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ケアマネジャーとは?仕事内容・年収・資格・転職事情まで徹底解説【2025年最新版】

ケアマネジャーとは?仕事内容・年収・資格・転職事情まで徹底解説

高齢化が進む日本社会において、介護の専門職である「ケアマネジャー(介護支援専門員)」の需要が急速に高まっています。介護サービスを受ける方と介護事業者との橋渡し役として、重要なポジションを担うケアマネジャーは、福祉・医療・介護の現場において欠かせない存在です。本記事では、ケアマネジャーの基本的な仕事内容から、必要な資格、年収事情、転職動向、今後の展望までをわかりやすく解説します。

目次

1. ケアマネジャーとは?

ケアマネジャー(正式名称:介護支援専門員)は、要介護者やその家族の立場に立ち、最適な介護サービスをコーディネートする専門職です。介護保険制度において要となる存在であり、「介護の相談役」かつ「サービスの設計者」とも言えます。

ケアマネジャーの社会的役割

少子高齢化が進行する中で、介護を必要とする高齢者は年々増加しています。一方で、家族だけでは介護を担うことが難しいケースも多く、介護サービスの専門的な知識を持つ人材が不可欠となっています。ケアマネジャーは、そうした介護現場において「利用者のニーズに合わせたケアをデザインし、継続的にサポートする」役割を担っています。

ケアマネジャーが関わる主な場面

  • 要介護認定を受けた方の状態を評価し、サービスを受けるための**「ケアプラン」**(介護サービス計画)を作成
  • 家族の介護負担や生活状況を考慮した上で、介護保険サービスだけでなく、自費サービスや地域資源との組み合わせも提案
  • サービス提供事業者(ヘルパー、デイサービス、訪問看護、福祉用具レンタルなど)との連携を行い、利用者の生活が円滑に回るよう調整
  • 月に1回以上、利用者宅へ訪問し、健康状態や介護状況を確認・見直し

ケアマネジャーの業務が持つ「多職種連携」の重要性

ケアマネジャーの仕事は、単独では成り立ちません。医師、看護師、理学療法士、社会福祉士、訪問介護員(ホームヘルパー)など、さまざまな専門職と連携しながら、一人の利用者を多角的に支えていく必要があります。そのため、**「調整力」「交渉力」「説明力」**といったソフトスキルが非常に重視されます。

ケアマネジャーは中核的な「介護の窓口」

介護に関する知識が少ない利用者や家族にとって、ケアマネジャーは頼れる相談窓口でもあります。適切な情報提供と提案を通じて、利用者の生活の質(QOL)向上に直結する支援が可能です。

2. ケアマネジャーの主な仕事内容

ケアマネジャーの仕事は、介護が必要な人の生活を全体的に支えるための設計・調整業務です。単に介護サービスを紹介するだけでなく、利用者の身体的・精神的状態や家庭の事情、地域資源を総合的に判断し、最適なケアプランを立て、それを実行・検証していくことが求められます。以下に具体的な業務内容を細かく紹介します。

① 要介護認定の申請支援

ケアマネジャーは、要介護認定をまだ受けていない人や更新が必要な人に対し、申請手続きの代行やサポートを行います。市区町村の窓口への申請書類の提出、本人や家族からの聞き取り、主治医意見書の取得支援などが含まれます。

② アセスメント(課題分析)

ケアプラン作成の前に、ケアマネジャーは利用者本人や家族への詳細なヒアリングを実施します。これを「アセスメント」と呼び、利用者の生活状況、身体機能、認知機能、家族の支援体制、住環境などを多角的に把握します。

例:入浴が困難 → 入浴介助が必要、または住宅改修を検討

③ ケアプランの作成・交付

アセスメントを元に、**ケアプラン(介護サービス計画)**を作成します。プランには以下のような内容が含まれます。

  • 利用するサービスの種類(例:訪問介護、通所リハビリ)
  • サービス提供時間・回数・内容
  • 利用者本人の目標(例:「週3回デイサービスで体操を継続する」など)

