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保育士採用コスト完全ガイド|相場・削減術から戦略的な採用設計まで徹底解説

保育士採用コスト完全ガイド|相場・削減術から戦略的な採用設計まで徹底解説

「採用にかかる費用が年々増えている…」「良い保育士がなかなか集まらず、コストばかりかさんでしまう」―そんなお悩みを抱えている保育園・幼稚園・認定こども園の人事・園長・経営者の方も多いのではないでしょうか。実際、保育業界では人手不足が長期化しており、採用単価・採用コストともに上昇傾向にあります。たとえば、保育士の採用単価が60万円~140万円というデータも報告されています。

このような状況の中で「ただ求人を出す」だけでは費用対効果が悪く、採用活動の設計・戦略・運用を見直すことが求められます。この記事では、保育士採用コストの「相場」「構成」「削減方法」「成功戦略」を整理し、園として「どこにいくらかけるか」「どうすれば無駄を省けるか」「短期・中期での戦略はどう描くか」を具体的にご提案します。採用活動を「コスト」ではなく「投資」と捉えられるよう、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

1. 保育士採用コストとは何か?定義と構成要素

採用コストとは、あるポジション(ここでは「保育士」)を採用するために要した全費用を指します。1人あたりの採用コスト(いわゆる「採用単価」)として算出されることが多く、以下のような構成要素があります。

1-1 採用コストの定義

– 採用活動にかかった費用(求人広告費、人材紹介費、フェア出展費、媒体掲載料など)
– 採用活動にかかった内部コスト(採用担当者・園長の人件費、選考にかかる工数、機会コスト)
– 採用後のフォロー・教育・定着コストを含むこともある(ただし、「採用コスト」として明確に定義されている場合は上記の募集~採用決定までの費用を指すケースが多い)

採用単価=(採用にかかった総コスト) ÷(採用人数)という計算式も一般的に使われています。

1-2 保育業界における採用コストの構成例

保育士採用において、具体的に以下のような費用が発生し得ます。

  • 求人媒体掲載料(インターネット求人、専門求人サイト、紙媒体など)
  • 人材紹介会社への成功報酬(採用決定時に支払う)
  • 転職/就職フェア出展費・ブース設営費
  • 採用広報(ホームページ改修、パンフレット制作、SNS広告等)
  • 内部工数(採用担当者の時間、面接・園見学のコーディネート、内定者フォロー)
  • 採用決定後の研修・導入準備コスト(受け入れ体制、オリエンテーション、教育)
  • ミスマッチによる早期離職の再採用コスト(採用したがすぐ辞めてしまった場合、追加でコストが発生)

このような構成を理解することで、「なぜこの金額になっているのか」「どの項目にコストが偏っているのか」を可視化できます。

1-3 なぜ「採用コスト」が重要か?

保育業界では、採用を失敗すると以下のような負の連鎖が発生します。

  • 採用できない → 保育士不足 →シフト過多・職員疲弊 → 離職率上昇
  • 高い採用コストだけがかかる →採用担当・園経営に負担
  • 離職再採用を繰り返すことで、さらにコスト増大

従って「採用活動をいかに効率的に、かつ質を担保して行うか」が経営上の重要な課題となっています。特に、採用コストが運営費・人件費・施設投資の中で圧迫要因になっている園もあります。実際、ある報告では「保育士採用コストが売上(または経営費)において3%を超えている」園もあるとされています。

以上を踏ま、次章では「どれくらいの金額がかかっているか(相場)」を見ていきます。

2. 保育士採用コストの相場データ(媒体別/雇用形態別)

採用コストの相場を知ることは、「適切な予算設計」「他園との比較」「費用対効果の検証」のために欠かせません。ここでは、保育業界で報告されている主なデータを整理します。

2-1 求人媒体(掲載課金型/成功報酬型)

求人媒体を用いた採用手法では、以下のような相場が報告されています。

  • 掲載課金型(求人広告を出すだけで費用発生)では、1人あたり 1万円~40万円程度 がひとつの目安。
  • 成功報酬型(採用決定時に費用発生)では、保育士年収の20〜40%という水準が目安で、60万円~140万円程度となるケースも。

