ジョブジョブ 転職ノウハウ

就労継続支援B型とは?仕事内容・工賃の仕組みからA型との違いまで

就労継続支援B型とは?仕事内容・工賃の仕組みからA型との違いまで

障害や体調の理由から、一般的な企業で働くことが難しくても「自分のペースで働きたい」「社会とつながりを持ちたい」と願う方は多くいます。そのような方をサポートする福祉サービスが「就労継続支援B型」です。

しかし、いざ利用を検討しようとしても、「具体的にどんな仕事をするの?」「お金(工賃)はいくらもらえる?」「A型とは何が違うの?」といった疑問や不安をお持ちの方も少なくありません。また、福祉業界への転職を考えており、B型事業所での職員の働き方に興味がある方もいるでしょう。

この記事では、就労継続支援B型サービスの仕組みや具体的な仕事内容、気になる工賃の平均額、さらに働く職員の役割まで、初心者にもわかりやすく徹底解説します。ご自身やご家族の利用を考えている方はもちろん、支援員を目指す方もぜひ参考にしてください。

1. 就労継続支援B型とは?仕組みと対象者をやさしく解説

就労継続支援B型は、障害者総合支援法に基づく「就労系福祉サービス」の一種です。

一般企業や就労継続支援A型での勤務が困難な障害や難病のある方に対して、働く機会や生産活動の場を提供します。ここでいう「生産活動」とは、実際に物を作ったり作業を行ったりして、社会に価値を提供する活動のことです。

最大の特徴は、「雇用契約を結ばずに利用できる」という点にあります。

なぜ「雇用契約を結ばない」のか?

雇用契約を結ばないということは、労働基準法が定める最低賃金の適用を受けないことを意味します。「それだと損をしているのでは?」と感じるかもしれませんが、これには利用者を守るための重要な意図があります。

最低賃金が適用される働き方では、一定の時間内に決められた成果を出すことが厳しく求められます。しかしB型では、そのプレッシャーがありません。

  • 体調が不安定で、毎日決まった時間に通うのが難しい
  • 1日数時間、週に1〜2日だけ働きたい
  • 集中力を維持するのが苦手で、こまめに休憩を挟みたい

このように、一人ひとりの体調や障害の特性、リハビリの進み具合に合わせて、非常に柔軟なスケジュールで作業を進めることができます。

就労継続支援B型の対象者

厚生労働省のガイドラインに基づき、就労継続支援B型を利用できるのは、以下のいずれかの条件を満たす方です。

  1. 就労経験がある方: 過去に一般企業や就労継続支援A型で働いていたが、年齢や体調の悪化などの理由で、現在は雇用関係での就労が困難になった方。
  2. 就労移行支援を利用した方: 就労移行支援事業所などを利用した結果、B型の利用が適当であると判断された方。
  3. 年齢や体調などの理由がある方: 上記に該当しない場合でも、50歳に達している方や、障害基礎年金1級を受給している方など。
  4. 自治体の判断による方: 相談支援事業所によるアセスメントを経て、就労の機会を得ることが必要であると自治体が認めた方。

身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、難病のある方が対象となり、特別支援学校を卒業してすぐに利用するケースも増えています。障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書や定期的な通院証明があれば自治体の判断で利用できる場合があります。

2. 就労継続支援A型・就労移行支援との明確な違い

福祉が提供する就労支援サービスには、B型のほかに「就労継続支援A型」と「就労移行支援」があります。名前が似ているため混同されやすいですが、その目的や条件は大きく異なります。

それぞれの特徴を表にまとめました。

就労支援サービスの比較一覧

項目就労継続支援B型就労継続支援A型就労移行支援
主な目的福祉的な就労機会の提供、生活リズムの安定福祉的な雇用機会の提供、一般就労へのステップアップ一般企業への就職(一般就労)に向けたトレーニング
雇用契約結ばない結ぶ結ばない
報酬の形態工賃(作業に応じた報酬)給与(最低賃金以上を保証)基本的に支給なし(※交通費支給などは事業所による)
年齢制限なし(幅広い年齢層が利用)原則18歳以上、65歳未満原則18歳以上、65歳未満
利用期間制限なし(長期の利用が可能)なし原則2年以内

A型との違い:雇用の有無と働き方の自由度

就労継続支援A型は、利用者と事業所が正式な雇用契約を結びます。そのため、各都道府県の最低賃金以上の給与が支払われますが、同時に「毎日4〜5時間はしっかり働く」「ルールや納期を守る」といった労働者としての責任が求められます。