ケアプランは必ず利用者・家族の同意を得た上で正式に交付され、サービスが開始されます。

④ サービス担当者会議の開催

ケアプランを作成したら、関係する事業者や専門職を招いてサービス担当者会議を開催します。ここでは、各事業者がどのように支援するかをすり合わせ、利用者のニーズに応える体制を構築します。

⑤ サービス調整と連絡調整

ケアプラン実行後も、ケアマネジャーは各事業者(ヘルパー、デイサービス、訪問看護、福祉用具業者など)との連絡・調整役を担います。利用者の体調変化や家族構成の変化があった場合には、サービス内容の変更や追加依頼を行います。

⑥ 月1回以上のモニタリング訪問

介護サービスが適切に提供されているかを確認するため、ケアマネジャーは月に1回以上利用者の自宅や施設を訪問し、モニタリングを行います。サービスの質、利用者の満足度、体調の変化などをチェックし、必要に応じてプランの修正を行います。

⑦ ケアプランの見直し(再アセスメント)

利用者の状態は常に変化します。たとえば「転倒して骨折した」「認知症が進行した」「家族の支援体制が変わった」といった状況に応じて、再アセスメント→プランの修正が必要になります。

⑧ 各種記録と帳票作成

ケアマネジャーは、訪問記録、アセスメントシート、ケアプラン、モニタリング記録など、多くの帳票を正確に作成・管理する必要があります。これらは、行政の監査や給付管理の根拠となる重要な書類です。

⑨ 給付管理業務(介護報酬請求)

介護サービスに対して支払われる介護給付費の管理・請求業務もケアマネジャーの仕事です。利用者が利用したサービス内容に基づき、介護保険事務所へ請求データ(給付管理票)を提出します。

⑩ 利用者・家族の相談対応

日々の介護に対する不安や疑問、家族間のトラブル、施設入所の希望など、利用者や家族の悩みに対して相談支援を行います。医療や福祉、法律、制度などの幅広い知識が求められます。

3. どんな人がケアマネジャーになれるのか?必要な資格と条件

ケアマネジャー(介護支援専門員)になるためには、「ケアマネジャー試験」に合格し、実務研修を修了する必要があります。ただし、誰でも受験できるわけではなく、一定の実務経験や国家資格の保有が必要です。以下に、資格取得までの流れと条件を詳しく説明します。

ケアマネジャーになるまでの流れ(全体像)

  1. 対象となる国家資格保有者または相談援助業務の実務経験者であること
  2. **介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)**に合格する
  3. **実務研修(87時間以上)**を受講・修了する
  4. 各都道府県に登録し、**「介護支援専門員証」**を交付してもらう
  5. ケアマネジャーとして就業スタート

ケアマネ試験の受験資格:大きく2パターンに分かれる

パターン①:法定資格を持つ有資格者(主流)

以下国家資格を持ち、かつ5年以上の実務経験(900日以上)がある人が対象です。

職種別合格者割合(第26回試験)

職種合格者数割合
介護福祉士7,389人62.4%
看護師・准看護師1,925人16.3%
社会福祉士948人8.0%
理学療法士613人5.2%
作業療法士253人2.1%
保健師250人2.1%
相談援助業務等従事者271人2.3%
その他(医師、薬剤師、栄養士など)

※合格者数は延べ人数であり、複数の資格を有する者も含まれます。

ケアマネジャー試験の合格者は、介護福祉士や看護師などの医療・福祉系の国家資格を有する者が大多数を占めています。​これは、受験資格としてこれらの職種での実務経験が求められるためです。​また、近年では多職種連携が重視されており、理学療法士や作業療法士、保健師など、さまざまな専門職からの受験者も増加傾向にあります。

パターン②:資格がなくても受験できるケース(例外)