例えば、ある調査では「求人媒体では約1万円~30万円程度」という数値も出ています。

2-2 人材紹介/転職フェア等

人材紹介・転職/就職フェアといった手法においても、相場は高めになります。

  • 人材紹介サービスを利用した場合、保育士の年収が公立で約340万円・私立で約310万円というデータを基に、紹介手数料20〜40%で「60万円~140万円」という相場が示されています。
  • 転職・就職フェア出展費用も、1日あたり35万円〜100万円という出展料を見込んでいる記事もあります。
  • 採用1件あたりの平均コストが約76.9万円という報告もあります。

2-3 雇用形態・規模別の違い

採用コストは「正社員/契約社員/パート・アルバイト」「新卒/中途」「都市部/地方」「園規模(定員・法人規模)」などによっても変動します。

  • 特に中途採用において、業界全体の平均では採用単価が約28.8万円/人という報告もあります(ただし保育士に特化した数値ではなく一般企業の中途採用)
  • 保育士に特化した求人サイト調査では、パート・アルバイトの場合は10万円前後、正社員・契約社員は25万円~40万円程度というデータもあります。

2-4 押さえておくべき「目安」

上記を整理すると、保育士採用におけるひとりの採用コスト(採用単価)は、ざっと以下のレンジと考えておくと実務設計の指標になります。

  • 低め・掲載媒体中心:1万円~30万円
  • 中レンジ・複数手法併用:30万円~80万円
  • 高め・人材紹介/都心/即戦力採用:60万円~150万円

ただし、これらはあくまで「目安」です。園の地域・条件・募集ポジション・難易度によって大きく変動します。次章では、その「変動する背景」について掘り下げます。

3. コストが上がる背景・採用難の構造

なぜ保育士の採用コストが上がっているのか? なぜ「採用難」「コスト高」の状態が続いているのか?その背景を整理します。

3-1 保育士人材需給の逼迫

– 日本全国で、保育士の数が子ども・保育需要の増加に追いついていない状況です。例えば「待機児童問題」「認定こども園の増設」「共働き世帯の増加」という社会背景があります。
– 有効求人倍率も高く、1人の保育士に対して複数の求人が存在する「売り手市場」の様相。
– 競合園・施設が増えている中、転職・就職時に保育士が条件・環境・待遇を比較できるため、魅力ある求人でないと応募が集まりにくく、採用までにかかる工数・倍率が上がります。

3-2 条件・環境面の課題

– 保育士に対する待遇(給与・休暇・勤務時間・職場環境)改善が政府・自治体でも課題となっており、実際に待遇改善に向けた補助・支援がある一方で、園運営として即対応できないケースもあります。
– 職場の離職率が高い傾向にあり、早期離職が発生すると再度採用活動を行わなければならず、採用コストが再発生します。採用コストが“繰り返し発生する”リスクがあるのです。

3-3 採用手法の複雑化・多様化

– 求人手法が多様化しており、オンライン求人サイト・リファラル採用・SNS採用・人材紹介など手法を複数使うようになっています。そのため、どの手法が最適かを見極めずに“とりあえず出稿”してしまうと無駄コストになりやすい。
– 求人広告だけでなく、園のブランディング・採用広報・動画・SNS活用など「採用マーケティング」に近い活動が増えており、それに伴うコストが新たに発生しています。

3-4 地域・競合・タイミングの影響

– 都市部や人口集中地域では保育士を求める施設数が多いため競争が激しく、採用単価が高くなりやすいです。
– また、採用時期・年度替わり(4月入職)などでは求職者が集中し、早期に動くため費用がかさむ場合があります。
– “目立たない園”“認知度の低い園”では応募が少なく、広告出稿量を増やしたり、手法を拡大するためコストアップが生じやすいという指摘もあります。