一方のB型は、より福祉的な色彩が強く、リハビリや居場所としての機能も兼ね備えているため、週1日・1回1時間からのスタートといった柔軟な利用が許されています。

就労移行支援との違い:ゴール設定

就労移行支援は、あくまで「一般企業に就職すること」を目指すための学校のような場所です。原則として2年という利用期限があり、学べるのはPCスキルや面接対策などの座学・訓練がメインとなります。事業所内での作業に対する報酬(工賃)は基本的に発生しません。

これに対してB型は、期限がなく、実際に作業を行いながらマイペースに長く働き続けることができます。

3. B型事業所で提供される「サービス・仕事内容」の具体例

就労継続支援B型で提供される仕事(作業)内容は、事業所によって驚くほど多種多様です。利用者は、自分の興味や得意なこと、または体調に合わせて事業所を選ぶことができます。

大きく分けると、以下の4つのカテゴリーに分類されます。

① 軽作業(内職作業)

最も一般的で、多くの事業所が取り入れている作業です。

  • 袋詰め・シール貼り: 届いた部品やチラシを袋に入れ、バーコードなどのシールを丁寧に貼る作業。
  • 箱組み立て: ギフト用やお菓子用の段ボール・紙箱を折り目に沿って組み立てる作業。
  • 検品・仕分け: 製品に傷や汚れがないかチェックし、種類ごとに分ける作業。

手先を使う作業が多いため、集中力を養ったり、単調な作業をコツコツと続ける訓練になったりします。

② 自主製品の製造・販売

事業所独自のブランドや製品を企画し、作って販売する仕事です。

  • お菓子・パン作り: クッキー、マフィン、食パンなどを本格的な厨房で製造し、近隣の店舗やイベントで販売します。
  • ハンドメイド雑貨・工芸品: 刺しゅう、レザークラフト、陶芸、せっけん、アクセサリーなどを制作します。

自分が関わった商品がお客様に売れ、ダイレクトに喜びの声を聞くことができるため、高いやりがいを感じられるのが魅力です。

③ IT・オフィスワーク

近年、若い世代を中心に需要が急増している分野です。

  • データ入力: 指定されたフォーマットに文字や数値をタイピングする作業。
  • Web制作・デザイン: イラストレーターなどのソフトを使い、バナー作成、ホームページ制作、動画編集などを行います。
  • アンケート集計: 紙のデータをパソコンで集計する作業。

パソコンスキルを身につけることで、将来的に一般就労や在宅ワークを目指すための足がかりにできます。

④ 屋外作業・店舗運営

身体を動かすことが好きな方や、接客に挑戦したい方向けの作業です。

  • 農作業・園芸: 野菜や花の栽培、収穫、袋詰め。
  • 清掃・リサイクル: 公園やマンション、オフィスの清掃、空き缶・ペットボトルの分別。
  • カフェ・ショップ運営: 事業所が運営する店舗での調理補助、接客、レジ打ち。

適度に身体を動かすことで生活リズムが整いやすく、接客を通じてコミュニケーション能力を高めることができます。

4. 気になる「工賃」の仕組みと全国平均額

就労継続支援B型で作業を行うと、その対価として「給与」ではなく「工賃(こうちん)」が支払われます。この工賃がどのように決まり、実際にいくらもらえるのかを見ていきましょう。

工賃の仕組み:成果と原資

B型事業所の工賃は、事業所が外部の企業から受注した作業の報酬や、自主製品の売上から、原材料費などの経費を差し引いた「利益(生産活動収益)」を原資として利用者に分配されます。

厚生労働省のルールにより、国や自治体から事業所に支払われる「給付金」を工賃に回すことは原則として禁止されています。つまり、事業所がビジネスとしてどれだけ稼げたかによって、利用者に払える工賃の総額が決まります。

計算方法は事業所によって異なり、主に以下の2パターンがあります。

  • 時給・日給制: 「1時間作業したら〇〇円」「1日通ったら〇〇円」という、時間に比例する形式。
  • 出来高制: 「シール貼りを1個終えたら〇円」「クッキーが1袋売れたら〇円」という、成果に比例する形式。

全国平均工賃の現状

厚生労働省が発表しているデータによると、近年の就労継続支援B型における「1人あたりの月額平均工賃」は、約15,000円〜17,000円前後で推移しています。

時間単価に換算すると、おおむね200円〜250円程度となる計算です。

【補足】工賃の二極化

平均額を見ると「少ない」と感じるかもしれませんが、これは事業所によって非常に大きな格差があります。袋詰め中心の事業所では月額5,000円未満のところもありますが、高度なIT作業やブランド力の高いパンの製造・販売を行う事業所では、月額50,000円以上、なかには10万円近くを支払う先進的な事業所も存在します。