法定資格を持っていない場合でも、以下の施設等で相談援助業務を5年以上行っていた方も受験できます。

  • 社会福祉施設(養護老人ホーム、障害者施設など)
  • 介護保険施設(特養・老健など)
  • 医療機関での相談員業務 など

この場合も、「相談援助業務の内容証明書」などの証明書類を提出する必要があります。

試験内容と難易度

ケアマネ試験は、毎年10月に全国で実施され、合格率はおおむね10〜20%程度と非常に低いことで知られています。試験科目は以下の通りです:

  • 介護支援分野(25問):介護保険制度、ケアマネジメントの基本、介護報酬など
  • 保健医療・福祉サービス分野(35問):医学的知識、障害者支援、地域資源活用など

主にマークシート形式で出題され、合格基準は両分野で一定点数以上かつ総得点の6割前後とされています。

実務研修の内容

試験に合格後は、**実務研修(87時間以上)**を受講します。研修内容は以下のような実践的プログラムです。

  • ケアプラン作成演習
  • アセスメントの方法
  • 多職種連携の実践
  • ケーススタディとグループワーク

この研修を修了することで、初めて「介護支援専門員証」が発行され、ケアマネジャーとしての活動が可能になります。

ケアマネジャーの更新制度

介護支援専門員証には5年間の有効期限があります。そのため、更新の際には更新研修の受講が必須です。また、現場で一定の業務に従事していなければ、更新できないこともあるため注意が必要です。

主任ケアマネジャー制度について

ケアマネジャーにはキャリアアップ制度も存在します。その代表が**「主任介護支援専門員」**です。これは、実務経験5年以上のケアマネジャーが所定の研修を受講することで取得可能となり、以下のような役割が期待されます:

  • 他のケアマネジャーへの指導・助言
  • 地域包括ケアの中核的存在
  • 高度なケースへの対応力の強化

主任ケアマネの資格を持っていると、求人でも優遇されやすく、給与も高くなる傾向にあります。

4. ケアマネジャーの年収・給与の相場

ケアマネジャー(介護支援専門員)の年収は、勤務先の種類や地域、経験年数、資格の有無(主任ケアマネ等)によって大きく異なります。ここでは、平均的な年収データに加え、具体的な年齢別・地域別・資格別の傾向を詳しく見ていきます。

全国平均の年収と月収

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」などのデータをもとにすると、ケアマネジャーの全国平均年収は以下の通りです:

区分年収月収賞与(年2回平均)
全国平均約390万円約26~28万円約60~80万円

ただしこれはあくまで平均値であり、実際には350万円~500万円の幅であることが多いです。

勤務先別の年収比較

ケアマネジャーの勤務先によって、給与水準には大きな差があります。以下は主な勤務先別の目安です。

勤務先年収目安特徴
居宅介護支援事業所350万~400万円訪問中心。1人で20〜40名担当することも。
特別養護老人ホーム(特養)380万~420万円施設利用者のケアマネジメント。夜勤は基本なし。
介護老人保健施設(老健)370万~430万円医療と介護の連携重視。多職種チームが多い。
地域包括支援センター400万~480万円公的業務で安定性高。主任ケアマネが求められることも。
病院(医療機関)420万~500万円医療ソーシャルワーカーとの兼務も。退院支援に特化。

特に地域包括支援センター病院勤務のケアマネは給与が高めになる傾向があります。

年齢・経験年数による年収の違い

年齢層平均年収傾向
20代後半320万〜350万円初任給レベル。資格取りたての時期。
30代350万〜400万円中堅として独り立ち。件数も増える。
40代400万〜450万円主任ケアマネ取得者が増え、管理職も視野。
50代以上450万〜500万円超管理職・ベテラン層。地域包括や施設長など

経験年数が多いほど利用者対応力や書類精度が向上し、給与水準もアップします。

主任ケアマネジャーの収入アップ効果

主任介護支援専門員の資格を取得すると、給与が月2万〜5万円ほどアップするケースが多いです。施設によっては手当がつくほか、地域包括支援センターや行政系の求人では、主任ケアマネ資格が必須条件であることもあります。

