障害の範囲と、これまでのサービス利用歴という2つの要件を満たす必要があります。

まず、対象となる障害については、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、そして一定の難病を抱える方など、幅広く対象となっています。障害者手帳の有無に関わらず、医師の診断書や自治体の判断によって利用が認められるケースもありますので、詳しくはお住まいの市区町村の窓口へ確認することが推奨されます。

次に、非常に重要となるのが「利用要件(過去のサービス利用歴)」です。就労定着支援は、一般企業に就職したすべての障害のある方が無条件で利用できるわけではありません。就職する直前に、特定の障害福祉サービスを利用して一般就労へと移行した方が対象となります。具体的には以下の表にまとめたサービスを利用していた方が対象です。

対象となる直前の利用サービスサービス内容の概要
就労移行支援一般企業への就職を目指し、必要な知識やスキルを身につけるための支援
就労継続支援(A型)雇用契約を結び、最低賃金以上の給与をもらいながら働く支援
就労継続支援(B型)雇用契約を結ばず、自分のペースで働きながら工賃を受け取る支援
自立訓練(機能訓練・生活訓練)身体機能や生活能力の維持・向上のための訓練を行う支援
生活介護常に介護を必要とする方に対して、日中の入浴や排せつ、創作的活動を行う支援

これらのサービスを利用して一般企業(通常の事業所に雇用される形態)へ就職し、かつ就職してから「6ヶ月が経過していること」が条件となります。就職してからの最初の6ヶ月間は、就職前に利用していた就労移行支援事業所などが「職場定着支援」として引き続きサポートを行う仕組みとなっているためです。その6ヶ月間のサポートが終了したタイミングで、就労定着支援へと切り替わり、さらなる長期的なサポートが開始されます。

3. 就労定着支援の利用期間と更新の流れ

就労定着支援の利用には期限が設けられており、いつまでも継続して利用できるわけではありません。利用期間は、原則として「最長3年間」と定められています。

ただし、3年間一括で利用許可が下りるわけではなく、支給決定期間は「1年間」ごとに設定されます。つまり、利用を開始してから1年が経過するタイミングで、自治体に対して支給決定の更新手続きを行う必要があります。更新の際には、現在の職場での状況や、抱えている課題、今後の支援の必要性などが審査され、引き続き支援が必要であると認められれば、さらに1年間の利用が可能となります。これを繰り返すことで、最大3年間のサポートを受けることができます。

利用期間の枠組み詳細内容
利用期間の上限最長3年間
支給決定期間1年間(1年ごとに更新手続きが必要)
利用開始のタイミング一般就労後、6ヶ月が経過した時点から開始

では、3年間が経過した後はどうなるのでしょうか。就労定着支援の利用期間が終了したからといって、すべての支援が突然途切れてしまうわけではありません。事業所の支援員は、利用者が3年後も安定して働き続けられるように、早い段階から関係機関とのネットワーク構築を進めます。具体的には、「障害者就業・生活支援センター(通称:なかぽつ)」や、ハローワーク、地域の医療機関、さらには企業の担当者などへ支援のバトンを引き継ぎます。就労定着支援の大きな役割のひとつは、この「3年間で支援機関なしでも自立して働ける状態を作るか、あるいは地域の支援ネットワークにスムーズに移行させること」にあります。

4. 具体的な支援内容(サービス内容)

就労定着支援事業所では、利用者が抱える生活面や仕事面での課題に対して、包括的なサポートを提供します。支援の基本となるのは、月に1回以上の対面での面談です。この面談は事業所内で行われることもあれば、利用者の自宅や職場近くで行われることもあります。

具体的な支援内容は、大きく分けて以下の3つのアプローチに分類されます。

第一に、日常生活上の課題に対する支援です。就職して環境が変わると、緊張から睡眠不足に陥ったり、食生活が乱れたりすることがあります。また、給与を得ることで金銭管理がうまくいかなくなってしまうケースも珍しくありません。支援員は面談を通じてこれらの生活状況を把握し、規則正しい生活リズムの整え方や、家計簿のつけ方、時には医療機関への通院同行など、生活基盤を安定させるための具体的なアドバイスやサポートを行います。

第二に、職場で生じる課題に対する支援です。業務内容がなかなか覚えられない、上司や同僚とのコミュニケーションがうまくとれないといった悩みに対して、どのように対処すべきかを一緒に考えます。必要に応じて、利用者の同意を得た上で企業の担当者と連絡を取り合い、職場環境の調整や業務上の配慮を依頼することもあります。

