ジョブジョブ 転職ノウハウ

【保存版】クレーム対応の基本5ステップ|病院・介護施設のシチュエーション別事例と怒りを鎮める初期対応術

【保存版】クレーム対応の基本5ステップ|病院・介護施設のシチュエーション別事例と怒りを鎮める初期対応術

医療・介護現場において、患者様や利用者様、そのご家族からのクレーム対応は避けて通れない重要業務です。厚生労働省や関係機関の調査によると、医療機関の約7割、介護施設の約8割が「利用者や家族からの不満・苦情(カスタマーハラスメントを含む)を経験したことがある」と回答しています。

クレーム対応を誤ると、職員の離職や施設の評判低下につながるリスクがあります。一方で、初期対応の基本ステップを理解し、適切な言葉遣いや組織的なエスカレーション態勢を整えておけば、トラブルを未然に防ぎ、逆に「信頼される施設」としての評価を高める機会に変えることが可能です。

この記事では、病院や介護施設で今すぐ使えるクレーム対応の基本ステップ、具体的なシチュエーション別対応事例、怒りを鎮めるフレーズ集まで徹底解説します。

1. 病院・介護現場でクレームが増加している背景とデータ

医療や介護の現場では、近年クレームや不満の件数が増加傾向にあります。これには患者様・利用者様の意識の変化や、職員不足によるサービス水準の偏りなど、さまざまな要因が複雑に関係しています。

医療・介護現場における苦情・トラブルの発生状況

日本医療機能評価機構などの調査データをもとに、病院や介護施設で発生する主なトラブルの背景とデータをまとめました。

項目病院(医療現場)介護施設(介護現場)
主な発生要因待ち時間の長さ、説明不足、職員のタメ口・態度事故・ケガ(転倒・転落)、物の紛失、職員の対応不備
クレーム発生率(年間)約68.5%(何らかの苦情を経験)約78.2%(何らかの苦情を経験)
申出者の内訳患者本人:約55% / 家族:約45%利用者本人:約20% / 家族:約80%
カスタマーハラスメント経験医師・看護師の約5割が経験介護スタッフの約6割が経験

病院では「待ち時間に対する不満」や「処置・病状に関する説明不足」がクレームの大半を占めます。一方、介護施設では利用者様本人の認知機能低下などにより、「家族からのクレーム」が全体の8割近くを占める点が大きな特徴です。特に預けている施設への不信感や、身体的事故(アザや転倒)に対する納得がいかないという理由が多く見られます。

2. クレーム対応の基本5ステップ

どのようなクレームであっても、対応の順序を間違えると火に油を注ぐ結果になります。怒らせてしまった相手の心情に寄り添い、解決へ導くための「基本5ステップ」を必ず頭に入れておきましょう。

Step 1:感情の傾聴と限定的謝罪

まずは相手の言い分を途中で遮らず、最後までしっかり聴くことが最優先です。この段階で「でもそれは違います」「規則ですので」と反論すると、相手は「話を聞いてくれない」と感じ、怒りを高めてしまいます。

また、初期対応では「不快な思いをさせたことに対する限定的な謝罪」を行います。こちらの落ち度(医療ミスや介護事故など)が確定していない段階で「すべて私どもの責任です」と過失を認める謝罪をしてはいけません。

  • 適切な対応:「お待たせしてしまい、大変ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません」
  • 避けるべき対応:「私どものミスで大変申し訳ありませんでした」(事実確認前に責任を全肯定する)

Step 2:事実関係の正確な把握(5W1Hでヒアリング)

相手の興奮が少し落ち着いたら、いつ・どこで・誰が・なにを・どのようにして起こったのか(5W1H)を冷静に確認します。

  • いつ(When):何時ごろの出来事か
  • どこで(Where):どの病室・受付・待合室・デイサービス内か
  • 誰が(Who):どのスタッフが対応したか(または誰に対してか)
  • なにを(What):どのような言葉や行動があったか
  • どうなった(How):その結果、相手はどう困っているか

