ジョブジョブ 転職ノウハウ

保育士の退職金はいくら?公立・私立の相場と条件、いつもらえるか徹底解説

保育士の退職金はいくら?公立・私立の相場と条件、いつもらえるか徹底解説

保育士として日々子どもたちの命を預かり、激務をこなす中で、将来のライフプランを考える際に重要となるのが「退職金」です。転職や結婚、出産を機に退職を考えたとき、「今の職場で退職金はもらえるのだろうか?」「もらえるとしたら、一体いくらくらいになるのか?」と疑問に思う方は非常に多いでしょう。

実は、保育士の退職金は「公立か私立か」によって金額や制度が全く異なります。また、私立保育園であっても、園がどのような「退職金共済制度」に加入しているかによって、将来受け取れる金額に数百万円の差が生じることも珍しくありません。

本記事では、保育士の退職金に関する「条件」や「公立・私立の違い」について、実際のデータや表を用いてわかりやすく解説します。勤続年数ごとの金額シミュレーションや、いつもらえるのかという支払いタイミングについても網羅しているため、ご自身の状況と照らし合わせて確認してみてください。

1. 保育士の退職金はいつもらえる?支給条件とタイミング

まず大前提として知っておくべきことは、「企業(保育園)には退職金を支払う法的な義務はない」ということです。そのため、退職金がもらえるかどうかは、お勤めの保育園の規定に完全に依存します。

退職金がもらえる条件を確認する方法

ご自身が退職金を受け取れるかどうかは、園の「就業規則」または「退職金規程」を確認することで判明します。多くの保育園では、「勤続1年以上」または「勤続3年以上」を退職金の支給要件として定めています。入社して数ヶ月や1年未満で退職してしまう場合は、支給対象外となるケースがほとんどです。

退職金はいつ支払われるのか?

退職金が銀行口座に振り込まれるタイミングも、園の規定や加入している制度によって異なります。一般的な支払いタイミングの目安は以下の表の通りです。

施設形態・加入制度支払われるタイミングの目安備考
公立保育園退職日から約1ヶ月以内自治体の条例により明確に定められている
私立(園独自の規定)退職後1ヶ月〜2ヶ月後園の資金繰りや事務手続きのスピードによる
私立(福祉医療機構など)手続き完了後、約1〜2ヶ月後園を通じて共済へ請求手続きを行う必要がある

共済制度を利用している場合、園の担当者が速やかに退職届や請求書類を共済本部に提出してくれないと、支給が遅れてしまうことがあります。退職時にはいつ頃振り込まれる予定か、園長や事務担当者に確認しておくと安心です。

2. 【公立・私立別】保育士の退職金の仕組みと相場

保育士の退職金は、運営主体が「公立(市区町村など)」か「私立(社会福祉法人、株式会社など)」かによって、計算のベースとなる制度が大きく異なります。ここでは、それぞれの仕組みと相場データを解説します。

公立保育園の退職金(地方公務員)

公立保育園で働く正規職員の保育士は「地方公務員」となります。そのため、退職金も各自治体の「退職手当に関する条例」に基づいて支給されます。公務員の退職金は、民間企業に比べて手厚く、勤続年数が長くなるほど指数関数的に金額が跳ね上がるのが特徴です。

総務省の「地方公務員給与実態調査」などのデータから推測される、公立保育士(一般行政職や技能労務職に準ずる)の退職金相場は以下のようになります。

勤続年数退職理由退職金相場の目安(公立)
勤続3年自己都合約20万円 〜 30万円
勤続5年自己都合約40万円 〜 60万円
勤続10年自己都合約120万円 〜 150万円
勤続20年自己都合約400万円 〜 500万円
定年退職定年(約35〜40年)約1,500万円 〜 2,000万円超

※上記は基本給(退職時の俸給月額)に支給率を掛け合わせて計算されるため、役職や自治体によって変動します。

私立保育園の退職金

一方、私立保育園の退職金は、運営法人の規模や方針によってピンキリです。株式会社が運営する新しい小規模保育園などでは、退職金制度自体が存在しないケースもあります。

しかし、昔からある社会福祉法人が運営する認可保育園の場合、国や都道府県が用意している「退職手当共済制度」に加入していることが多く、公立に近い水準の退職金を受け取れるケースも少なくありません。

私立保育園における一般的な退職金相場(共済制度利用時)は以下の通りです。

勤続年数退職金相場の目安(私立・共済加入あり)退職金相場の目安(独自規定・小規模)
勤続3年約20万円 〜 35万円0円 〜 10万円
勤続5年約40万円 〜 60万円約10万円 〜 25万円
勤続10年約100万円 〜 130万円約30万円 〜 60万円
勤続20年約250万円 〜 400万円約100万円 〜 200万円

私立の場合は「どんな制度に加入しているか」がすべてを決めると言っても過言ではありません。

3. 勤続年数別!保育士の退職金シミュレーション(データ表)

ここでは、最も多くの私立保育園が加入している独立行政法人 福祉医療機構(WAM)の「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」の計算シミュレーション表をご紹介します。

この制度では、「基本額(退職時の本俸月額 × 乗率)」によって金額が決定されます。

以下の表は、退職時の基本給(本俸)を20万円または25万円と仮定した場合の、普通退職(自己都合退職)におけるシミュレーションデータです。

勤続年数本俸20万円の場合の退職金目安本俸25万円の場合の退職金目安支給乗率の推移(目安)
1年150,000円187,500円0.75ヵ月分
3年330,000円412,500円1.65ヵ月分
5年570,000円712,500円2.85ヵ月分
10年1,320,000円1,650,000円6.60ヵ月分
15年2,340,000円2,925,000円11.70ヵ月分
20年3,640,000円4,550,000円18.20ヵ月分

