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【完全保存版】ICF(国際生活機能分類)とは?介護・看護現場での実践的な書き方と具体例を徹底解説

【完全保存版】ICF(国際生活機能分類)とは?介護・看護現場での実践的な書き方と具体例を徹底解説

介護や看護の現場において、利用者や患者の状態を正確に把握し、適切なケアプランを作成することは非常に重要です。そのための世界共通のフレームワークとして活用されているのが「ICF(国際生活機能分類)」です。

しかし、現場で働く専門職の方からは「概念は知っているけれど、アセスメントシートへの具体的な書き方がわからない」「どうしても『できないこと(マイナス面)』ばかりを書いてしまう」といった悩みをよく耳にします。

本記事では、ICFの基本的な意味や目的から、現場でそのまま使える具体的な書き方、さらにはよくある事例別の記入例までを徹底的に解説します。多職種連携をスムーズにし、より質の高いケアを提供するための参考にしてください。

1. ICF(国際生活機能分類)とは?基本的な意味と目的

ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)は、2001年5月の第54回世界保健機関(WHO)総会において採択された「国際生活機能分類」のことです。

人間の健康状態や障害を、単なる「病気」や「ケガ」という医学的な視点だけで捉えるのではなく、その人の「生活」や「人生」全体から総合的に理解しようとする考え方です。

ICIDH(国際障害分類)との違い

ICFが誕生する前は、1980年にWHOが制定した「ICIDH(国際障害分類)」が主流でした。しかし、ICIDHは障害を「マイナス面(できないこと)」として捉える傾向が強く、一方向的な見方しかできないという課題がありました。

この課題を克服し、人間の「できること(プラス面)」や「環境」にも焦点を当て、双方向からの影響を評価できるように進化したのがICFです。

【表1:ICIDHとICFの比較】

比較項目ICIDH(国際障害分類 / 1980年)ICF(国際生活機能分類 / 2001年)
基本的な捉え方マイナス面(できないこと・障害)を重視プラス面(できること・生活機能)も重視
環境の影響個人の問題として捉えがち環境や個人の背景が大きく影響すると考える
因果関係一方向(病気→機能障害→能力低下→社会的不利)双方向(各要素が互いに影響し合う)
対象者障害のある人のみすべての人(すべての人間の健康状態を分類)

このように、ICFは「障害の分類」から「生活機能の分類」へと大きなパラダイムシフトを起こしました。

2. ICFを構成する6つの要素(コンポーネント)

ICFの最大の特徴は、人間の生活機能を以下の「6つの要素」に分類し、それらが複雑に絡み合い、相互に影響を与え合っていると考える点です。各要素の意味を正確に理解することが、正しいアセスメントへの第一歩となります。

【表2:ICFを構成する6つの要素】

要素(コンポーネント)意味・定義介護・看護現場での具体例
① 健康状態病気、ケガ、妊娠、ストレス、加齢などの状態脳梗塞、認知症、骨折、高血圧、うつ状態など
② 心身機能・身体構造身体の働きや精神の働き、手足や臓器の構造右半身麻痺、視力低下、関節の変形、記憶力低下
③ 活動個人が生活の上で行うすべての行為・動作歩行、食事、排泄、着替え、家事、買い物など
④ 参加家庭内や社会での役割、コミュニティへの関与家族との団らん、趣味のサークル参加、就労、町内会
⑤ 環境因子人を取り巻く物的な環境や、人的・制度的な環境段差のある家、車椅子、家族の介護力、介護保険制度
⑥ 個人因子年齢、性別、性格、価値観、ライフスタイル、職業歴80歳女性、元教師、几帳面な性格、ガーデニング好き

ICFのモデル図では、これら6つの要素がすべて双方向の矢印(↔︎)で結ばれています。例えば、「手すりをつける(環境因子)」ことで「一人でトイレに行けるようになる(活動)」といったように、一つの要素の変化が他の要素に大きな影響を与えます。

3. 介護・看護現場でICFを活用する3つのメリット

内閣府の「令和5年版 高齢社会白書」によると、日本の65歳以上人口は3,623万人に達し、高齢化率は29.1%を記録しています。複数の疾患を抱えながら生活する高齢者が増える中、ICFを活用することには以下のような明確なメリットがあります。

メリット1:多職種連携(チーム医療・ケア)の共通言語になる

介護現場には、医師、看護師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護職など、多様な専門職が関わります。職種によって着眼点(医療的視点、生活環境的視点など)が異なりますが、ICFという共通のフレームワークを用いることで、全員が同じ全体像を共有しやすくなり、カンファレンスの質が飛躍的に向上します。

メリット2:利用者の「できること(強み)」に焦点を当てられる

従来の医学的モデルでは、「足が動かない」「認知機能が低下している」という欠損部分にばかり目が向きがちでした。ICFを用いることで、「麻痺はあるが、自助具を使えば自分で食事ができる(活動のプラス面)」「家族の献身的なサポートがある(環境因子のプラス面)」など、本人の強みやポジティブな要素を見つけ出し、それを活かしたケアが可能になります。

メリット3:根拠に基づいた個別性の高いケアプランが作成できる

「なぜその活動ができないのか」を分析する際、心身機能の低下だけでなく、環境因子(家屋構造など)や個人因子(本人の意欲など)を含めて総合的に分析できるため、より根本的な解決策を導き出すことができます。結果として、テンプレートではない、その人だけの個別性の高いケアプランが完成します。

4. 【実践】介護・看護におけるICFの書き方・アセスメント手順

実際にアセスメントシートへICFを記入していく際の手順を解説します。いきなりシートを埋めようとするのではなく、段階を踏んで情報を整理することが重要です。

手順1:徹底した情報収集

まずは利用者本人、ご家族、他職種からのヒアリングを通じて情報を集めます。この時、「疾患」や「ADL(日常生活動作)」だけでなく、「本人がこれまでどんな人生を歩んできたか(個人因子)」「自宅の環境や家族関係はどうなっているか(環境因子)」を意識して収集します。