この際、メモを取りながら「◯◯様、確認のため復唱させていただきます」と声をかけることで、真摯に向き合っている姿勢が伝わります。

Step 3:事実に基づく現状の説明と共感

把握した事実をもとに、現状でわかっていることを客観的かつ分かりやすく説明します。専門用語は避け、相手が理解できる言葉を使うことが大切です。

もし施設側に不備があった場合は、ここで誠心誠意の謝罪を行います。一方、誤解や行き違いであった場合は、相手の誤解を真っ向から否定するのではなく、「説明が言葉足らずで、不安な思いをさせてしまい大変失礼いたしました」と、相手の心理に対する配慮を示しながら事実を伝えます。

Step 4:具体策・代替案の提示

問題に対して「これからどう対応するのか」の解決策や代替案を提示します。

医療や介護の現場では、相手の希望通りにいくとは限りません。例えば「今すぐ診察しろ」と言われても急患対応中の場合は不可能です。その場合は「なぜ不可能なのか」の理由を説明した上で、「あと15分ほどで急患処置が終わりますので、終わり次第優先してお呼びします」といった明確な見通しや代替案を伝えます。

Step 5:組織内での情報共有と再発防止策の徹底

クレーム対応は個人の問題で終わらせてはいけません。対応終了後は速やかにインシデントレポートやクレーム報告書を作成し、施設全体で共有します。

再発防止策を講じ、必要に応じて「先日の件ですが、その後お体のお加減はいかがでしょうか」「今後このようなことがないよう、手すりの位置を改修いたしました」など、経過報告のアフターフォローを行うことで、相手からの信頼を回復・向上させることができます。

3. 【病院編】シチュエーション別クレーム対応事例と解決策

病院で頻繁に発生する代表的な3つのクレームシチュエーションについて、失敗例と成功例の対比を交えて解説します。

事例①:長時間待たされている患者からのクレーム

状況:外来の待合室で、予約時間を1時間過ぎても呼ばれない患者が受付に怒鳴り込んできた。

  • NG対応:「みなさんお待ちですので、順番までお待ちください。急患が入ったので仕方ありません」(理由の押し付けと正論での反論は、患者の怒りを極限まで高めます。)
  • OK対応:「◯◯様、長らくお待たせしてしまい誠に申し訳ございません。大変お辛い中、お時間をご指定いただいたにもかかわらず、案内が遅れております。実は本日、重症患者様の処置が入ってしまい、診察が遅れている状況でございます。◯◯様のお呼び出しはあと2人後、およそ15分後となる見込みです。よろしければ処置室のベッドでお休みになりながらお待ちになりますか?」

対応のポイント

不快感への謝罪をしつつ、遅れている「具体的理由」と「あとどれくらいで呼ばれるかの目安」を伝えることで、見通しが立ち安心感を与えられます。

事例②:医師や看護師の態度・言葉遣いに対する苦情

状況:患者の家族から「担当医の説明が上から目線で冷たい。看護師もタメ口でバカにされている気がする」と師長宛てに電話があった。

  • NG対応:「当院の医師も看護師も親身に対応しているはずですが…そんなつもりはなかったと思います」(スタッフを庇う発言は、「隠蔽しようとしている」「患者の気のせいと言いたいのか」と不信感を生みます。)
  • OK対応:「◯◯様、ご家族様の大切なご病状に関することでお辛い思いをされている中、スタッフの対応でご不快な思いとご不安を与えてしまい、大変申し訳ございません。どのような言葉遣いや対応があったか、具体的にお聞かせいただけますでしょうか。…ありがとうございます。ご指摘いただいた内容を謙虚に受け止め、該当スタッフおよび部署全体へ確認と指導を行います。今後、安心して治療に専念していただけるよう努めてまいります。」

対応のポイント

弁明をせず、まずは家族の不安と不満を受け止めます。ヒアリングした内容をもとに改善する意思をしっかり示すことが大切です。

事例③:医療費・会計時の不透明さに対する問合せ

状況:会計窓口で「前回と同じ薬しか出されていないのに、なぜ今日の会計がこんなに高いんだ!ごまかしているんじゃないか」と問詰された。

  • NG対応:「明細書に書いてある通りです。診療報酬の制度で決まっていますので間違いありません」(専門用語や制度を盾にした説明は、相手に拒絶感を与えます。)
  • OK対応:「説明が不足しておりご疑問を生じさせてしまい、大変失礼いたしました。本日の診療明細書を一緒にお手元で確認させていただいてもよろしいでしょうか。前回とお薬は同様ですが、本日は3ヶ月に一度の検査料(◯◯検査)が含まれておりますため、その分のご負担が増加しております。分かりづらい点があり申し訳ございませんでした。」