※実際の支給額は、法改正や掛金の納付状況、業務上での功労加算などにより変動する可能性があります。

このデータからわかるように、最初の数年は上がり幅が小さいものの、勤続10年を超えたあたりから支給乗率が跳ね上がり、受け取れる金額が一気に増加します。「あと少しで勤続10年になる」という場合は、少し踏みとどまってから退職したほうが、生涯年収としては大きくプラスになる可能性があります。

4. 私立保育園の退職金に関わる「退職金共済制度」とは

私立保育園の退職金水準を支えているのは、主に外部の共済制度です。保育士が知っておくべき代表的な2つの制度を解説します。

① 独立行政法人 福祉医療機構(WAM)の退職手当共済

全国の社会福祉法人の多くが加入しているのが、このWAMの共済制度です。国がバックアップしている制度であり、非常に安定しています。この制度の最大のメリットは、「掛金はすべて法人(保育園)が負担し、保育士の給与からは一切天引きされない」という点です。

また、別の社会福祉法人の保育園に転職した場合、転職先も同じWAMの制度に加入していれば、これまでの勤続年数を引き継ぐ(合算する)ことが可能です。

② 都道府県の民間保育園退職金共済

東京都の「従事者共済会」など、各都道府県単位で設けられている退職金制度です。WAMの制度と「ダブルで加入」している手厚い保育園も存在します。

ダブル加入している園で長く勤め上げた場合、私立であっても公務員と同等、あるいはそれ以上の退職金(数千万円規模)を手にすることができる夢のようなケースもあります。

転職活動の際は、求人票の福利厚生欄に「退職金共済加入(WAM・都道府県共済)」といった記載があるかを必ずチェックしましょう。

5. 退職金で損をしないため・多くもらうためのポイント

せっかく長く働いたのだから、退職金は1円でも多く、損をせずにもらいたいものです。以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 勤続年数の「区切り」を意識する退職金は「丸〇年」という区切りで計算係数が上がることが多いです。例えば「2年11ヶ月」で辞めるのと、「3年」で辞めるのでは、1ヶ月の差で数万円〜十数万円の差が出るケースがあります。年度末(3月末)までしっかり勤め上げることが、円満退職かつ退職金アップの秘訣です。
  • 退職理由を明確にする(会社都合か自己都合か)保育園側の事情(人員整理、園の閉鎖、悪質なハラスメント等)による退職の場合、「会社都合退職」となり、自己都合退職よりも退職金が割り増しで計算されることがあります。
  • 合算制度を利用する前述の通り、同じ共済制度に加入している法人間の転職であれば、勤続年数を通算できる場合があります。転職エージェントなどを利用し、同じ制度に加入している園を意図的に選ぶのも賢いキャリア形成の一つです。

6. 退職金にかかる税金と確定申告の基礎知識

退職金という大きな金額を受け取ると「税金がたくさん引かれるのでは?」と不安になるかもしれません。しかし、日本の税制では退職金は非常に優遇されています。

退職金を受け取る前に、園に「退職所得の受給に関する申告書」という書類を提出してください。これを提出するだけで、退職金には「退職所得控除」という大きな非課税枠が適用されます。

勤続年数退職所得控除の計算式(非課税になる額)
20年以下40万円 × 勤続年数(最低80万円)
20年超800万円 + 70万円 ×(勤続年数 - 20年)

例えば、勤続10年で退職金150万円をもらう場合、「40万円 × 10年 = 400万円」までが非課税となるため、退職金に対する所得税・住民税は一切かかりません(無税で全額受け取れます)。

もしこの申告書を出し忘れると、一律で約20%もの税金が源泉徴収されてしまうため、絶対に忘れないように注意してください(後から確定申告をすれば取り戻せますが、手間がかかります)。

この記事のポイント

最後に、本記事で解説した保育士の退職金に関する重要なポイントをまとめます。ご自身のキャリアプランや退職時期の検討にお役立てください。

  • 保育士の退職金は法律上の義務ではなく、園の就業規則や加入している共済制度によって決まる。
  • 支払われるタイミングは、退職後おおむね1ヶ月〜2ヶ月後が一般的である。
  • 公立保育士(公務員)の退職金は勤続年数に応じて手厚く、定年時には1,500万円以上になるケースも多い。
  • 私立保育園でも「福祉医療機構(WAM)」や「都道府県の共済」に加入している園であれば、公立に近い水準の退職金が支給される。
  • 退職金は勤続3年、5年、10年といった節目で跳ね上がるため、辞めるタイミング(月や年数)には要注意。
  • 退職前には必ず「退職所得の受給に関する申告書」を提出し、税制優遇(非課税枠)をしっかり受けること。

退職金は、次のステップへ進むための大切な資金です。今の職場の規定をしっかりと確認し、後悔のない選択をしてください。

なるほど!と思ったらシェアしよう!

この記事の著者

転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部

「転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部」は、医療、介護、保育の求人サイト「ジョブジョブ」の運営メンバーによる記事編集部門です。医療・介護・保育・福祉・美容・ヘルスケアの仕事に関わる方に向けた、今後のキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

あわせて読みたい記事

おすすめの新着求人