利用料金(自己負担)とのバランスに注意

B型事業所を利用する際、福祉サービスの一環であるため「サービス利用料」が発生する場合があります。

前年の世帯所得に応じて自己負担の月額上限が決まっており、生活保護受給世帯や市民税非課税世帯(年収約300万円以下の世帯など)は自己負担0円(無料)で利用できます。多くの利用者がこの非課税世帯に該当するため、実質無料で利用していますが、課税世帯の場合は工賃よりも利用料が高くなってしまうケースがあるため、事前の確認が必須です。

5. 就労継続支援B型で働く「職員の仕事内容」と役割

ここからは、視点を変えて「B型事業所で働くスタッフ(職員)」の仕事内容を解説します。福祉の仕事に関心がある方にとって、B型事業所は未経験からでも挑戦しやすいアットホームな環境が多いのが特徴です。

事業所には、主に次のような職種の職員が配置されています。

主な配置職員と役割

就労継続支援B型:職員の組織と役割
  • 管理者: 事業所全体の運営、予算管理、スタッフの採用などを行う責任者です。
  • サービス管理責任者(サビ管): 利用者一人ひとりの目標や課題に合わせた「個別支援計画」を作成し、定期的に見直しを行います。
  • 職業指導員: 作業のやり方を教えたり、外部企業との納期調整を行ったり、技術的なサポートを担当します。
  • 生活支援員: 利用者の体調確認や食事・トイレのサポート、日常生活やメンタル面の相談に乗ります。

職員の具体的な1日の流れ(例)

多くのB型事業所は夜勤がなく、日勤帯(9:00〜18:00など)のみの勤務が一般的です。

  • 09:00〜 出勤・朝礼: 職員間でその日の利用者の体調や注意点、作業スケジュールの共有を行います。
  • 09:30〜 利用者の迎え・朝の会: 送迎バスを運行している場合は迎えに行き、利用者がそろったら体調確認を行います。
  • 10:00〜 午前の作業サポート: 利用者の横に付き、作業の手順を教えたり、仕上がりの検品を行ったりします。無理をしていないか、声をかけることも大切です。
  • 12:00〜 昼食・休憩: 食事のサポートをしたり、一緒に談笑したりして過ごします。
  • 13:00〜 午後の作業サポート: 午前と同様にサポートを行います。途中で適切な休憩を挟むよう促します。
  • 15:00〜 片付け・終礼・送迎: 作業場所を掃除し、利用者を送迎します。
  • 16:00〜 事務作業・記録: 利用者ごとのその日の様子、作業進捗などを日誌に記録します。サビ管を中心にミーティングを行うこともあります。
  • 18:00〜 退勤: 残業は比較的少ない傾向にあります。

B型事業所で働くやりがいと求められるスキル

職員に最も求められるのは、高い作業技術ではなく、「待つ力」と「傾聴の姿勢」です。

B型事業所には、日によって体調の波が激しい方や、新しい作業を覚えるのに時間がかかる方がたくさんいます。そこでイライラせず、「その人のペース」に寄り添い、小さな「できた!」を一緒に喜べるかどうかが重要になります。

昨日まで10個しかできなかったシール貼りが、今日は15個できるようになった。引きこもりがちだった利用者が、笑顔で挨拶してくれるようになった。そんな人間の成長や回復を間近で実感できることが、この仕事の最大のやりがいです。

6. 就労継続支援B型を利用するメリット・デメリット

実際にB型事業所の利用を検討するにあたり、良い面(メリット)と注意すべき面(デメリット)を整理しておきましょう。双方を正しく理解することで、「思っていたのと違った」というミスマッチを防げます。

メリット

  • 体調に合わせた柔軟な働き方ができる: シフトの融通が極めて利きやすく、週1日・短時間からのスタートや、当日の急な体調不良による欠席・遅刻にも理解があります。
  • 社会とのつながりができ、孤立を防げる: 自宅に引きこもりがちだった人が通うことで、職員や他の利用者との会話が生まれ、社会的な居場所を確保できます。
  • ステップアップの足がかりになる: 日常的に通うことで生活リズムが整い、基礎的な作業能力やコミュニケーション力が身につくため、将来的にA型や一般企業へ進む体力がつきます。
  • 少しでも「自分で稼ぐ」喜びを得られる: 金額は大きくなくても、自分の労働の対価として工賃を得ることは、大きな自信と自立の第一歩になります。