資格平均月収備考
一般ケアマネ26~28万円担当利用者30人前後が平均
主任ケアマネ30~35万円担当+指導・教育・管理業務も

地域別の年収格差

地域によっても年収差があります。特に**都市部(東京・神奈川・大阪など)**では給与が高めに設定される傾向がありますが、生活コストも高くなるため、手取りベースで考慮する必要があります。

地域年収目安特徴
首都圏(東京・神奈川)400万〜470万円求人数多いが業務量も多め
東海・近畿380万〜450万円老健・特養が多くバランス型
北海道・東北340万〜400万円高齢化率が高く地域需要あり
九州・沖縄330万〜390万円地域差や企業体質により幅が大きい

給与以外の収入や手当

ケアマネジャーには基本給のほかに、以下のような手当や報酬制度がある場合もあります。

  • 資格手当(例:月1万円)
  • 主任ケアマネ手当(例:月2〜3万円)
  • 処遇改善手当(介護業界全体への補助)
  • 通勤手当、家族手当、住宅手当
  • 賞与(年2回、2〜4か月分)

フリーランスケアマネという選択肢

一部では、居宅介護支援事業所を個人で開設して独立するフリーランスケアマネも増えてきています。報酬は「利用者1人あたりいくら」という定額制で支払われるため、件数を多く持てば高収入も可能です。ただし、事務管理・帳票業務・営業など全て自分で担う必要があるため、ハードルは高めです。

5. ケアマネジャーの勤務先と働き方の違い

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、勤務する施設や機関によって役割や働き方、1日のスケジュール、担当する利用者の数などが大きく異なります。自分に合った働き方を見つけるためにも、各勤務先の特徴を正しく理解しておくことが重要です。

主な勤務先の種類と特徴

① 居宅介護支援事業所(居宅ケアマネ)

特徴:

  • 利用者が自宅で暮らしているケースが中心
  • ケアマネ1人あたりの担当件数は30~40件が目安
  • 利用者宅への訪問がメイン業務(1日2~4件程度)
  • 比較的自由度の高いスケジュール管理が可能

働き方のポイント:

  • 訪問にかかる移動時間や交通手段も考慮した計画が必要
  • 書類業務が多く、在宅勤務制度を導入している事業所も増加中
  • 1人職場(管理者兼務)になることもあり、自己管理能力が重要

こんな人に向いている:

  • コミュニケーションが得意で人と接するのが好き
  • 自由な時間配分で働きたい
  • 利用者や家族との密な関わりを持ちたい

② 介護施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・グループホーム等)

特徴:

  • 入所者全員に対してケアプランを作成
  • 利用者の状態が把握しやすく、訪問業務は基本なし
  • 医療職や介護職との日々の連携が密

働き方のポイント:

  • ケアマネ1人あたりの担当は30〜100名と幅広い(施設規模による)
  • 夜勤は基本なしだが、緊急対応が求められる場面もある
  • 他職種とチームで動くため、協調性と調整力が重要

こんな人に向いている:

  • チームで協力しながら働きたい
  • 一つの施設内で安定した勤務を希望する
  • 利用者の状態を継続的に見守りたい

③ 地域包括支援センター(包括ケアマネ)

特徴:

  • 65歳以上の高齢者全般を対象に、介護予防や地域支援の業務が中心
  • 要支援者やその予備軍への支援、地域づくり、虐待防止なども担当
  • ケアマネ業務に加えて、社会福祉士や保健師など他職種との連携強化

働き方のポイント:

  • 担当件数は多くないが、公的・行政的な業務が多い
  • 報告や会議、地域イベントなどでの外出業務もある
  • 書類業務や報告書が多いため、事務スキルが重要

こんな人に向いている:

  • 地域全体の高齢者支援に関わりたい
  • 主任ケアマネジャーとしてステップアップしたい
  • 介護だけでなく、医療・福祉・行政の横断的な仕事をしたい

④ 病院・医療機関(退院支援ケアマネ)

特徴:

  • 医療ソーシャルワーカー(MSW)や看護師と連携し、入退院支援を担当
  • 入院中の患者の状態を見極めて、退院後の介護体制を構築
  • 訪問は少なめで、院内での調整業務が中心

働き方のポイント:

  • 多職種との情報連携が鍵(医師、看護師、リハビリ職など)
  • 高度な医療知識や疾患への理解が求められる
  • 基本的に土日祝休みの週休二日制が多い

こんな人に向いている:

  • 医療に関心があり、チーム医療に関わりたい
  • 病院勤務で安定した職場を探している
  • ケアマネとして医療と介護の架け橋を担いたい

働き方の違いを比較(表)

勤務先訪問の有無担当人数連携対象スケジュール自由度残業傾向
居宅介護支援事業所あり30〜40人利用者・家族・事業者高めやや多い
介護施設なし30〜100人看護師・介護職中程度比較的少なめ
地域包括支援センター場合によりあり少なめ自治体・地域住民低めやや多い
病院なし不定(主に退院支援)医師・MSW・家族中程度少なめ

6. ケアマネジャーに求められるスキル・適性

ケアマネジャーは、利用者や家族、介護・医療・行政の関係者と連携しながら最適なケアプランを立案・実行する重要な職種です。そのため、専門知識だけでなく対人関係能力・調整力・問題解決力など、幅広いスキルが求められます。ここでは、ケアマネジャーに求められる主なスキルと、それに適した人物像について詳しく解説します。

① コミュニケーション能力・傾聴力

ケアマネジャーの基本は「人との対話」です。利用者本人や家族の不安・希望・困りごとを丁寧に聴き取り、信頼関係を築くことが重要です。

具体的なシーン:

  • 認知症の方と時間をかけて話す
  • 感情的になった家族の対応
  • サービス事業者との連絡・調整

こんな人に向いている:

  • 人と話すのが好き
  • 人の立場に立って物事を考えられる
  • 相手の話をさえぎらずに最後まで聴ける

② アセスメント力・観察力

ケアプランの土台となる「アセスメント(課題分析)」には、表面に出てこない情報を引き出す力が必要です。何気ない言動や生活環境から、潜在的なニーズやリスクを見抜く力が求められます。

重要な視点:

  • 本人の表情や言葉遣いの変化
  • 生活の中にある小さな異変
  • 家族の疲弊度や介護力

③ 調整力・交渉力

ケアマネジャーは「調整役」であり、さまざまな立場の人をつなぐハブ的存在です。時には、医療職と介護職、利用者と事業者、家族同士の間に立って意見を調整する必要があります。

求められる力:

  • 相手の立場を理解した上で、建設的に話し合える
  • 争いごとを回避し、落としどころを見つける
  • 説明が論理的で、納得感がある

④ 介護・医療制度への理解

介護保険法をはじめ、関連制度(医療保険、障害福祉、生活保護、成年後見制度など)への幅広い理解が不可欠です。また、要介護認定のしくみ、サービスの種類や報酬の仕組みなども熟知している必要があります。

知っておくべき制度:

  • 介護保険サービスと自費サービスの違い
  • 地域包括ケアシステムの構造
  • 医療と介護の連携モデル(地域医療構想など)

⑤ 書類作成スキル・ITスキル

ケアマネジャーは、ケアプランをはじめ、アセスメントシート、モニタリング記録、給付管理票など、書類作成が非常に多い職種です。パソコンや介護ソフトの操作スキルも実務において必須となります。

求められるスキル:

  • 正確かつ迅速な記録入力
  • Word・Excelの基本操作
  • ケアマネ専用ソフト(例:ほのぼの、カイポケ等)の操作

⑥ ストレス耐性・柔軟性

ケアマネジャーは、突発的な対応やクレーム処理に追われることもあります。限られた時間内で優先順位をつけ、冷静に対応する力とメンタルの安定性が必要です。

試される場面:

  • サービス事業者との連携ミス
  • 利用者からの突然のクレーム
  • 書類提出の期限が重なる時期

⑦ 倫理観・責任感

ケアマネジャーは、個人情報を扱い、利用者の生活を左右する計画を立てる職種です。そのため、公正・中立な視点と高い倫理観が求められます。

具体例:

  • サービス事業者からの営業的働きかけに対して公正な判断を下す
  • 利用者の意向と制度上の制限を両立する対応
  • 支援記録の正確性と透明性の保持

● 不向きなタイプの例(あくまで傾向)

  • 一人で抱え込みやすい
  • 人と接することに強いストレスを感じる
  • 書類業務に苦手意識がある
  • 頑固で柔軟性に欠ける

7. ケアマネジャーの転職事情と求人傾向

高齢化の進行と介護保険制度の改正を背景に、ケアマネジャーのニーズは全国的に高まっています。しかし、資格保有者の高齢化や離職率の上昇、業務の多忙さから、慢性的な人材不足が続いており、転職市場では「売り手市場」と言える状況です。

この章では、ケアマネジャーの転職動向や人気求人の傾向、転職を成功させるためのポイントを詳しく解説します。

現在の転職市場の状況

  • 有資格者が少ない  →ケアマネジャー試験の合格率は10〜20%程度と低く、簡単には資格が取れない。
  • 実務経験者はさらに希少  →資格を取っても、ケアマネ業務に就かない人も多く、即戦力人材が不足。
  • 高齢化により現役離脱も増加  →ベテランの引退が進み、若手人材の確保が急務に。

そのため、経験者・主任ケアマネ資格保有者は特に歓迎される傾向にあります。

求人が多い施設・エリア

求人が特に多い勤務先

勤務先求人数の傾向
居宅介護支援事業所常に人材を募集。働き方の自由度が魅力。
介護施設(特養・老健など)利用者数が多く、配置基準により常時求人あり。
地域包括支援センター主任ケアマネの取得者を中心に求人多数。

求人が多い地域

  • 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)
  • 関西圏(大阪・京都・兵庫)
  • 地方の中核都市(名古屋、福岡、仙台など)

都市部は施設数が多く、在宅介護支援の需要も高いため、常に求人が掲載されている状態です。

人気のある求人条件

求職者が重視する条件は年々変化していますが、現在は以下のような条件を掲げる求人が人気です。

条件求人側の対応
年間休日120日以上働き方改革の影響で増加中
土日祝休み居宅系で増加傾向
在宅勤務可一部の事業所で導入、報告や記録業務を在宅で
残業少なめ月10時間以下を明示する求人が多い
主任ケアマネ歓迎管理職登用・手当付きの求人が多い

また、有資格者で未経験OKとする求人も増えており、資格は取ったが実務経験のない人へのチャンスも広がっています。

転職成功のためのポイント

① 自分に合った勤務形態を見極める

  • 訪問中心 or 施設常駐?
  • 担当件数の多さに対応できるか?
  • 事務仕事と外回りのバランスは?

② 主任ケアマネ資格はキャリアの武器

  • 管理職候補として優遇
  • 地域包括支援センターなどでの活躍も可能
  • 給与アップや条件交渉に有利

③ 転職エージェントの活用

  • 非公開求人が豊富
  • 条件交渉や書類添削サポートあり
  • 内定後のフォローや職場見学も対応

④ 履歴書・職務経歴書の質を高める

  • ケアプラン作成件数、対応した事例、困難ケースへの対応力などを具体的に
  • 主任ケアマネ資格取得予定や研修受講履歴などもアピール材料に

転職時の注意点

  • 勤務時間や残業の実態:求人票と実際の働き方が異なるケースも。面接時に具体的に確認を。
  • 離職率が高い職場は要注意:短期間での人員募集を繰り返している事業所は、労働環境に課題がある可能性も。
  • キャリアアップの支援体制:主任ケアマネ研修や研修費補助など、教育制度が整っているかを確認。