3-5 採用が進んでも「定着・戦力化」まで視野に入れたコスト

– 採用して終わりではなく、受け入れ・教育・定着まで含めて考えると、採用にかかる真のコストはもっと大きくなります。採用時のミスマッチや定着率の低さは、早期離職→再採用という“二重コスト”を招きます。これが「採用コストがなかなか下がらない」理由の一つです。
– そのため、採用時から定着・活躍までを見据えた“採用設計”が求められており、それができていない園ではコストだけがかかってしまうというジレンマに陥りやすいのです。

以上がコストが上がる背景ですが、逆に言えば「ここを抑えればコストを下げられる」「無駄を省ける」部分も明らかになります。次章では、その具体策を整理します。

4. 採用コストを抑えるための具体策

保育園・こども園・幼稚園にとって、限られた予算でいかに保育士を確保するかは死活問題です。以下に、採用コストを抑えながら採用効果を高めるための具体手法を整理します。

4-1 早期離職を防ぐ=再採用コストを防ぐ

採用コストは“採用決定まで”だけでなく、“採用後の定着”も大きな影響を及ぼします。以下の取り組みにより、早期離職を防ぎ再採用コストを抑えましょう。

  • 面接/園見学時に職員・現場の雰囲気を見せる。ミスマッチを防ぐ。
  • 内定者フォロー(入職前懇親会・オンライン面談・現場訪問)を実施し、内定辞退・早期離職を低減。
  • 入職後フォロー体制を整える(メンター制度・定期面談・研修)=定着促進。
  • 働きやすさ・制度(有給・残業削減・職場環境)の改善。待遇改善=離職抑制。

このように“採用後”も視野に入れた動きが、採用コストをトータルで下げる鍵になります。

4-2 採用手法の見直し・最適化

採用手法を吟味し、コスト・効果のバランスが良い手法を選ぶことが重要です。以下に手法ごとのポイントを示します。

  • 求人媒体(掲載課金型):掲載料が比較的低いが、“応募数・質”が出るかは原稿・条件・認知に依存。1万円~40万円が目安。
    → 原稿・写真・職場紹介を充実させ、ターゲットに響く訴求を行う。
  • 求人媒体(成功報酬型)/人材紹介:採用確度が高いが費用も高く、60万円~140万円という水準の報告も
    → 「本当に必要なポジション」「即戦力」「急募」の場合に限定して使う。
  • 転職・就職フェア:1回あたり出展費用が高額になり得るが、多くの求職者に一度に接触可能。
    → 出展目的・対象設定・ブース訴求内容を明確化し、ROIを見込み活用。
  • リファラル採用/アルムナイ採用/紹介制度:既存職員・OB・地域ネットワークを活かす。コストが低めで“紹介=ミスマッチ低”のメリット。
  • 自社ブランディング/採用広報強化:自園の魅力(理念・保育方針・職場環境)を発信し、応募母集団を広げ、広告依存度を下げる。
  • ソーシャルメディア/動画採用:SNS・動画を用いて“園の雰囲気”を伝えることで、応募率・定着率を上げる。初期費用が必要でも中長期で費用対効果が良くなる可能性。

4-3 内部工数・プロセス見直し

採用費用は「広告出稿」以外にも、採用担当者・園長の工数・選考プロセスなど“見えづらいコスト”がかかっています。こちらを抑えることも重要です。

  • 選考プロセスを整理し、面接回数・ステップ数を合理化。工数削減。
  • 採用管理システム・応募管理ツールを活用し、工数・連絡コストを抑制。
  • 採用活動のKPI(応募数/面接数/内定率)を設定し、手法ごとにどこが効率悪化しているかを可視化。
  • 内部リソース(現場職員)を採用活動に使いすぎない。現場負荷増=離職リスク。

4-4 地域・タイミング戦略でコストを下げる

  • 地方・郊外・認知度低めの園では「都市部専用媒体」より地域密着型媒体を活用し、無駄な出稿を抑える。
  • 募集タイミングを“ピーク”からずらすことで、競合の少ない時期に動く。競争と広告単価が高い時期を避ける。
  • 複数年先の採用計画を立て、“急募”の状況をつくらない。急募時にはコストが跳ね上がります。