デジタル環境や独自の取り組みを行う事業所も増加中

近年では、従来の軽作業だけでなく、イラスト制作や動画編集といった、利用者の「好き」や「得意」を仕事に結びつける革新的なB型事業所も増えています。これにより、自身のスキルアップを実感しやすい環境が整いつつあります。

デジタルアートを取り入れたB型事業所の例

事業所によっては、タブレットやパソコンを使用したイラスト制作を仕事とし、完成した作品を企業向けにレンタル・販売する仕組みを構築しているところもあります。デザイン原稿を見ながら、デジタル上で丁寧に色を塗ったりレイアウトを調整したりする作業は、高い集中力を活かせる仕事として注目されています。

デメリット

  • まとまった収入を得るのは難しい: 前述の通り、全国平均工賃は月額1万数千円程度です。「一人暮らしの生活費をすべて工賃でまかなう」ということは現実的に不可能です。多くの場合、障害年金や家族からの援助、生活保護などと組み合わせて生活を組み立てることになります。
  • 事業所によって雰囲気や作業内容が全く違う: アットホームで賑やかな場所、黙々と作業する静かな場所、パソコン作業がメインの場所など、事業所ごとのカラーが強いため、自分に合わない事業所を選んでしまうとストレスになります。
  • 一般就職までに時間がかかる場合がある: 居心地が良い反面、期限がないため「今のままで満足してしまい、一般就職に向けた次のステップへ進むモチベーションが湧きにくい」という側面もあります。

7. 利用を開始するまでの具体的な流れと手続き

「B型事業所を利用してみたい」と思ったら、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか。一般的な開始までの流れを5つのステップで解説します。

ステップ1:相談・情報収集

まずは、お住まいの市区町村の「障害福祉課」などの窓口、または「基幹相談支援センター」「相談支援事業所」に相談をします。窓口では、地域のB型事業所のリストをもらったり、大まかな手続きについて説明を受けたりできます。

ステップ2:事業所の見学・体験

気になる事業所が見つかったら、必ず事前に見学や体験利用を行いましょう。

  • 職員や他の利用者の雰囲気は自分に合いそうか
  • 自分が無理なく通える立地、アクセスか(送迎はあるか)
  • 作業内容は興味が持てるものか、体調に合っているかこれらは実際に足を運んでみないと分かりません。多くの事業所で数日間の体験利用を受け入れています。

ステップ3:利用申請と「サービス等利用計画」の作成

利用したい事業所が決まったら、市区町村の福祉窓口へ正式に「サービス利用申請」を行います。

申請後、相談支援専門員に「サービス等利用計画案」を作成してもらうか、自分で「セルフプラン」を作成して自治体に提出します。これは「どのような目標を持って福祉サービスを利用するのか」を記した書類です。

ステップ4:「障害福祉サービス受給者証」の交付

自治体による審査(ヒアリングや必要性の確認)を経て、問題がなければ「障害福祉サービス受給者証(受給者証)」が発行されます。この受給者証が手元に届くことで、正式に福祉サービスを利用する資格が得られます。

ステップ5:事業所との契約・利用開始

受給者証を事業所に提示し、正式に利用契約を結びます。利用日数や通所する曜日などをスタッフと最終確認し、いよいよ利用開始となります。最初は週1〜2日、午前中だけといったスモールステップから始めるのが長続きのコツです。

8. まとめ:自分に合ったペースで一歩を踏み出そう

就労継続支援B型は、一般的な雇用契約の枠組みにとらわれず、「障害や体調に合わせ、自分のペースで安心して働ける場所」です。

月々の工賃は決して高くはありませんが、生活リズムを整え、仲間や支援員と関わり、社会の一部として役割を持つことは、金額以上の大きな価値をもたらしてくれます。また、近年は作業内容も多様化しており、パソコン作業やオシャレな雑貨作りなど、個性を活かせる場所もたくさん見つかる時代です。

一方で、そこで働く職員にとっても、利用者の自立や笑顔をダイレクトに支えられる、非常にやりがいの大きな福祉現場といえます。

少しでも興味を持たれた方は、まずは地域の相談窓口に話を聞きに行ったり、近くの事業所の見学を申し込んだりすることから、最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

なるほど!と思ったらシェアしよう!

この記事の著者

転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部

「転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部」は、医療、介護、保育の求人サイト「ジョブジョブ」の運営メンバーによる記事編集部門です。医療・介護・保育・福祉・美容・ヘルスケアの仕事に関わる方に向けた、今後のキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

あわせて読みたい記事

おすすめの新着求人