8. ケアマネジャーのやりがいと大変なこと

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護の現場で利用者一人ひとりの人生に深く関わる責任ある職業です。その分、やりがいも大きい一方で、業務量や精神的負担の多さから「大変」と感じる側面も少なくありません。ここでは、ケアマネジャーの仕事の魅力(やりがい)と、現場で感じやすい困難(大変なこと)を具体的に紹介します。

ケアマネジャーのやりがい

① 利用者と信頼関係を築ける喜び

ケアマネジャーは、利用者本人やその家族から生活全体を相談される「身近な専門家」です。長期的に関わることで、利用者の安心や生活の質(QOL)の向上を実感でき、「○○さんが担当でよかった」と感謝の言葉をもらえることは大きなやりがいです。

「あなただから相談できた」
「おかげで家で安心して暮らせています」

といった言葉は、何よりのモチベーションになります。

② 介護・医療・地域をつなぐ達成感

ケアマネは、多職種と連携しながら一人の利用者の生活を支える「チームケアの司令塔」のような存在です。医師、看護師、リハビリ職、訪問介護員、行政担当者などと連携してケアが円滑に回った時、大きな達成感があります。

③ 状況が改善したときの達成感

例えば、うつ状態で寝たきりだった高齢者が、デイサービスの利用で笑顔を取り戻し、外出するようになった——。そんな変化を近くで見守れるのはケアマネだけです。自分の提案が生活の改善につながる体験は、何物にも代えがたい充実感をもたらします。

④ 専門職としての誇りとスキルアップ

ケアマネは、制度・医療・福祉・介護・人間関係に精通する多能工的な職種です。制度改正や新しい地域資源への対応を通じて常に成長できる環境があり、「知識が人の役に立つ」ことを実感しやすい職種です。

ケアマネジャーの大変なこと・課題

① 業務量の多さと書類作成の負担

ケアマネジャーの仕事は「人と会うだけ」ではありません。ケアプラン、アセスメント、モニタリング、給付管理など、毎月提出すべき書類や帳票が膨大です。

  • 利用者30人以上を担当すると、月末は毎日残業というケースも
  • 書類の記載ミスがあると、行政監査で指摘される可能性も

② 緊急対応と時間外連絡のストレス

訪問先で利用者の状態が急変したり、家族から深夜に連絡が入ることもあります。緊急性が高くない場合でも、「何とかしてほしい」という要望に応える必要があり、プライベートとの線引きが難しいこともあります。

③ 板挟みになることが多い

ケアマネジャーは利用者と家族、介護サービス事業者、医療職、行政などさまざまな立場の人々の間に立つ調整役です。全員の要望を満たすことが難しい中で、冷静な判断と中立性が常に求められます。

例:利用者は「もっとサービスを増やしたい」
→ しかし家族は「費用が負担」と反対、制度上も上限あり

このような時に「誰のためのケアか」を見失わない判断力が必要です。

④ 自己研鑽が欠かせない

制度改正や報酬基準の変更、サービス新設など、介護保険制度は数年おきに見直されます。ケアマネはその都度対応が求められるため、常に情報をアップデートする努力が欠かせません。自主的な研修参加や勉強会への出席が必要です。

⑤ 孤独を感じることも

特に居宅系のケアマネは一人職場も多く、上司や同僚に相談しにくい環境になることもあります。また、外回りと書類業務で物理的に人と関わる時間が限られることも。

9. ケアマネジャーの今後の需要とキャリアパス

ケアマネジャーは今後も重要性が増す職種です。高齢化がさらに進行する日本において、介護と医療、地域との連携を担うコーディネーターとしての役割は、今後の地域包括ケアシステムの中核を担う存在となっていくでしょう。