手順2:情報を6つのコンポーネントに分類する

収集した箇条書きの情報を、前述したICFの6つの要素(健康状態、心身機能・身体構造、活動、参加、環境因子、個人因子)のどれに該当するか振り分けていきます。

手順3:プラス面とマイナス面を整理する

分類した各要素について、「プラス面(強み・活用できるもの)」と「マイナス面(課題・阻害要因)」を併記します。ここがICFを使いこなす上で最も重要なポイントです。

手順4:要素間の「関連付け」を行い、目標を設定する

それぞれの要素がどう影響し合っているかを分析します。例えば、「環境因子」を改善すれば「活動」がどう広がるか、という視点でケアの方向性を決定し、ケアプランの目標に落とし込みます。

5. 【事例別】アセスメントシートへのICFの書き方具体例

ここからは、実際の介護・看護現場でよく遭遇するケースを想定し、ICFへの具体的な書き方を表形式で紹介します。

事例A:脳梗塞後遺症による右片麻痺がある70代男性

  • 背景: 退院後、自宅での生活を再開。車椅子を使用。以前は地域の将棋クラブに通っていた。

【表3:事例AのICFアセスメント記入例】

要素プラス面(強み・促進要因)マイナス面(課題・阻害要因)
健康状態血圧は薬でコントロールされ安定脳梗塞(右片麻痺)の既往
心身機能左半身の筋力・機能は維持されている。認知機能は正常右上下肢の麻痺。軽度の言語障害
活動左手を使ってスプーンで食事が可能起き上がり、移乗、歩行が自立していない
参加家族と一緒にテレビを見る時間を楽しんでいる外出機会が減り、将棋クラブに参加できていない
環境因子妻(介護者)の献身的なサポート。手すり設置済み自宅の玄関に段差があり、車椅子での外出が困難
個人因子負けず嫌いでリハビリに前向き。将棋が趣味他人の世話になることに強い抵抗感がある

【関連付けとケアの方向性】

「玄関の段差(環境のマイナス)」をスロープで解消し、「左手の機能(心身のプラス)」と「リハビリへの意欲(個人のプラス)」を活かして車椅子の自走練習を行います。最終的には「将棋クラブへの復帰(参加の拡大)」を目標とします。

事例B:軽度のアルツハイマー型認知症で独居の80代女性

  • 背景: 夫と死別し一人暮らし。物忘れが増えたが、身体は元気で庭いじりが好き。

【表4:事例BのICFアセスメント記入例】

要素プラス面(強み・促進要因)マイナス面(課題・阻害要因)
健康状態食欲旺盛、内科的な基礎疾患はなしアルツハイマー型認知症(初期)
心身機能下肢筋力は保たれており歩行状態は良好短期記憶の低下、見当識障害が時折見られる
活動身の回りのこと(更衣・入浴)は自立。庭いじりができる服薬管理ができない。火の元の管理に不安
参加近所の友人と立ち話をするのが日課地域の老人会には「忘れてしまうから」と不参加
環境因子近くに住む長女が週2回訪問。馴染みのある自宅環境独居のため、24時間の見守りはない
個人因子花を育てるのが大好きで、長年続けている認知症を認めたがらず、デイサービスを拒否

【関連付けとケアの方向性】

「歩行状態の良さ」と「庭いじり・花が好き」という強みを活かします。デイサービスを単なる「お世話される場所」ではなく、「園芸活動で役割を持てる場所」として提案し、社会参加を促します。同時に、長女や訪問介護(環境因子)を活用して、服薬と火の元の安全管理(活動の補完)を徹底します。

6. ICFを書く際によくある失敗と注意点

ICFを活用する上で、現場のスタッフが陥りやすい注意点を解説します。

「できないこと(欠損)」ばかりを羅列してしまう

医療や介護の現場では、どうしても「問題点」を探す癖がついています。マイナス面を書くこと自体は必須ですが、必ずセットで「残存機能」や「活用できる環境」といったプラス面を探し出して記載するルールを設けましょう。

要素ごとの「関連付け」が抜けている(単なる穴埋め作業になっている)

ICFシートの6つの箱を埋めること自体が目的になってしまうケースです。要素を書き出した後は、「この環境因子があるから、この活動ができている」「この個人因子が、社会参加の妨げになっている」といった、要素同士の「矢印(ストーリー)」を文章化して読み解くことが重要です。

本人の「意向」や「参加」が軽視されている

専門職目線で「安全に歩けるようになること」だけを目標にしてしまい、「本人は何のために歩きたいのか(参加・個人因子)」を見落とすことがあります。ICFの本来の目的は、その人らしい生活を取り戻すことです。アセスメントの際は、必ず「本人がどう生きたいか」をヒアリングし、「参加」の項目を充実させましょう。

7. まとめ

ICF(国際生活機能分類)は、利用者を「疾患や障害を抱えた患者」としてではなく、「生活の主体者」として総合的に捉えるための強力なツールです。

  • マイナス面だけでなく、プラス面(できること・強み)に光を当てる
  • 心身機能だけでなく、環境や個人の背景も含めて総合的に評価する
  • 多職種間の共通言語として活用し、一貫したケアを提供する

介護や看護の現場でアセスメントシートに向き合う際は、ぜひこのICFの視点を取り入れてみてください。まずは担当している一人の利用者について、6つの要素の「プラス面」を書き出してみることから始めるのがおすすめです。それだけでも、今まで見えていなかった新しいケアの可能性が必ず見つかるはずです。

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この記事の著者

転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部

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