4-5 定着支援とミスマッチ防止で“追加コスト発生”を防ぐ

採用後の離職・ミスマッチは、再採用=さらにコストがかかるため、初回採用時に以下の取組を。

  • 求職者に対して園の実態(残業実績・人員体制・休暇実績)を透明に提示。
  • 入職前オリエンテーション・現場職員との交流会を設け、安心感を醸成。
  • 入職後3~6か月のフォロー面談制度を導入。
  • 職員満足度調査を定期的に行い、離職リスク要因を把握・対策。

これらを実践することで「採用コスト」だけでなく“採用+定着コスト”を削減できます。

5. 採用コストを投資に変えるための戦略設計

採用活動を単なる「コストをかけて人を集める」行為で終わらせず、「園の成長・運営効率改善・保育品質向上につながる投資」として設計するための戦略的視点を整理します。

5-1 採用戦略設計の3ステップ

  1. 採用課題の明確化
    • 採用ターゲット(新卒・中途・パート)/必要人数/入職時期/採用難易度を整理
    • 離職率・定着率・応募数・内定率などの現状把握
    • 採用活動にかかった過去コスト・手法・成果の振り返り
  2. 採用計画と予算設計
    • 上記の現状把握をもとに、採用人数 × 単価目安=採用予算を設定。例:「来年度中途採用2名/一人あたり60万円想定→120万円予算」
    • 採用手法ごとの費用見込み・実績想定を立てる(媒体掲載/人材紹介/広報)
    • ROI(採用後活躍・定着を含めた成果)を想定し、コスト配分を検討
  3. 運用・評価・改善サイクル
    • 採用KPI(応募数・面接数・内定数・入職数・定着数)を設定
    • 実績を月次・四半期で振り返り、コスト対効果が悪い手法・媒体を見直す
    • 採用成功者の属性・応募経路分析から“効果的な母集団形成”を設計
    • 採用後のフォロー・定着施策をセット化し、“再採用しなくて済む”体制を作る

5-2 優先すべきポイント(5つ)

採用活動を戦略化するうえで特に注目すべきポイントです。

  1. 「園の魅力・ブランド」を磨く:応募母集団の質・数を左右します。
  2. 母集団形成を意識的に設計:求人出稿だけでなく、SNS・紹介・学校連携など複数チャネルを使う。
  3. 応募後プロセスのスムーズ化:応募〜面接〜内定〜入職までの動線を短く・明確に。長期化すると離脱リスク・コストアップ。
  4. 定着・活躍まで見据えた採用:採用決定=終わりではなく、3年後・5年後も活躍しているかを意識。
  5. データ活用とPDCA実践:手法別コスト・応募数・内定数・入職数・定着数をデータとして把握し、次回に活かす。

5-3 採用コストを「なるべく低く・効果的に」設計するための配分例

保育士1名を採用するための予算目安を、「低コスト型」「標準型」「ハイコスト型(即戦力・都心)」という3タイプで考えてみます。

タイプ想定条件採用コスト目安主な手法
低コスト型地方・パート・複数採用可10万円〜30万円地域求人媒体/既存紹介/自治体連携
標準型中規模園・正社員1名30万円〜80万円専門求人媒体/SNS広報/紹介制度併用
ハイコスト型都心・即戦力・園長クラス60万円〜150万円人材紹介+転職フェア+採用ブランディング強化

このように、自園の条件に応じて“投じるべきコスト水準”をあらかじめ設定しておくと、予算超過や無駄出稿を防ぎやすくなります。

5-4 採用後の効果を最大化して投資回収を図る

採用コストを回収(元を取る)するためには、採用した保育士が早期に戦力化・定着することが不可欠です。以下の観点を大切にしましょう。

  • 配属・研修・OJTを早く実施し、1年以内に現場戦力として活躍できる体制を作る。
  • 保育品質向上・保護者満足度を高める取り組みに採用人材を活かし、園運営改善につなげる。
  • 定着率を高め、3年・5年後も在籍してもらうことで、採用再実施・再教育コストを削減。
  • 採用成功事例を社内・他拠点で共有し、次回採用時の効率化につなげる。