以下では、ケアマネジャーを取り巻く将来の需要の見通しと、資格取得後のキャリアの広がり方(キャリアパス)について解説します。

● ケアマネジャーの需要はさらに拡大

① 超高齢社会が続く日本

  • 2025年には「団塊の世代」が全員75歳以上となり、後期高齢者の割合が急増
  • 2040年には人口の約35%が高齢者となる予測
  • 要介護認定者数も増加の一途(現在約700万人)

このような背景から、ケアマネジャーの活躍の場はさらに拡大する見込みです。

② 地域包括ケアシステムの中核に

  • 国は「可能な限り住み慣れた地域で暮らし続ける」ための体制を推進中
  • その中心的役割を担うのがケアマネジャー
  • 「医療と介護の連携」「介護予防」「地域資源の活用」など、マネジメント能力の重要性が増す

③ 資格保有者の高齢化・人材不足

  • 現在、ケアマネジャーの約50%が50代以上
  • 今後10年で大量退職が見込まれており、若手・中堅の育成が急務

ケアマネジャーのキャリアパスは多様化

ケアマネジャーは、現場のスペシャリストとして経験を積むだけでなく、管理職・指導職・地域貢献職へとキャリアを広げることが可能です。以下に代表的なキャリアパスを紹介します。

① 主任介護支援専門員(主任ケアマネ)へのステップアップ

  • ケアマネジャーとしての実務経験5年以上で受講可能
  • 主任ケアマネになると、
    • 他のケアマネの指導・育成
    • 困難事例へのチーム対応
    • 地域包括支援センターでの中核的役割などが期待される
  • 管理者候補として優遇される求人も多数
  • 給与・待遇の向上にもつながる

② 管理職・経営者への道

  • 居宅介護支援事業所の管理者施設長候補など
  • 自ら事業所を開業し、フリーランスのケアマネジャーとして独立するケースも
    • ※報酬は「利用者1人あたり月額単価」で支給されるため、件数次第で高収入も可能
  • 医療法人や社会福祉法人での運営・企画ポジションへの登用例も増加

③ 地域包括支援センターでの活躍

  • 公的機関に近い立ち位置で、
    • 地域全体の高齢者支援
    • 虐待防止、権利擁護、介護予防などの支援活動に関わる
  • 主任ケアマネ資格があれば行政と連携しながら政策実践に関与できる
  • 「制度運用」や「地域開発」にも携わることが可能

④ 教育・講師・研修担当としてのキャリア

  • ケアマネ試験対策講座の講師や研修機関での指導者として活動
  • 養成校や専門学校での非常勤講師などの道も
  • 実務経験が長く、主任ケアマネの資格があるとより有利

⑤ 他分野への展開も可能

  • 医療ソーシャルワーカー(MSW)や地域医療連携室など、病院内での調整職
  • 福祉行政やNPO、介護相談員など、地域社会全体への貢献
  • 医療・介護コンサルタントとして制度設計・運用支援

10. よくある質問(FAQ)

Q. ケアマネジャーは何歳からでもなれる?
A. 受験資格を満たせば何歳でも可能です。実際、40代・50代から資格取得する方も多いです。

Q. ケアマネ試験は難しい?
A. 合格率は約10〜20%と低めですが、対策をしっかり行えば合格可能です。

Q. ケアマネに向いていない人は?
A. 一人で抱え込みやすい、チームでの連携が苦手な方には不向きかもしれません。

まとめ

ケアマネジャーは、高齢社会の日本においてますます重要性を増す仕事です。社会貢献性が高く、専門性とやりがいのある職種として、今後も注目される存在となるでしょう。転職やキャリアアップを考えている方は、ぜひ自分に合った働き方を見つけてください。

厚生労働省のHPでもケアマネージャーの紹介PDFがありますので参考にしてみてください。

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転職ノウハウなら!ジョブジョブ編集部

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