対応のポイント

数字や金額に関する不満は、明細書を一緒に見ながら1項目ずつ丁寧に根拠を解説することで解決します。

4. 【介護施設編】シチュエーション別クレーム対応事例と解決策

介護施設では、利用者様本人だけでなく「ご家族」からの問い合わせや苦情が大きな割合を占めます。代表的な事例を見ていきましょう。

事例①:利用者の身体に「謎のアザ」を発見した家族からの詰問

状況:面会に来た家族が、利用者の腕に小さなアザを発見。「施設で虐待されているんじゃないか!どうしてこんなアザができるんだ」と詰め寄ってきた。

  • NG対応:「虐待なんて絶対にありません!高齢者は皮膚が弱いので、少し触っただけでもアザができるんですよ」(感情的に否定したり、高齢者の体質を言い訳にすると「隠蔽している」と疑われます。)
  • OK対応:「◯◯様、大切なご家族のお体にアザがあり、大変驚かれ、ご心配をおかけしてしまい誠に申し訳ございません。すぐに状況を確認いたします。申し訳ありませんが、私どもでもいつ発生したアザか把握できておりませんでした。看護師と一緒にアザの状態を確認させていただき、本日の介護記録および昨夜からのご様子を至急調査いたします。30分ほどお時間をいただき、改めて状況と今後の対応をご報告させていただけますでしょうか。」

対応のポイント

アザに気づけていなかった点(観察不足)について誠実に謝罪し、虐待を疑う家族の不安を一旦受け止めます。その上で「時間を区切って調査報告する」という約束を交わします。

事例②:施設内での衣類・持ち物の紛失

状況:デイサービスの利用者家族から「先週着せて行ったお気に入りのセーターがない。他の人の服と間違えて持って行ったのではないか。弁償しろ」と連絡が入った。

  • NG対応:「持ち物にはすべて名前を書いていただくルールになっています。書いていない場合は探せません」(ルールの押し付けは、家族の不快感を高めます。)
  • OK対応:「◯◯様、大切にされているセーターが見当たらないとのこと、大変ご迷惑とお手数をおかけし申し訳ございません。私どもの管理不足でご心配をおかけしております。すぐに施設内の洗濯場や他の方のお荷物に紛れていないか、全スタッフで徹底して捜索いたします。また、本日ご利用の皆様のご家庭にも、誤って持ち帰られていないか確認のご連絡を入れさせていただきます。明日◯時までに進捗を一度お電話にてご連絡差し上げてもよろしいでしょうか。」

対応のポイント

自分の管理責任を認識し、捜索の具体的手順と連絡期限を提示します。見つかった・見つからないにかかわらず、約束した時間に必ず進捗報告を行うことが信頼維持のカギです。

事例③:利用者同士のトラブルに対する不満

状況:特別養護老人ホームで、認知症の他の利用者から暴言を吐かれた利用者の家族が「あんな人を同じフロアに置いておくなんておかしい。今すぐ退所させるか部屋を変えろ」と強く要求してきた。

  • NG対応:「認知症の症状ですのでお互い様です。部屋の空きもないので対応できません」(「お互い様」という言葉は被害を受けたと感じている側を逆撫でします。)
  • OK対応:「◯◯様が不安で悲しい思いをされたこと、私どもも大変心を痛めております。ご家族様がご心配されるのも当然でございます。他の方の行動によりご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません。ただちに該当の利用者様との生活動線を分けられるよう、日中の過ごすスペースの変更やスタッフの配置を見直します。お部屋の変更につきましても、現在の空き状況を含め調整可能か至急検討いたします。」

対応のポイント

相手の感情に共感しつつ、「今すぐできる環境の調整(動線を分ける・見守りを増やす)」を即座に提案し、安全を確保する姿勢を示します。

5. 現場で使える!相手の怒りを鎮める言い換えフレーズ集

クレーム対応では、日常的に使っている言葉が相手の怒りを増幅させることがあります。D言葉(でも、だって、ですが)を避け、クッション言葉や感謝の言葉に言い換える技術(クッション言葉・言い換え技術)を習得しましょう。