このように、「採用コストをかけただけでは終わらず、採用後の活用設計をセットにする」ことで、採用活動を“費用”ではなく“戦略的投資”に昇華させましょう。

6. ケーススタディ:成功園の実践例

(※実名園ではなく、典型的な成功パターンを整理します)

ケースA:地方・定員60名規模のこども園

状況:地方で競合少なめ。正社員保育士1名募集。過去には求人広告を出しても応募1〜2件で、採用できず。
取組

  • 地域専門求人媒体+SNS(Instagramで園の日常動画発信)を併用。
  • 内定前に園見学+既存職員との懇談会を開催。応募者が職場の雰囲気を体験。
  • 入職後6か月フォロー面談を実施。
    結果:掲載費用を約20万円に抑え、応募10件、内定1件、入職成功。早期離職ゼロ。定着率改善。
    ポイント:地域ニーズを活かし、母集団形成+職場理解を深めることでコストを抑えて質を確保。

ケースB:都市部・認定こども園(系列園含む)

状況:都心部で保育士争奪戦。正社員2名、経験者歓迎。
取組

  • 人材紹介会社×求人媒体併用。紹介会社費用+求人媒体掲載で約120万円。
  • 採用時に「入職前1day体験&職員インタビュー動画」を制作。
  • 入職1年後に、定着率90%。さらに職員の平均勤続年数がアップ。
    ポイント:即戦力採用でコストは高めだが、結果的に定着・戦力化・保育品質向上に繋がっており、投資として回収可能な設計。

ケースC:紹介制度活用+リファラル採用モデル

状況:パートタイム保育士を1〜2名、複数名採用したい。コストを抑えたい。
取組

  • 現職員から「紹介ボーナス制度」を導入(成功時支給)。
  • 地域保育専門学校との定期情報交換会開催。
  • 求人媒体掲載は最小限(5万円程度)+学校協力で母集団増。
    結果:紹介2名+媒体1名で採用3名。採用単価を10万円台に抑制。
    ポイント:紹介・学校連携という“低コストチャネル”を先行させ、媒体費用を最小化。

7. よくある失敗パターンと回避法

採用コストをかけたにもかかわらず「応募が来ない」「採用してすぐ辞める」「コストだけがかさんだ」という失敗も少なくありません。典型的な失敗と、その回避策を整理します。

7-1 失敗パターン:原稿だけ出して放置

課題:求人媒体に出稿したが、原稿が魅力的でなかった/応募後の対応が遅い/応募母集団が形成できていない。
回避策

  • 求人原稿・写真・職場紹介内容を見直す(“働く声・現場写真・園の強み”を盛り込む)
  • 応募後の対応(面接設定・内定通知)を迅速化し、離脱を防ぐ
  • 出稿前に「期待応募数」「採用までの期間」「想定単価」を逆算しておく

7-2 失敗パターン:即戦力採用に幅広く出稿 → 高コストで質低

課題:人材紹介+求人媒体を併用したが、経験者の応募が少なく、時間だけかかってコストだけ増。
回避策

  • “即戦力”という条件を明確化し、求めるスキル・経験を絞る
  • 条件緩和(未経験可・研修あり)を検討し、母集団を確保
  • 採用難度・条件難度に応じて“コストガンガン出す”モデルではなく“段階的出稿”を設計

7-3 失敗パターン:採用後の定着・活躍設計がない

課題:採用できたが、入職後フォローがなく3〜6か月で離職。再度採用コストが発生。
回避策

  • 入職前からフォロー体制を構築(オリエンテーション/先輩との交流)
  • 入職後3〜6か月のフォロー面談を必ず実施
  • 定着率・研修・フォローのKPIを設定し見える化

7-4 失敗パターン:予算/KPIが曖昧で無計画出稿

課題:いつ・何人・いくらかけるかが曖昧で、結果として出稿量が膨張・無駄出費発生。
回避策

  • 採用人数・目標時期・採用難易度・想定単価を明確にして「採用予算」を先に決める。
  • 手法別・媒体別に費用対効果を計測し、次回以降の出稿を最適化
  • 出稿前に「この人数をこの単価以内で採用するには何件応募必要か」という逆算設計を行う

