ジョブジョブ 転職ノウハウ

言語聴覚士(ST)とは?仕事内容・平均年収・国家試験合格率を徹底解説

言語聴覚士(ST)とは?仕事内容・平均年収・国家試験合格率を徹底解説

「話す」「聴く」「食べる」のスペシャリストである言語聴覚士(ST)。超高齢社会を迎えた日本において、医療・福祉の現場で急速に需要が高まっている国家資格です。

「具体的にどのような仕事をするの?」

「理学療法士(PT)や作業療法士(OT)との違いは?」

「実際の年収や国家試験の難易度はどれくらい?」

このような疑問を解消するために、本記事では厚生労働省などの公式データを交えながら、言語聴覚士の仕事内容、平均年収、国家試験合格率、キャリアプランまでをわかりやすく徹底解説します。

1. 言語聴覚士(ST)の基本概要と役割

言葉によるコミュニケーションや食事が困難になった方に対し、検査・評価を実施し、必要なリハビリテーションや指導を行う専門職が言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist:ST)です。

1997年に「言語聴覚士法」が制定された比較的新しい国家資格であり、医療・福祉・教育の幅広い分野で欠かせない存在となっています。

主な役割:三大領域(話す・聴く・食べる)へのアプローチ

言語聴覚士がアプローチする領域は、大きく分けて「話す」「聴く」「食べる(飲み込む)」の3つです。

  • 話す(言語機能障害・発音障害など)脳卒中の後遺症による失語症や、小児の発達に伴う言語発達遅滞、吃音(きつおん)などに対し、言葉の理解や発語を促す訓練を行います。
  • 聴く(聴覚障害)生まれつきの難聴や加齢に伴う難聴者に対し、聴力検査や補聴器の適合訓練、人工内耳装着後のリハビリテーションなどを実施します。
  • 食べる(摂食嚥下障害)病気や加齢によって食べ物が上手に飲み込めなくなる障害(摂食嚥下障害)に対し、飲み込みの検査や誤嚥(ごえん)を防ぐ訓練を行います。

2. 言語聴覚士の具体的な仕事内容とリハビリ対象

言語聴覚士が現場で行うリハビリの具体的なプロセスと、対象となる主な症状について解説します。

一連のリハビリ業務プロセス

患者様一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイドのリハビリテーションを提供します。

段階業務内容詳細
1. 評価・検査患者様の状態の把握標準失語症検査(SLA)や嚥下内視鏡検査(VE)などを用いて問題点を抽出
2. 計画立案リハビリプログラム作成医師やリハビリチームと協議し、達成目標と個別の訓練プログラムを策定
3. リハビリ実施訓練・アプローチ発語訓練、聴力訓練、嚥下機能訓練(間接訓練・直接訓練)の実施
4. 再評価・アドバイス経過観察と退院支援定期的な経過測定、ご家族への介助方法・食事形態のアドバイスや指導

対象となる主な疾患・障害

言語聴覚士が担当する症状は多岐にわたります。

【言語障害】失語症・構音障害・言語発達遅滞
【摂食嚥下障害】誤嚥性肺炎予防・安全な食形態の設定
【高次脳機能障害】記憶障害・注意障害・遂行機能障害
【聴覚障害】小児難聴・加齢性難聴・人工内耳適合

3. PT(理学療法士)・OT(作業療法士)との違い

リハビリテーションの現場では、PT(理学療法士)OT(作業療法士)・ST(言語聴覚士)が連携して患者様をサポートします。それぞれの専門領域の違いは以下の通りです。

リハビリ職種(PT・OT・ST)の比較

項目言語聴覚士(ST)理学療法士(PT)作業療法士(OT)
主な対象機能言語機能・聴覚・摂食嚥下機能基本的動作能力(立つ・歩く等)応用動作能力(手先・日常動作等)
主なリハビリ内容発話訓練・嚥下訓練・聴力検査歩行訓練・筋力維持・関節可動域訓練食事・着替え・手芸や工作訓練
主なアプローチ脳機能・コミュニケーション・首から上の機能下半身・体幹を中心とした大まかな運動上半身・手先を中心とした繊細な動作
全国の資格者数約4万人約20万人約10万人

言語聴覚士は、PTやOTと比較して資格所有者数が全国で約4万人とまだ少なく、希少価値が高い専門職といえます。

4. 言語聴覚士の平均年収・給料(年代別データ)

進路決定や転職時に気になる言語聴覚士の給与水準について、客観的な数値データをもとに分析します。

平均年収と月給相場

最新の給与調査データによると、言語聴覚士の平均年収は約430万〜450万円(月給27万〜30万円前後、賞与含む)となっています。理学療法士や作業療法士と同等の給与水準であり、医療・福祉業界の中では比較的安定した待遇が期待できます。

年代別の平均年収シミュレーション

経験年数や年齢に伴い、給料水準は着実に上昇します。

年代平均年収(目安)特徴
20〜24歳330万円〜350万円新卒〜数年目。ベースアップと業務の習得期
25〜29歳380万円〜400万円臨床経験を積み、一通りの業務を一人でこなす時期
30〜34歳420万円〜450万円中堅として後輩指導やチームリーダーを担当
35〜39歳440万円〜480万円主任・主任代理など管理職への道が開ける
40〜44歳470万円〜510万円科長・副科長など組織マネジメントを担当
50代以降520万円〜600万円役職手当や豊富な臨床経験に応じた高年収