ネガティブフレーズとポジティブ言い換え一覧表

避けるべきNGフレーズ(D言葉・否定形)信頼を生むOKフレーズ(言い換え・クッション言葉)効果とポイント
ですが、規則ですのでできません。あいにくではございますが、規定により承りかねます。「ですが」を排し、クッション言葉で柔らかく拒否を伝える
そんなことは言っていません私の説明が至らず、誤解を与えてしまい大変申し訳ありません。相手の理解力ではなく、自分の説明不足として謝罪する
少々お待ちください◯分ほどお時間をいただいてもよろしいでしょうか。具体的な所要時間を提示して見通しを持たせる
わかりません確認いたしますので、一度お調べしてもよろしいでしょうか。無責任な印象をなくし、対応する姿勢を示す
無理です〜は難しいのですが、◯◯であれば対応可能でございます。代替案(イエスマンではなくポジティブな提案)を出す

6. 組織として取り組むべき悪質クレーム(ハラスメント)対策

現場のスタッフ個人にクレーム対応を押し付けると、スタッフの精神的疲弊や離職につながります。特に近年問題視されている「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に対しては、組織として毅然とした対応態勢を構築することが必須です。

カスハラと通常のクレームを見極める判断基準

厚生労働省のガイドラインに基づき、以下のような言動が見られる場合は「悪質クレーム(ハラスメント)」と判断し、組織的対応へ切り替えます。

【悪質なカスタマーハラスメントの例】
・長時間(数時間以上)にわたる拘束や同じ主張の繰り返し
・過度な金銭補償や不可能な要求(「土下座しろ」「担当者をクビにしろ」など)
・大声での威嚇、暴言、人格否定(「バカ」「死ね」「無能」など)
・SNSやネットへの投稿をちらつかせる脅迫
・職員に対する身体的暴力やセクハラ行為

組織的エスカレーションフローの構築

悪質クレームに対しては、現場のスタッフ1人に抱え込ませず、以下のマニュアルに沿って組織で対応します。

【現場対応】
スタッフ1人での対応を避け、必ず複数人で対応(記録・録音)

【初期エスカレーション】
相手の暴言や長時間の拘束が始まったら、速やかに上司(師長・管理者)へバトンタッチ

【組織的対応】
個室へ誘導、または毅然とした態度で退去・対話打ち切りを要件告げる

【外部連携】
脅迫や暴力、不退去罪に該当する場合は、ためらわずに警察や顧問弁護士へ連絡

防犯カメラの設置や、電話の自動録音機能の導入、定期的なクレーム対応研修の実施など、施設全体で「職員を守る環境づくり」を進めることが、結果として質の高い医療・介護サービスの提供につながります。

7. この記事のポイント

最後に、病院や介護施設でクレーム対応を行う際の重要なポイントをまとめます。

  • 初期対応は「感情のケア」が最優先:事実確認の前に、不快な思いや不安を与えたことに対する限定的な謝罪を行う。
  • 基本5ステップを徹底する:傾聴・限定謝罪 ➔ 5W1Hで事実把握 ➔ 事実説明と共感 ➔ 解決策・代替案の提示 ➔ 組織共有とアフターフォロー。
  • 病院と介護施設での視点の違いを理解する:病院は「待ち時間・説明不足」、介護施設は「事故・持ち物・家族の不信感」が多いため、それぞれの背景に合わせた共感を示す。
  • 適切な言い換えフレーズ(クッション言葉)を活用する:「ですが」「規則ですので」といったD言葉を避け、相手を尊重した言葉選びを徹底する。
  • 悪質クレーム(カスハラ)は組織で守る:個人で抱え込ませず、エスカレーションフローの整備や録音・外部機関(警察・弁護士)との連携態勢を整える。

クレームは一見ネガティブな出来事ですが、適切に対応することで「誠実な施設」という強い信頼関係を構築するきっかけになります。ぜひ本記事のステップやフレーズを現場のマニュアル作成やスタッフ研修に役立ててください。

なるほど!と思ったらシェアしよう!

この記事の著者

転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部

「転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部」は、医療、介護、保育の求人サイト「ジョブジョブ」の運営メンバーによる記事編集部門です。医療・介護・保育・福祉・美容・ヘルスケアの仕事に関わる方に向けた、今後のキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

あわせて読みたい記事

おすすめの新着求人