8. 今後の保育士採用トレンドと備えるべきポイント

採用環境は刻々と変化しています。特に保育業界では「待機児童解消」「保育士処遇改善」「地域・多様な働き方」などの影響が強く、採用戦略にも変化が求められています。ここでは今後注目すべきトレンドと、それを踏まえた備えを整理します。

8-1 トレンド:働き方の多様化とパート・複数勤務形態

共働き家庭の増加・保育ニーズの多様化に伴い、保育士の働き方も変化しています。

  • 短時間勤務・フレックス勤務・定時退社志向・パート・派遣利用といった働き方の選択肢増加。
  • そのため「パート/アルバイト」という雇用形態でも応募母集団を意識的に取りに行く必要があります。掲載課金型では1万円〜30万円程度という相場も報告されています。
    備え:求人要件に“短時間勤務可”“ブランクOK”“ママ保育士歓迎”など、ターゲット層を明確にした訴求を入れる。

8-2 トレンド:保育士の処遇改善・待遇競争化

政府・自治体を中心に保育士の処遇改善(給与アップ・休暇制度・キャリアパス整備等)が進んでおり、応募者側の要求水準も上がっています。
備え:給与・福利厚生・職場環境・研修制度などを明確に打ち出し、「働きやすさ=応募母集団拡大」の訴求に活用。

8-3 トレンド:デジタル・SNS採用の拡大

求人手法としてSNSや動画、LINEを活用する園が増えています。園の日常・職員の声・保護者の声を動画で見せることで、応募者の安心感を醸成できます。
備え:SNSアカウント開設・投稿体制整備・動画制作(スマホ撮影でも可)などを前倒しで準備。これが採用母集団・ブランド力に繋がります。

8-4 トレンド:地域連携・学校・教育機関とのパイプ構築

保育専門学校・大学・ブランク保育士再就職支援といった“紹介チャネル”が今後活用されやすくなっています。これにより紹介/リファラル採用がコスト効率の高いチャネルとなってきています。
備え:協定先学校を複数確保/卒業生フォロー/OB紹介制度の整備。紹介ボーナス制度も検討。

8-5 トレンド:採用後の「定着・活躍」へのシフト

単に“採用できた”だけでなく、3年後・5年後も働いてもらう定着・活躍支援に投資することが、採用コストを回収する鍵になっています。
備え:入職前フォロー・メンター制度・キャリアパス制度・職員満足度調査など、定着支援のしくみを設計。

9. まとめ:採用コスト設計から実践まで

本記事では、保育士採用コストを「相場」「構成」「抑える/投資に変える戦略」「ケース」「トレンド」という流れで整理しました。最後に改めてポイントを整理します。

  • 採用コスト=採用決定までに要するすべての費用+再採用リスクも含む。
  • 保育士採用単価は、媒体・手法・地域によって大きく異なるが、1人あたり数十万円~100万円超のレンジもあり得る。
  • コストが上がる背景として、保育士需給の逼迫/競争激化/採用手法の多様化/定着困難などがある。
  • 採用コストを抑えるためには、早期離職防止・手法の選定・内部工数の最適化・地域/タイミング戦略・定着支援という視点が重要。
  • 採用を「コスト」ではなく「投資」として捉え、採用戦略・予算設計・運用体制・定着設計をセットで考えることで、費用対効果を高めることができる。
  • 今後は働き方の多様化・デジタル採用・紹介チャネル活用・定着支援強化といったトレンドに備えることが、採用競争を勝ち抜く鍵となる。

採用活動に着手される際には、「何人採るか」「いつまでに採るか」「そのためにどれだけかけるか」を明確にし、手法・媒体・運用体制をあらかじめ設計しておくことをおすすめします。ぜひ本記事を、貴園の採用設計・コスト最適化にご活用ください。

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この記事の著者

転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部

「転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部」は、医療、介護、保育の求人サイト「ジョブジョブ」の運営メンバーによる記事編集部門です。医療・介護・保育・福祉・美容・ヘルスケアの仕事に関わる方に向けた、今後のキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

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