※公表データや求人市場の調査に基づく傾向値です。勤務先の規模(大病院・訪問看護ステーション等)や地域によって異なります。

年収を上げるための3つのポイント

  1. 訪問リハビリ分野へ転職する在宅医療のニーズ高まりに伴い、訪問看護ステーションなどの訪問リハビリ案件はインセンティブ制度が設けられていることが多く、年収500万円以上を目指しやすい傾向にあります。
  2. 役職者(主任・科長等)を目指す管理職に昇格することで役職手当が加算され、給与水準が大きくアップします。
  3. 認定言語聴覚士の資格を取得する摂食嚥下や小児など特定分野の専門性を高めることで、資格手当や専門職としてのキャリア評価につながります。

5. 言語聴覚士国家試験の合格率と難易度

言語聴覚士になるためには、厚生労働省が実施する「言語聴覚士国家試験」に合格する必要があります。

過去5年間の国家試験合格率推移

国家試験の合格率は例年65%〜75%前後で推移しています。

実施回実施年受験者数合格者数合格率
第27回2025年2,342名1,707名72.9%
第26回2024年2,431名1,761名72.4%
第25回2023年2,537名1,710名67.4%
第24回2022年2,577名1,933名75.0%
第23回2021年2,532名1,758名69.4%

(データ出典:厚生労働省 国家試験発表結果)

試験概要と難易度

  • 試験時期:毎年2月中旬頃
  • 出題形式:マークシート方式(午前・午後 各100問、合計200問)
  • 合格基準:総得点の60%以上(120点以上/200点満点)
  • 試験領域:医学総論、解剖生理学、臨床心理学、音声言語医学、言語発達障害学、摂食嚥下障害学など

理学療法士や作業療法士の国家試験(合格率約80%)と比較するとやや低い水準ですが、養成校でしっかり対策を積めば十分に一発合格が狙える難易度です。

6. 言語聴覚士になるためのルート(進学・資格取得)

言語聴覚士国家試験の受験資格を得るには、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定する養成校を卒業する必要があります。

言語聴覚士になるためのルート

社会人から言語聴覚士を目指す場合、既に4年制大学を卒業していれば「2年制の養成校」に入学することで、最短2年で国家資格の取得が可能です。

7. 主な活躍の場・就職先

言語聴覚士が必要とされる現場は、医療機関から福祉施設、教育分野まで急速に広がっています。

1. 医療機関(病院・クリニック)

急性期病院、回復期リハビリテーション病院、慢性期病院など。脳卒中後の言語リハビリや誤嚥防止の嚥下訓練が中心となります。

2. 介護・福祉施設

介護老人保健施設(老健)、特別養護老人ホーム(特養)、デイサービスなど。高齢者の機能維持や安全な食事介助の指導を行います。

3. 訪問リハビリテーション

利用者の自宅を訪問し、生活環境に合わせたリハビリや家族への食事介助アドバイスを行います。

4. 児童発達支援・教育分野

児童発達支援事業所、放課後等デイサービス、特別支援学校など。ことばの発達が遅れているお子様や発達障害をもつ子どもたちへの個別支援を行います。

8. 言語聴覚士の将来性と魅力

「AIに仕事が奪われるのではないか?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。しかし、言語聴覚士の将来性は非常に高いと評価されています。

将来性が高い3つの理由

  1. 超高齢社会による嚥下リハビリ需要の増大日本は高齢化が進んでおり、誤嚥性肺炎の予防や摂食嚥下機能の改善において言語聴覚士の存在が不可欠です。
  2. AIやロボットで代替できない対人コミュニケーション患者様の微妙な表情の変化や感情、生活背景を汲み取りながら進めるリハビリは、AIでの代替が極めて困難な分野です。
  3. 小児・発達障害分野のニーズ拡大言葉の発達やコミュニケーションに課題を抱える子どもたちへの支援ニーズが高まっており、医療以外のフィールドでも引っ張りだこになっています。

言葉を取り戻した瞬間に立ち会えることや、「再び家族と一緒に食事ができた」という喜びを共有できる点は、言語聴覚士ならではの大きなやりがいです。

9. まとめ:言語聴覚士は社会貢献度が高く将来性に満ちた国家資格

言語聴覚士(ST)は、「話す・聴く・食べる」という人間らしく生きる上で最も大切な機能を支える専門職です。

  • 仕事内容:言語障害・摂食嚥下障害・聴覚障害への専門的リハビリ
  • 平均年収:約430万〜450万円(訪問リハビリや役職就任で大幅アップも可能)
  • 合格率:例年65%〜75%前後で推移
  • 将来性:高齢化に伴う需要増とAIで代替できない対人スキルにより需要は非常に安定

医療・福祉業界で専門性を活かして長く活躍したい方、人の人生に深く寄り添う仕事をしたい方にとって、言語聴覚士は非常に魅力的で価値ある国家資格といえます。就職・進路選びやキャリアアップの選択肢として、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

なるほど!と思ったらシェアしよう!

この記事の著者

転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部

「転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部」は、医療、介護、保育の求人サイト「ジョブジョブ」の運営メンバーによる記事編集部門です。医療・介護・保育・福祉・美容・ヘルスケアの仕事に関わる方に向けた、今後のキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

あわせて読みたい記事

おすすめの新着求人