第三に、関係機関との連携調整です。利用者が抱える課題は、就労定着支援事業所だけで解決できるものばかりではありません。医療的なサポートが必要であれば主治医やクリニックのソーシャルワーカーと連携し、生活面の大きなトラブルがあれば地域の相談支援事業所と協力するなど、利用者を支えるチームのハブ(中心)としての役割を果たします。このように、問題が深刻化する前に小さなSOSを拾い上げ、適切な支援へと繋げるのが就労定着支援の醍醐味と言えます。

5. 【事業者向け】就労定着支援の人員配置基準

ここからは、就労定着支援事業所の立ち上げや運営を検討している事業者向けに、必須となる人員配置基準について解説します。適切なサービスを提供するためには、国が定めた基準に則って人員を配置しなければなりません。

就労定着支援事業所を運営するためには、主に「管理者」と「就労定着支援員」の2つの職種を配置する必要があります。他の障害福祉サービスと比較すると、必要とされる職種の数は少ないですが、それぞれの資格要件や経験要件が細かく設定されているため注意が必要です。

職種人員配置基準資格・経験要件
管理者事業所ごとに1名以上(原則として専従・常勤)障害者福祉や就労支援に関する一定の経験が必要。資格は特に問われないが、管理業務に支障がない範囲であれば、就労定着支援員などの他職種との兼務が可能。
就労定着支援員利用者の数が40名(またはその端数を増すごと)に対して1名以上(うち1名以上は常勤であること)精神保健福祉士、社会福祉士などの資格保有者、または障害者の就労支援や生活支援の経験(一定年数以上)がある者など、指定された要件を満たす必要がある。

就労定着支援事業は、単独で立ち上げることも可能ですが、多くの場合、就労移行支援事業所や就労継続支援事業所が多機能型として併設、あるいは一体的に運営しています。前述の通り、就労定着支援の利用対象者はこれらのサービスを直近で利用していた方であるため、自社の就労移行支援などから一般就労を果たした利用者を、そのまま自社の就労定着支援でサポートし続けるという一貫した支援体制を構築できるメリットがあります。

また、就労定着支援員には、企業との交渉力や、利用者の細かな変化を見逃さない観察力、そして多様な関係機関との調整能力といった高い専門性が求められます。そのため、事業所としては人員基準を満たすだけでなく、職員に対する継続的な研修やスキルアップの機会を提供することが、質の高いサービス維持のために不可欠です。

6. 就労定着支援を利用するメリット

就労定着支援を利用することは、障害のある方本人にとってはもちろんのこと、雇用する企業側にとっても大きなメリットをもたらします。

利用者側にとっての最大のメリットは、「一人で悩みを抱え込まなくて済む」という安心感です。初めての一般就労では、誰しもが不安や壁にぶつかります。その際、自分をよく理解してくれている支援員にいつでも相談できる環境があることは、精神的な支えとして計り知れない価値があります。離職の危機を未然に防ぎ、キャリアを形成していくための強力なパートナーを得ることができるのです。

一方、企業側にとっても、就労定着支援の存在は心強いものです。障害者雇用に積極的な企業であっても、現場の担当者が障害特性への配慮やコミュニケーション方法に悩むケースは多々あります。そうした時に、専門的な知識を持った就労定着支援員が間に入り、客観的な視点からアドバイスをくれたり、本人への指導をサポートしてくれたりすることで、企業側の負担は大きく軽減されます。結果として、企業の貴重な人材である障害のある方が長く定着し、企業の生産性向上や多様性のある組織作りへと貢献することに繋がります。

7. まとめ

就労定着支援は、障害のある方が一般企業で長く、そして自分らしく働き続けるための重要なセーフティネットです。就労移行支援などのサービスを経て就職した後、最長3年間にわたって、仕事上の悩みだけでなく生活面を含めた包括的なサポートを受けることができます。

事業所を運営するにあたっても、明確な人員配置基準が設けられており、専門性の高い支援員が利用者と企業の架け橋として活躍しています。障害者雇用が拡大し続ける現代において、ただ「就職させること」から「定着し活躍し続けること」へと支援のフェーズは移行しています。就労定着支援は、その中心的な役割を担う必要不可欠な制度です。これから就労を目指す方や、すでに就労して悩みを抱えている方は、ぜひこの制度の利用を検討し、安定した職業生活を実現するための第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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この記事の著者

転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部

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